13
・・・・・・ふむ、結構なお手前で。
体育祭の昼間休憩中に女子二人の弁当を食べた俺は味の感想を求められ、当たり障りのないことを述べたのだが、それに満足いかなかったらしいキーナーが弁当の優劣、つまり佐々木さんの弁当とキーナーの弁当のどちらが優れているのかと言うことを聞いてきて以来、辺りは静寂が支配していた。
それもそのはず、女子ってのは女子力っていうもので優劣が決まり、その中には当然料理スキルも含まれているからだ。
しかし、どちらとも別方向、別のベクトルで美味しい。
佐々木さんのものは食感が良く、そこに香るほのかな甘味が舌を優しく撫でるのに対し、キーナーのは味のコントラストがキッパリとついていて、さながらジェットコースターのような緩急に体が震える程の旨さだ。
甲乙つけ難い。
しかし有耶無耶にしようとしてもこの二人、特にキーナーがそれを許さず、俺はとてつもなく困っていた。
では、ここは圧倒的に俺の好みとなるが優劣をつけようではないか。
まず佐々木さん。
「はい!」
食感が良かった。そしてそれに味もよくあっていた。
「・・・・・・ということはーー」
いや、まだだ。次にキーナー。
「何よ」
味のコントラストが良かった。さながらジェットコースターのようだった。
「ふん!これは決まりねーー」
だが。
「「だが?」」
キーナー、お前は優劣にがっつきすぎだ。そんなお前に料理の女神は微笑まないぞ。ということで、優勝は佐々木さんだ。
「やった」
「・・・・・・」
おいどうした、キーナー。そんな顔で黙って近づいてーーぐべら!
「だったら私の弁当返しなさいよ!」
キーナーに鳩尾を打たれた。
あの理不尽にも耐えてどうにかこうにか体育祭が終わる。
最後の競技は5億点という前代未聞の点数がつけられたが、それも無難に紅組が勝ち、赤、青、白、緑という順で5億500点、200点、100点、150点という結果で終わった。
トロフィーの授与が終わり、校長先生の長い話も終わり、解散した俺たちは各々に帰っていた。
まあ、前世ではあまり楽しめなかったから良い印象はなかったけど、でも体育祭ってのも楽しいもんだな。
佐々木さんが「じゃあね!」と無邪気に去っていく。
キーナー「じゃあ、また明日」と大人ぶって帰っていく。
ああ、体育祭ってのは可愛い女の子と云々。
或いは俺はあんな可愛い子たちに囲まれているから平凡ではないのかもしれない。
ーーいや、やっぱり平凡だな。
でも、その平凡もこんなに楽しいもんなんだな。
僕はこの物語面白いと思うんだけどなぁ。確かに伏線なんてないけど。




