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異世界なんか行きたくなかった  作者: 耳かき
地球編
9/10

死にまつわる言葉を使うのは良くないという風潮がある。不謹慎だの相手が傷つくだの様々な理由をつけて大人は口を酸っぱくして言う。俺も使うなとよく注意された。果たして、使わないことが自分にとっていいことにつながるのだろうか。言わないことで友達が増えたり、彼女ができたりするわけがない。逆に俺はコミュニケーションの一環で使っているのだからむしろこのままのほうがいい。なぜ、今の人たちは冗談で使うのか。それは汎用性が高く、自分の感情を表現しやすい言葉だからだ。例えば、「やばい」という言葉は怒り、悲しみ、楽しさなどの感情を表現できる。それと同じように様々な感情を表現するのに便利なんだろうと考えた。

昔の俺は「死」を体験してないが故に軽々しく使えたのだろう、自分が死に、人を殺した後にはそう思えた。これからもこの言葉を使うだろう。でも、この言葉を使うときは強い意志を持って使うことにしよう。俺は死んだ男の目を見つめながら心に誓った。

「おめでとう!これで人殺しの仲間入りだね。」

「お前を必ず殺す。」

俺を苦しめている原因である田中に言った。

「それは怖いねえ。殺されるのを待ってるとしよう。」

壁が扉になり、誰かが入ってきた。

知らない男だった。細マッチョの筋肉質で身長は180cmくらいある男性だった。

「お前を殺せばいいのか。」

デジャヴのようにまた殺し合いが始まった。



死体の山ができていた。床は真っ白だったはずなのにほとんどが真っ赤になっていた。自分が死んだ回数を数えながら殺し合いをしたが100回を超えたところで数えるのをやめた。それよりも生き抜く方法に全神経を集中させた。誰かを殺したら、誰かが入ってくる。その繰り返しだった。この体は眠気や疲れというものも感じないらしい。人間からどんどんかけ離れていくのがわかった。俺は死なないために相手を観察し、まねるという作業を繰り返した。そのおかげで途中から死ぬ回数は減った。一心不乱に人を殺していくといつの間にか殺すことに抵抗がだんだんなくなっていった。自分が自分じゃないように感じ、恐怖した。

「クソ!」

恐怖をかき消すように床を叩いた。いつになったら終わるんだよ!もう人を殺したくないんだ!

「お疲れのようだね。この訓練は終了だよ。じゃあ、ご褒美に3つ質問に答えよう。」

なめやがって。だが、よく考えて質問するとしよう。

「今、そしてこれからの手術によって得る能力のすべてを説明しろ。」

「態度が最初と全然違って横暴だねえ。まあ、いいんだけどね。じゃあ、説明していこう。君が得る能力は5つある。1つ目は蘇生手術。君の脳に埋め込まれたチップが君が死んだと判断すると蘇生を開始する。しかし、不死身というわけではない500回くらい死ぬと蘇生するためのエネルギーが足りなくて死ぬ。普通に食事してたら補給されるから、一回の戦闘で500回と考えてもらったらいいかな。ちなみに今回死んだ回数は382回だったよ。結構ギリギリだったね。」

死ぬ前提で行動していたら死んでたかもしれない。その恐怖に生唾を飲む。

「2つ目は体改造手術。常にコンディションを最高にする。これによって睡眠も休息もいらない体になった。意識を失って目が覚めた瞬間からでも自身ができる最高の戦闘ができる。ただし体だけ。精神疲労はある。」

「3つ目は環境適応手術。これに未知の病原体に対しての対策も入っている。これは異世界産物のモンスターやらを君の体に注入して適応するまで続ける。異世界に行っても困ることはないはずさ。病で死んだ場合は蘇生できるからあんまり意味ないんだけどね。」

「4つ目は感覚拡張手術。要は五感をよくする手術だね。今見てる世界とは全く違うようになると思うよ。」

「5つ目は瞬間記憶手術。瞬間記憶能力を得る。まあ、これは君帰ってきたときに異世界のことを聞くためだね。」

感覚ではなんとなくわかっていたが便利な体になっているみたいだ。もう普通の生活に戻るのは不可能だろう。

「二つ目だ。俺に自由に行動できる時間はあるのか?」

今後の訓練について聞こうとも思ったここに来た時に知らないと言われたからな。分からないと答えられる可能性もある。この質問ならスケジュールを知ってそうなこいつなら答えられるだろう。

「あるといえばあるしないといえばない。君が僕たちのスケジュールより早く終わらせることができたら自由時間にはなる。今回は1時間オーバーだよ。」

よし!これでここについて調べることの可能性ができた。

「最後の質問だ。どうすればお前を殺せる?」

答えるとは思わない。しかし、聞かずにはいられなかった。怒りによるものなのか憎しみによるものなのかはたまた別の感情なのかわからないがこれだけは必ず聞くと決めていた。

「あはは、聞いてくると思ったよ。ほんとに扱いやすい性格だよね。今君が持っているナイフで僕を刺したら死ぬさ。僕に会う機会はいずれあるからそのときを楽しみに待っててよ。」

次に会ったときに確実に殺せるように強くなろう。今のままじゃだめだ。あいつが何を準備してくるか分からない。それをすべて超えられるように…。

「じゃあ、質問も終わったことだし、次の訓練に行こうか。」

壁の一部分が扉になって自動で開き、扉の向こうの部屋へと歩き始めた。








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