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1 異世界転移!?ちょっと神様ちゃんとして!

柊花蓮のうわさ1 実はミカンよりリンゴの方が好きらしい。

 


 私は、気がつくとこたつの中でぬくんでいた。


「っていつの間に!?」


 さっきまで何をしていたか思い出そうにも、何故か記憶にモヤがかかったようで何も思い出すことは出来ない。


「ほっほ。まあ、これでも食べて落ち着きなさい」

「あ、どうも…」


 こたつに同席していた白い髭を生やしたおじいさんから、みかんを渡された。


「うん!甘くて美味しい!」

「うむうむ。元気で良い事じゃ」


 ひとまず、親切なおじいさんが同席していてくれてラッキ……同席?こたつに?ていうかここどこ?


「ほっほ。混乱するでない。儂はいわゆる神というやつじゃ」

「へー…神のおじいさんだね」

「そうじゃ」

「うんうん。神のおじいさん…」


 なるほどね。神のおじいさんかぁ…ところで神ってなんだっけ。


「まあ、儂のことはどうでも良い。問題はお主の事じゃ」

「私?」

「うむ。お主の魂を欲しいと言っているやつがおってのう。そやつが暴走してお主の魂を引っこ抜いてしまったんじゃ」

「はい?」


 ちょっと何言ってるか分からないですね。


「簡単に言えば、別の世界に言ってもらうことになったんじゃ」

「べ、別の世界…?」

「うむ。そこまではいいのじゃが…」

「えっ!?全然良くないですけど!?っていうか更に問題があるってことですか!?」


 つまり異世界転生ってやつ?あれ?転移だっけ?そもそも異世界ってあったんだ…ていうか問題って何?


「うむぅ…儂も説明してやりたいんじゃが、時間がないのう。具体的に言うと、お主がみかんを食べ終わるくらいまでしか残っとらんのじゃ」


 え?たった今最後の一粒を口に入れたとこなんだけど…と私が思ったのと同時に、私の身体から光が差し始めた。


「すまんの〜。色々苦労すると思うが、頑張るんじゃぞ~」

「ちょっ、無責任すぎませんか〜!?!?」




 ───────




 かくして、私は異世界に転移したのであった。


「したのであった。で済むかぁ!」

「にゃっ!?」


 あまりの衝撃の連続に叫び声をあげると、どうやら近くに誰かが居たようで可愛らしい声が聞こえてきた。

 声のした方を確認してみると、そこにはオッドアイの少女が尻餅をついていた。


「あ。もしかして驚かしちゃった?ごめんね」

「……」


 初対面が話しやすそうな人で良かった〜と思いながら私から話しかけてみると、その少女は驚いているような表情で私を見つめてきた。


「えっとー…あっ!私は花蓮かれんっていうんだけど、あなたの名前は?」

「…」


 その少女に挨拶をしてみても相変わらず私の方を見てほうけているばかりで、しばらくすると気を取り戻したように周りをキョロキョロと見渡してから、どこかへと去ってしまった。


「あれ…私変な事言ったかな…?」


 今度は私が少女が去っていった方を眺めながらほうけていると、不意に下の方からキラリと何かが光ったような気がした。

 何かと思い地面を確認してみると、そこには少し大きめな宝石のようなものが落ちていた。


「綺麗…じゃなくって、これあの子の落とし物かな?」


 とりあえずあの少女を追いかけるかどうするか悩んでいると、今度は少女が去っていった逆の方から地響きがしてきた。

 なんだろうと思ってそっちの方を眺めていると、やたらと重そうな鎧を着込んだ人達が巨大な蜥蜴に乗って大移動をしていた。

 すごい迫力だなあと思いながら…ってなんかこっちに来てるんだけど!?

 特にやましいこともない…はずなのでその場に留まっていると、戦闘を走っていた人が私のところで止まり、その巨大な蜥蜴から降りてきた。


「***************」

「へ?」


 その人から話しかけられたのだが、聞いたこともないような言語で到底理解することは出来なかった。


「*****」

「えっとー…日本語でお願いしたいんですけど…なんて」

「………***」

「無理ですよね〜…あはは…」

「********」


 当然お互いに相手が何を言っているかわかるはずもなく、そこからしばらくの沈黙が場を支配した。


「****」


 その人が何か短い言葉を発すると、今度は後ろの方から別の人がやってきた。


「**********」

「えっと…はじめまして?」

「****!?」


 私が話しかけると新しくやってきた方の人は何か驚いたようなアクションを取り、二人で何か相談をした後真っ黒な玉を手渡された。


「***」

「えっとー…」

「**」


 玉を受け取ると用が済んだのか、また巨大な蜥蜴に乗って少女が去っていった方へ去ってしまった。


「なんだったんだろ…」


 渡された玉を確認しながら、ふとあの神のおじいさんのことを思い出した。


「問題って…もしかしてこのこと…?」


 ただでさえ異世界転移とかいう訳の分からない現象に巻き込まれているのに、言葉が通じないなんてもうどうしようもないじゃん…と初っ端から絶望を味わうはめになったのだった。


「りんごの方が良かったかのう?」

「別に神様に文句言ってるわけじゃないからね!?あと、こたつにはやっぱりみかんだよ!」

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