2 街発見!?ちゃんと入れるか不安です...
柊花蓮のうわさ2 身長は小さい方らしい
それからしばらく呆けていたが、流石に何かしないとまずいなーと思い始めたので、先程の巨大蜥蜴軍(私命名)がやってきた方を目指せば街に着くだろうと予想してそちらに向かって歩いていくことにした。
ちなみに現在地は木がまばらに生えている森で、私以外の生き物はあまり居ないようだった。
他の生き物がいないのは、正直とってもありがたい。現代日本人である私に、戦う力なんてあるわけないのだから。
「とにかく早く街に着かないと、餓死しちゃうよね…」
善は急げと走り出したい気分なのだが、森の中を歩いたことなんて当然ないので、足取りがおぼつかなくてとても走ることなんて出来なかった。
森の中を歩くのにも慣れてきた頃、ようやく森を抜けることが出来た。
森を抜けた先には平原が広がっており、その中には防壁で囲われた街も確認出来た。
「街を見つけられたのはラッキーとして…問題はここからだよね」
先程のことで言葉が通じないことはわかったので、街に入ってもうまくご飯や宿にありつけない可能性がある。いや、そもそも街に入れないかもしれないのだ。
「まあ、とりあえず行ってみるしかないよね」
私はまさか地球の現代社会レベルの入国審査がされてる訳じゃないだろうと予想しながら、街に向かっていった。
街に着くと、門番と思わしき人に呼び止められた。
「*********」
「私、街に、入りたいんです」
言葉で会話することが出来ないとわかっていたので、ジェスチャーを混じえながら説明すると、門番の人もジェスチャーで案内をしてくれた。
なんとか意図が通じたことに安堵しながら付いていくと、門の隅に取り付けられた小部屋に案内された。
その小部屋はかなり簡素なもので、机と椅子が三つ。机の上に一つに冊子と謎の球体しかなかった。
「***、***」
「手を…こうですか?」
椅子に座るように案内されてから相手のジェスチャーに合わせて謎の球体に手をかざすと、なんと…何も起こらなかった!
「*****!?」
門番の人はそれが予想外だったようで、何かを叫んだあと、私にここに残れと言った感じのジェスチャーをしてから小部屋を出ていってしまった。
「最悪だあ…」
ちゃんとあの神のおじいさんに何事もないようにと祈っておいたのに、現実は非情であった。
しかし、私は転んでもタダで起きる女ではない!…なくありたい!ので、何か身になりそうなものを探してみることにした。
「あっ、これって本かな」
流石に冊子は門番の仕事関係のものだと予想して触らないでおいたが、机の引き出しの中に表紙が動物の絵の本があった。
「うーん…本じゃなくて図鑑っぽいなあ」
中を読んでいくと、1〜2ページ毎に何かの動物の絵に加えて謎の文字が書かれていた。
動物の絵はほとんどが見たことのないもので、禍々しいものが多かった。
文字が読めなきゃ意味が無いかと思ったが、中には文字が読めなくてもなんとなくわかる項目もあった。
例えば、星のようなマークの個数だ。このマークは絵を見た感じ強そうな動物には多く、弱そうな動物には少なく付けられていた。つまり、これはその動物の危険度を表したものだろう。
「うわっ、これ星の数すご…」
なんとなくその図鑑を読み込んでいると、小部屋に先程の門番の人ともう一人別の騎士風の人がやってきた。
「***……******」
騎士の人が何かを呟くと、門番の人がもう一回手をかざせとジェスチャーをしてきた。
再び手をかざしてみてもやはり反応はなく、それを見た騎士の人は私に付いてこいというジェスチャーをしてきた。
(刑務所じゃありませんように……)
状況的に連行といった感じではないので大丈夫だと思うが、謎の球体が反応を示さなかったことがなにかまずかったんじゃという不安も拭いきれずに、私は不安を感じながら騎士の人について行くのだった。
「……******」
「今、小さいなこの女って言わなかった?」