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佐々木さんの「夏といえば海水浴!」と言う終始阿呆な思想に振り回された俺はあれよあれよと水着やら何やらを買い揃えて、いや、買い揃えさせられて、引っ張られるがままについて行くと海を望む民宿に泊まっていた。
・・・・・・正直佐々木さんの水着姿が見てみたいと言う気持ちもあるが、学生にとって遠出は大出費であるから安い馬車に乗った俺たち、殊に俺はその酔いから冷めずにそれどころではなかった。
佐々木さんは、確かに車内では吐きそうにしていたが、現地に着くと心機一転、キラキラした目で辺りを見回していた。
ええ佐々木さん。それは別にいいんです。俺だって佐々木さんのキラキラした目が嫌いなわけではない。ですがね、その勢いで俺を連れ回すってのはどうかと思いますぜ。
先述、俺は酔いから冷めないと書いていたがそれでは少し語弊がある。
俺は酔いから冷める機会をいただけなかったのだ。
「なに?あんたまだ酔ってんの?」
セーラ・キーナーが呆れたように言う。
全く、呆れたいのはこっち側だ。何でこんな日までもお前の顔を見なくちゃいけないのか。本当は佐々木さんと二人で行くつもりだったんだぞ。
「何よ。悪い?」
ああ、すこぶる悪い。
「へぇ、言うじゃない」
まあ俺は真の男女平等主義者だからな。これくらいはーーおい、どうした。そんなに近づいて。
「そんな真のフェミニズムさんにはこうしてあげるわ」
肩ががっしりと掴まれる。
おい、まさか。いやいや、さすがに・・・・・・流石にな?
「はい、ぐわんぐわん」
キーナーは俺の肩を大きく揺すってきた。
こいつ・・・・・・俺が抵抗できないことをいいことに・・・・・・
何か言い返してやろうと思ったが、吐き気を我慢するのに精一杯だった俺は結局何もいえなかった。
「海ですよ!マイケル君!」
佐々木さんが体を乗り出してくる。
お、おお、そうだな。
俺は目のやり場に困る。
なんたって佐々木さんは水着姿なのだ。
シルクのように白い肌は太陽光をさんざに浴びて健康的、収まりの良い胸と黄金比と言っても差し支えないスタイルは前衛的なアートのように見るものを惹きつけ・・・・・・っていかんいかん。見入ってしまった。
「何惚けてんの。さっさと遊ぶわよ」
そう言うセーラ・キーナーも、憎らしいかな、白い肌で、佐々木さんのと比べると幾分か大きい胸に締まった少し筋肉質のお腹は、西洋でよくみられる女性像の彫刻に近かった。
「何よ」
不敵な笑みを浮かべてキーナーは俺に対して言う。
いいや何も。
俺はそれに素気無く答えると、そっぽを向く。
隣から上機嫌そうに鼻を鳴らす音が聞こえた。
あれ?これってラブコメじゃね?って思った皆さん。次は無双します。無双?うん。




