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03 いきなり追放!?と思いきや、何故か餞別を貰いました

柊花蓮のうわさ3 夜はすぐ寝るらしい。

 


「うわっ、すごーい!」


 騎士の人に案内されたのは、何やらすごい装飾がたくさんされている部屋だった。


「****」


 騎士の人は私を部屋に案内すると、何か短い言葉を並べて腕をかざすようなジェスチャーをすると、早を出ていってしまった。

 そのジェスチャーが何を伝えたかったのかいまいちわからなかったが、ひとまず刑務所ではなかったことに安堵するのだった。


「あ、お水がある」


 部屋を探索してみると、部屋の隅の方に置かれた台座の上に樽があり、その中に水が入っていた。


「飲んでいいやつなのかな?」


 色や匂いは何の異常もないのだが、飲料水にこんな保存の仕方をするのだろうか?と言っても、異世界の文化なんて全くわからないが。

 少しの間悩んだ結果、やはり喉が渇いて仕方なかったので飲んでみることにした。


「うーん…うん。お水だ」


 不思議なことにそれは驚く程舌に馴染む味で、今まで我慢していた分ぐびぐびとその水を飲んでいった。


「**…***」


 すると、ちょうどその水を飲んでいるタイミングで入ってきた先程の騎士の人がやってきた。


「あの…えっと…」


 騎士の人は、私が水をぐびぐび飲んでいるのを見て驚いたようにこちらを凝視してきた。

 なにか不味かったのかと戸惑っていると、騎士の人はしばらくして気を取り直したのか、再び私についてくるように指示を出してきた。


 今度はどこに行くのかと思いながら付いていくと、また街の門のところまで連れてこられた。


「*****」


 そこで騎士の人が何かを言うと、荷物の入った鞄を渡してどこかに去っていってしまった。


「ええ…?これって追い出されたってこと…?」


 試しに街に戻ろうとする素振りを見せると門番の人が困ったようにするので、どうやら本当に追い出されたようだった。

 私に何か問題があるのかなとか考えながら渡された荷物を確認すると、そこには旅で使えそうな道具が入っていた。


「なんでこんなものくれたんだろ?親切心…じゃないよね」


 平和ボケした日本人である私からしてもこの餞別の意味がわからず困惑したが、とりあえず貰えたものは貰っておこうと素直に喜ぶことにした。

 しかし、本当の問題はここからで、これからどこに向かえばいいのかという話だ。

 当然この世界の地図など知る由のなく、もらった荷物の中にも地図らしきものは入っていなかった。第一、地図があっても現在地がわからないので意味は無いのだが…


「とりあえず現状の整理かなぁ」


 私の常識を超える出来事の連続で疲弊していたこともあり、ひとまずは街から少し離れた場所に拠点を置いてそこで考えをまとめることにした。

 ちょうど先程の森の入口付近に少し晴れた場所を見つけていたのでそこを拠点にすることにして、貰った荷物のうちから組立式テントを設置することにした。


 ──のだが…


「えっと…あれぇ?この脚を……どうすれば…」


 ここで私のスキル『インドアウーマン』が発動し、うまくテントを組み立てることが出来なかった!


「って異世界風に言ってる場合じゃない…」


 出鼻をくじかれたというかなんというか、まさかこんな初歩的なことでつまづくとは思っていなかったので、改めて異世界の厳しさを思い知らされた。

 そもそも、お膳立てされた野宿すらしたことがない私に、いきなり一人で野宿しろと言われても無理な話なのだ。


「あ、そういえばお風呂とかってどうしよう…」


 テントを組み立てることを一旦諦めた私は、荷物に入っていた携帯式食料を食べながら今後について考えることにした。そう、まさに現実逃避である。

 それに加え当然こんな状態で考えてもろくな考えが思い浮かぶはずもなく、私は辺りが暗くなってくるまで無駄な時間を過ごすことになったのだった。

 あと、携帯式食料は不味かった。

「私だって夜更かしくらいするよ!……11時くらいまで起きれば夜更かしになる?」

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