悪役とヒロインの仲は良好です!(クソゲー世界での共同戦線)
私がまだ六歳だった頃のとある日の朝、私は前世の記憶を思い出した。私がクソゲーと呼ばれていた乙女ゲームの悪役令嬢だという事実と共に。
私の身分は公爵家の長女というのが悩みだ。私はまったりしたい。お妃教育なんてごめんだ。
だから、ヒロインには悪いが利用させてもらおう。すまん。
というのが去年までの私の心境だった。今?
今の私はヒロインと共に商人をやっているさ。
実は、ゲームの舞台である学園に入学したとき、ヒロインのシナリオからあまりに離れた攻略対象を避けるかのような行動に違和感を持ち、声をかけてみたんだ。君は転生者か?と。
その結果、泣きつかれた。盛大に。彼女は前世でこのゲームをプレイした経験があるらしく、あんな屑共と結ばれるのも貴族の娘としてどこかの豚野郎に嫁がされるのもごめんだ。といっていた。
それからの私たちはよき理解者として共に歩んでいくことを誓った。私たちの行動は早かった。
変装しては町に繰り出し人脈を作り。厨房では記憶をいかして料理を考え。少しずつそれらを売りさばき、さらに人脈を広げた上でお金もため。
二ヶ月前、学園を脱走し商人としての活動を開始した。今一番売れているのは恋愛ものや冒険譚等の娯楽小説とお菓子だ。この世界は識字率も高く、砂糖も安いので助かる。因みにどちらも私たちの作だ。今では町で『謎の麗しき爽やか商人と可憐な姫商人』として話題になっている。私が男だと思われていることなんか気にしてない。気にしてないんだ…。べ、別に噂が恥ずかしいとかだって思ってないやい…っ
むぅ、ヒロインが私の肩を叩いて遠い目をしているんだが…
あぁ、諦めろと、そうかい。もういっそレズにでもなって君と…
あ、やめてっ!そんな冷たい目で見ないでっ
まぁ、とにかく楽しい毎日だ。今度はどんな小説を書こうかな?あ、婚約破棄ものなんてどうだい?もちろんクソゲーなんかじゃなくて普通のやつを、さ。
あぁ、小説は私が書いてヒロインが絵を描くという分担だよ。前世でイラストレーターを目指していたんだってさ。彼女。
それじゃ、今日はもう忙しくなってくるから。じゃあね。
また会えることを祈っているよ。




