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異世界なんか行きたくなかった  作者: 耳かき
地球編
3/10

プロローグ③

大きな部屋だった。おそらく、学校のグラウンドよりも大きい。周りは真っ白な壁で天井は校舎を見上げた時よりも高いと思う。遠くに透明な立方体が見えた。田中さんがその立方体に近づいていく。あそこにいるのか…!自分でも鼓動が高鳴るのがわかる。そして、田中さんがこちらを向いて言った。

「この世界には絶対に存在しない生物、スライムだよ。透明な壁には触らないでね。攻撃してくるから。」

俺の目の前にはイメージどうりの青いスライムが動いていた。興奮気味に言葉を口にした。

「本当に存在するんですね?異世界が!」

「うん、これで信じてくれたみたいだね。じゃあ、質問の答えの続きだね。」

興奮して忘れていた。ここに連れてこられた意味をまだ聞いてない。俺に眠っている力があるとかか?中二心がくすぐられるな!俺は期待の眼差しを向けて答えを待った。

「ここに連れてきたのは君が異世界転移の素質があるからだよ。」

それだけ…か?聞かずにはいられなかった。

「それだけですか?他に俺だけにある特殊能力があったりしないんですか?」

そう聞くと田中さんは声に出して笑いながら答えた。

「アハハ!想像力豊かだねえ。そんな超能力のようなものは君にはないよ。」

恥ずかしい…。いらない言葉を言ってしまった。ちょっとショックだが切り替えて状況把握のために質問をするとしよう。

「まだ質問を続けていいですか?」

「ああ、いいとも。」

「なぜ、俺に異世界転移の素質があると分かったんですか?」

「質問を質問で返すようで悪いんだけど、昨日トラック事故についておかしなことはなかった?」

なぜこの人は俺がトラックの事故を目撃したこと知っているんだ?少し悪寒が走ったがおそらく田中さんが聞きたいのは4人が神隠しにあったことについてだろう。まさか…!

「クラスメイト4人がトラックに衝突したように見えたのに忽然と姿を消していました。クラスメイトたちは異世界に飛ばされたんですか?」

「大正解!そして、君はそのことを覚えている、これが何よりの証拠だよ。通常、こちらの人間があちらに飛ばされると歴史の修復によってあちらに行った人間は存在しないことになる。つまりは、そのクラスメイト達を記憶している時点で素質があるってわけさ。」

「じゃあ、あなただって…!」

「今現在、転移のゲートは完成に近づいているのだけれども異世界の転移したものが誰か分かってないとその世界に行けないんだ。そして、僕はそのクラスメイトが誰かはわからない。ただあちらに行ったら存在しなくなることを知っていたからさ。4人も転移したなんてことも今初耳だよ。」

田中さんは肩をすくめてそう答えた。

連れてこられた理由は理解した。じゃあ、次の質問だ。これが今後の俺の生活を左右するだろう。

「僕は異世界に転移するために連れてこられたってことは分かりました。僕はここで何をすればいいですか?そして異世界に行って何をすればいいんですか?」

「うん、当然の疑問だよね。じゃあ、最初の質問から答えていくね。異世界に行ったときに死んでもらうと困る。よって、全世界の研究者の権威たちが考えた訓練および実験を行ってもらう。あらゆる展開を想定して生き残る術を学んでもらうつもりだ。」

「訓練っていうのは分かるんですけど、実験というのは何を?」

「ウイルスとかで死なないようにする実験とかかな?ごめん、あまり詳しい内容は聞かされてないんだ。」

まあ、異世界に行く素質だけなら妥当な感じだな。異世界に行くまでサポートをしてくれるってことか。

「分かりました。じゃあ、異世界では何をすれば?」

「異世界ではやってもらうことは2つ。1つ目はクラスメイトをこちらの世界に連れて帰ること。今までどれくらいの人数があちらに転移したかわからないけど、こちらに戻ってきたということは一度もない。戻ってきたときにどうなるかも含めて研究を急いで進める必要がある。こちらを最優先でやってほしい。2つ目はできるだけ地球で見たことのないものを持ち帰ってほいい。研究に使えるからね。こちらのお願いはこんなところかな。」

思ったよりもやることが多いな。でも、異世界に行けるだけでも楽しそうだしいいか。

「分かりました。ここで訓練の時間と異世界に行く期間を教えてもらえますか?」

「この研究所での訓練および実験は24時間。つまりはここで生活してもらうことになる。また、異世界に行くのは1年後。そして、異世界に行った後は3年異世界で生活してもらうことになるよ。」

家には帰れないってことか、異世界に行く訓練に1年しかないんだ。家には帰りたかったが仕方ない。早くここの生活に慣れれるように頑張ろう。おそらく、国家が関わっていることは施設や話を聞く限り明白だろう。なので家や学校には上手いこと言ってるのであろう。

「4年間協力することは分かりました。そのあと俺は普通の生活に戻れるんですか?あと、俺に対しての報酬はあるんですか?」

「残念ながら、元の生活には戻れない。そして、報酬はすべてがうまくいった時に僕たちが出来ることなら一つだけ願いを叶えてあげるよ。」

「本当ですか!?」

報酬についてはかなり破格な気がする。国家が関わってるとなると叶えられる幅はかなり広いはずだ。よりモチベーションが上がった。しかし、元の生活に戻れないというのは4年後も継続して協力し続けなけばならないということか?

「元の生活に戻れないというのは4年後も協力し続けるということですか?」

田中さんは微笑みながら、俺には到底理解しがたいことを言った。

「そうだね。なんせ、君は一生この研究所で生活することになる。そして、相沢 宗太という人物はもう死んでいるからね。」


ここからが俺の地獄の始まりだった。






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