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燃えた夏  作者: Karyu
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第九十四話 綾夏・刈谷 冬休み最後の日(一)

新しい短編です。綾夏と刈谷です。


 今日は冬休み最後の休みって、当たり前か……。でもせっかくの最後の休みに任務なんて乗り気しないなー……。


 私はしぶしぶ鳳欄高校のスペースまで足を運ばせていた。閉まっている校門をカードで開けて、校舎内のスペースに入る。


 なんか無人の学校って朝の内でも不気味だな。暖房入ってないし、肌寒いし。でも、ま、流騎くんよりはマシかな。正月に任務が入るってのも嫌だし……。


 私はそのままメインコンピューターの電源を入れて、送信されてきた任務の通達回線を開いた。

 するとハヤブサ総司令官さんの顔がモニターいっぱいに広がった。ちょっと、嫌かも。


「アヤカか?」

「はい、総司令官さん」

「その、さん付けはどうにかならないのか?」

「え? いやですか?」

「いや、まあ良いとしよう。今日来てもらったのは他でもない。任務だ」

「はい」


 ああ、なんかどきどきしてきたな。


「アヤカの今日の任務は、そこ鳳欄高校に出るといわれる神出鬼没な人魂の調査と殲滅だ。それでは任務用の書類を送るので、今日中に終わらして報告書を送っておいてくれ。以上、質問はないか?」

「あ、いえ、あの、その……」

「ないのならよろしい。朗報を待つ」


 総司令官さんの顔がモニターから消えた。


 私はファックスで送られてきた書類の紙十枚を手にとって恐る恐る内容を確認した。


「あぁ、やっぱり私だ……」


 書類の物的証拠写真には外からこの校舎内の窓に写った(おびただ)しい数の人魂らしき火の玉の写真が何枚も写されていた。

 その写真の提供者は、なんと同じクラスのオカルト研究会の子。しかも日付は刈谷くんがMBSに入って合宿を始めた日から。


「あぁ、どうしよう……。まさか報告書に夜な夜な学校の廊下でケイの練習の為に、たくさんの火の玉作り出してて遊んでたなんて書けないしなー」


 ほんとにどうしよう。今日中にどうにかしないといけないし……。


 私は送られてきた書類をもう一回読み返していたら最後のページに赤い項目で、【連絡が取れる場合に限り助力として一人までの隊員を要請することができる】と。


「これだっ!」


 私は勝利の右拳をスペース内に突き出した。私の顔には歓喜と残虐的な笑みが漂い始めていたけどまったくもって私には自覚がなかった。








 ぞくっ!!


 うおっ、なんだこの感覚!? 背中に悪寒のする雷鳴の一撃……。

 寝違えたか? まあいい、俺は意識を元に戻した。


 よし、いけっ、そこだっ!


 よーしよしよし、ファイナルステージ進出だな。


 俺は格ゲーの画面の前で奮闘している。新しくできたストリート非行少年という街中の善人な住民を非行少年が殴ったり、蹴ったりするという十五歳以下はプレイ禁止とされているゲームだ。

 それを俺はすでに二時間以上プレイして最終ステージにまでこぎつけた。今は昼だが今日は冬休み最後の日だ、だれも今の俺を止めることなどできない。


 俺の周りでは他のゲームが機械的に奏でるゲーセン特有の騒音を聞きながらも、俺は落ち着いてゲームができていた。

 いや、むしろこれだけ騒がしい方がなんの遠慮なくやれるから、集中力が冴えるんだろうな。そんなことを考えながらも、短いステージ毎のインターミッションの後、再びゲームに集中した。


 確か最終ボスは近所のおばさんだったよな。現実にも恐れ多い存在だしな、ストレス発散もできて丁度良い。


 俺は何気なく最初に登場してくるサラリーマンや中高生達を軽く捻り上げ、どんどんと自動的に進んでいく主人公の非行少年を暴らせまくった。

 そしていよいよ最終ボス、近所のおばさんが登場する直前に俺の携帯が鳴った。


 くそっ、一体誰だよ、こんな大事なときに!


 俺は右手ですばやく携帯をポケットから取り出して耳に当てる。


「もしもし?」

「あっ、刈谷くん?」

「き、木宮さん!? どうしたんだよ、いきなり?」

「今、暇だよね?」

「ああ、暇だけど今は忙しい」

「なにそれ? ま、いいや、今どこにいる?」

「ん? ああ、今、デパートのゲーセン」

「そっか、わかった。ありがと」

「ああ……」


 俺は通話中も、左手で華麗なゲーム操作を繰り広げながら携帯を元のポケットに仕舞う。


 なんだったんだ、今のは……?



いかがでしたでしょうか?w

やっと中間試験週が終わりまして・・・つ、疲れました。だったので、更新が遅れていたのはご勘弁ください。

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