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燃えた夏  作者: Karyu
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第九十七話 綾夏・刈谷 冬休み最後の日(四)


 はぁー、今日は楽しかったー。

 やっぱ刈谷くんを(いじ)るのは楽しいなー。


 うんうん、良き冬休み最後の過ごし方だったな。


 書類も無事通ったし、ハヤブサ総司令さん結構アバウト……?

 ま、いっか。


 でも、肉まんおいしぃ。


 私は夕陽が落ちる街道をアスファルトの少し削れた砂利を踏みしめながら、アパートに帰った。


 私のアパート、うーん、あの大きさからするとマンションなのかな? は私のおばあちゃんの計らいによって住ましてもらってる。

 マンションに着くと、自動ドアが開いて、私は認証暗号を入力する。そして音声証文もやって初めて住居用エレベーターに乗れる。


「木宮綾夏」


 それを言ってやっとエレベーターも動き出す。私の階は十階で最上階。


 私は自分の部屋の扉を開けて、靴を脱ぐ。そして、窓のほうへと歩み寄る。


 結構見晴らしが良いんだよね。

 刈谷くんのビルも見える。


 私の部屋はうーん、どれくらいだろ? 結構広いかな。


 私は肉まんを包んでいた紙袋をゴミ箱に捨てて、自分の机の椅子に座る。

 回転式なので、そのままくるくると回りながら思考を巡らす。


 あーあ、やることないなぁ。せっかく最後の日なんだし、なんかしたい……。


 ま、いっか。ユーチューブ見よっと。


 私は自分のPCを起動させて九時ぐらいまで、大体三時間ほど動画を楽しんだ。

 ユーチューブとは一般に動画共有サイトと呼ばれるもので、色んな動画を楽しめるのだ。


 ごはんは肉まんだけじゃ足りないから、冷蔵庫から昨日買っておいたおにぎり二十個ほどを雑誌を読みながら完食する。


 そしてお風呂に入って、ケアも済ましてベッドの中へと飛び込んだ。


「うぅ、やっぱり冬は寒いなー」


 私のいるマンションはおばあちゃんが手配してくれていて、おばあちゃんは一緒に住もうって言ってくれたけど私はもう自立しますって言ったら泣きながら用意してくれちゃった。

 ああいうのが孫バカっていうのかな……? あ、いけない、こんなこといっちゃいけないや。それに、お金出してもらってちゃ自立って言わないよね、やっぱ。


 でも定期的におばあちゃんには会いにいってるし、企業の方も上手く行ってるみたいだし、問題ないよね。うん、問題ない。


 でも半年ぐらい前におばあちゃんにMBSに入るって言ったら、すっごい反対されたのはまだ覚えてるなー。

 でもその後すぐに了承してくれたし。なんだったんだろ? やっぱり私の過去と関係してるのかな?


 あの時の野呂山山火事事件、またの名を広島大火災の記事については私のことは単に生存者としか書かれてなかったし。


 やっぱりMBSが隠蔽しちゃったのかな?

 きっとうん、そうだろう。

 感謝するべきなのかな? こういうのって……。


 でも今は頑張ってるんだし良いよね。うん、良いに決まったる。

 逆に感謝されるべきだ……なんてね。


 ふぅ、寒い寒い。


 明日は当然だけど学校か。


 宿題はやったし、うん、大丈夫。


 そういえば未来、学校に来るのかな?


 十月の中奇戦が始まる前に山口MBS支部で若い男の人と一緒にいたけどあれ以来会ってないからな……。今だと、あの時の若い男の人がシコンだってことはわかったけど。

 私はあの時、山口MBS支部で少しだけ未来と話したときのことを思い出す。










 支部で中奇戦作戦会議前、私は未来と対面した。


「み、未来?」

「うん、そうだよ綾夏」

「ど、どうして?」

「えへへ、私もチルドレンなんだ〜」

「え!?」

「それでリベリオンの一員なんだよ」

「……」

「ほら、そんな顔しないで。ね? 前までは敵同士だったけどいまじゃ見方同士なんだし」

「で、でも、なんで秘密にしてたの?」

「それは……綾夏も一緒でしょ?」

「……!」

「ね? でもこれでおあいこだよ。だから、ね? これからも私達、友達だよ」


 未来は笑って、泣きながら私に抱きついた。


 私も


「うん、うん……」


 と泣きながら未来を抱き返した。











 でもそれ以降、学校でも私は未来に会うことはなかった。


 明日は会えるかな?


 そう願いながら私はいつも眠りについていくのであった。


はい、ここでこのショートストーリーは終了です。


次回はなんと、刈谷の明かされざる過去のお話に転向いたします。

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