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目の前には厳格な顔をした父親がいる。
俺の眼をずっと見つめている。
俺の目はそんなに世界の神秘で溢れてますかね。
驚きだな。
今までそんなことは知らずに生きてきたもんでね。
或いは父親には俺の目の奥に嵐に立ち向かう一艘の船があって、その行く末を見つめているのかもしれない。
そうと考えないと俺にはどうしてもこの視線の意味が理解できない。
帰省ラッシュに沸くクラスで俺は一人呆然としていた。
それもそのはず。
俺は今でも家から通っているからそのありがたみってものが皆目理解できないのだ。
まあ、これが実家暮らしの弊害さ。
と言ってみるが、しかしそこまで害ではないなと思い、実家暮らしってのはやっぱりやればやるほどいいってことに気づいた俺は、父母の偉大さに敬服するのだった。
そして帰ってみたら父親には睥睨されるわけだから、藪から飛び出してきた蛇に睨まれた蛙より首を縮こまらせた俺は、只管に父親の言を待つわけだ。
そんなことを幾許か続けていた時、父親が、ジョー・フィッシャーが徐に口を開いた。
「で、学校の成績はどうだったんだ」
なんだ、そんなことか。
俺は安堵する。
鞄から成績表を取り出すと、父親の前に差し出した。
もう一度俺に睨みを利かせてその中身を見た父親の頬はどんどん緩んで、しまいには大声で笑い出してしまった。
「どうされましたか!?」
父親の気が違っている行動にメイドがあたふたと慌てる。
「いや、なに、これをみてみろ」
そこに書かれていたのは評価5の羅列、即ち最高評価だった。
「これは・・・・・・」
メイドが言葉を失ったかのような顔をする。
それもそのはず。
この学園でオール5を取るのは、入学するよりも難しいと言われているからだ。
まあ、これは俺の努力の賜物であるわけだし、俺の鼻は天狗になった。
これくらいいいではないか。
俺だって努力してこうなったんだから。
まあ、ともかく、俺の帰省、と言うよりかは改省は成功に終わったと言っても良いだろう。




