砂時計と時間軸【エイプリルフールの嘘と砂時計・番外編】
エイプリルフール。
毎年訪れるその日。忘れていると少し恥ずかしい思いをすることもあるかもしれない。
多くの人々が各々考えられた嘘を付き、楽しむ。
ここにも一人なにやら準備をしている者が……。
ーーー秒針がずれる
日付が変わる音がした。
その合図を聴いて僕は椅子から立ち上がった。部屋の電気を付ける。
パソコンを再起動して今日の日記のページを開いた。
「柏人、おかえりなさい」
部屋の明かりと物音に引き寄せられ、僕の部屋のドアからこちらを覗き込んでいった。
「ん、ただいま」そう言ってトイレに立つ。
トイレから帰って来たら僕のパソコンの前に立ってマウスを片手に僕の日記を読んでいる咲良が居た。
「さく、どうしたの?」
呼び掛けると咲良はこっちを向いて
「柏人これなぁに?私と結婚するのやなの?」
「え?」
今にも泣き出しそうな表情で言う咲良。
「違うよ」
慌てて否定する。ただ声色には出ない。
「柏人…」
自分より背丈のあるその人を見上げて言う。
対する僕は彼女に近づきながら言う。
「騙し騙され合うんでしょ?嘘だよ。」
ドッキリ失敗かな…。いくらエイプリルフールとはいえ素直になるべきだったか。
「…え?」俯いて掠れた小さい声で呟く彼女。
僕の腕の中に収まっている彼女の心底悲しそうな姿を見て後悔する。
そのまま
「ずっと一緒に居ようね」
と耳元で囁いた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
その後真剣に
「ばか!」
と言われてされるがままに指に指輪をはめられた。
「私のものなんだからね…」
仰向けになった僕の胸元に顔をうずめ、覇気は無いものの強い調子で言った。
もちろんだよ……。
実は咲良はここまで計算済みなのかなぁとか考えながら完全な後出しジャンケンをしたなぁと思いながら、まだうずめたまんまの彼女を乗せたまま柏人は自分の左手を眺めていた。
この前は柏人のアパート。今回は咲良のお家という設定に…。
エイプリルフールにプロポーズしたら良く分からないことになってしまった…的なお話です…。
エイプリルフールだからセーフ的なやつ。