大きな数字を考えろ 〜 参謀とか組織とかが必要になる理由
戦国物をシリーズで3本書いて、R18で公開し、それをR15化。今はR18で4作目を書いているところですが、ちょっと遅れ気味になっています。
まあ、戦争ものを書きたくて、それも、人とは一風変わった視点で描きたい。そういう思いがあるので、いろいろ変わった点での描写が多くなります。
例えば、
・兵糧の勘定で1話を費やす
・人口を増やすということを考える
・魔法・魔術・呪術の類をまず生産や社会的な意味での医療に適用しようとする
・事前の計画が大事とばかりに、やたらと軍議(会議)をやっている
てな感じw
で、今回は兵糧の話をどう組み立てるか、改めて書いてみようと思いました。
実際に、第1作のなかで書いてるわけですけどね。面倒くさい計算をw
合戦の規模を最初は大きく考えることはしませんでした。
人口数万程度の郡を想定して、2000〜3000の動員規模……これでも大きいかなと思いましたけど。
ただまあ、1000足らずだと、合戦の規模が小さすぎてお話にならない。かといって万単位だと、リアリティがないんですよね。
ところが、これでも計算が大変になるんです。文系人間なのに、あかんですよね。
そんなの書かなきゃいいって話かもしれませんけどねw
人を食べさせるって大変です。
でも、普通に仕事でイベントやって、1000人集めて、それに3食提供しろ。
現実にビジネスをやってると、あって不思議ないですね。
1000人の軍隊を動かすのも同じです。
1日トータル3000食になっちゃいます。
それが10日連続だとしたら、どうですか?
30000食ですよ。
食べ物に重量がなければいいんですが、物質なんですよねw
まず主食から考えましょうか。
米(玄米)を考えましょう。
まず、1人1食1合の米を用意します。茶碗普通盛り2杯くらい。玄米だと脂っけがあり食いごたえがありますから、十分でしょう。副菜と汁物しだいなとこもありますが。
1000人を10日動かすには、30000食=30000合の米が要ります。
30000合=3000升=300斗です。
なんでこういう計算をわざわざ見せるかというと、米4斗で1俵になっちゃうからなんですね。
くそ、昔の人間、ややこしいぞ。
300斗は、75俵になります。
予備も含めて80俵調達したとしましょう。
米1合が150gですから……総重量は4.8tです。
1俵は60kgです。
荷車にはピラミッド状に円筒の俵を積みます。
一番下段から、4個+3個+2個+1個と合計で10個乗るので1台600kg=0.6tです。
もうわかっていると思いますが、8台の荷車が必要になりますね。
副菜や調味料、酒なんかも運ぶとすれば、さらに8台の荷車が必要だということにします。
ごめんなさい、話が面倒くさくなってきたので、端折りましたがww
ともかく荷車16台です。
1台4人の人足が必要だとなれば、16台×4人で64人がめでたく追加です。
計算がどんどん面倒になりますから、もう2台荷車を増やしましょう。
予備も兼ねて米を運ぶ荷車と副菜などの荷車を1台ずつ追加して、人足分の食糧もそのなかに含まれることにしちゃいます。
18台の荷車と、人足72人になりました。これが小荷駄隊ということになりますね。統率と護衛は1000人の将兵のうちから1隊を抜き出してやらせればよいので、まあ、面倒に考えなくていいですが。
こういう計算を、登場人物にやらせちゃうわけですw
正直、生身の自分が、こういうロジスティック(兵站)を考える時には、表計算ソフトが欲しくなりますね。でも、これ、昔の人は、暗算か、算盤か、墨と筆で書きつけるかで計算したからえらいこっちゃですよね。
秀吉の北条征伐とか、何十万の軍隊を飢えさせずに、こういうことをやってるわけです。石田三成以下、奉行衆の計算とか、その計算通りに物資を調達して運ばせるとか、物凄い仕事力ですよね。
一人の人間の号令で、遅滞なく物事を動かすって大変です。そこに携わる人間もいる。その力って半端じゃないですよね~。