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燃えた夏  作者: Karyu
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第八十三話 流騎・綾夏vs翼竜

 

 綾夏と流騎は翼竜と戦闘していた。翼竜の風によって発生されたかまいたちの連発により綾夏と流騎は遠距離も接近戦にも持ち込めずにいた。


「し、流騎くん、こ、このままじゃ……!」


 綾夏はフューゴ・ペールで迫ってきたかまいたちの一つを防いだが、強風によりフューゴ・ペールは吹き飛ばされ、その背後にいた綾夏も後方に飛ばされた。


「綾夏っ!」


「ふははははァ、案外あっけないものだなァシルキィ。我々のォオリジナルゥだと聞いてはいたがァ、ここまで弱いとはなァ」


「くっ……」


 流騎は横目で綾夏が無事なのを確認した。怪我を負ってはいたがすでに蛍火で癒していた。翼竜の感心をそらすため自分の過去を翼竜から聞きだすことにした。


「俺がお前達のオリジナルだと……?」


「ああ、そうだァ。我々はお前から取り出したァ遺伝子によって作りだされたァ」


「俺の遺伝子だと?」


「そうだァ、お前の持つ風の力、それは人工的に作り出されたものだからなァ」


「なに!?」


「その力を用いて一番最初に作り出されたのがこの俺だァ。風の力じゃ、シルキィ、お前よりも数倍は強力だァ。そしてその後に作られた昇竜と天竜はその能力を使うチルドレンから受け継いだものだァ」


「なにっ!? チルドレンからだとっ!?」


「その通りだァ。今やチルドレン、オリジナル達の研究は中国が最も進んでいる。ここ日本みたいに秘密にしておかなくても良いからなァ。そしてチルドレンからの遺伝子を取り出し、それを新たに組み替えることによってその力を最大限に引き出すことができるようになったァ。その第一実験体が俺達だァ。俺はお前を倒すことによって俺が俺自信であることを証明してやるゥ」


 流騎は現実から目を背けたくとも背けず、自分の過去に嫌気が差したが、そんなことを言える状況ではなかった。実際に翼竜の戦闘能力は高く、むやみに攻撃したら一瞬で殺されることは明らかであった。


「そうか、なら俺もお前を倒して自分自身を証明してやる。出来損ないのお前を殺してなっ! 出でよ、氷人の槍、ヒエロ・ランス!」


 流騎の右手に氷でできた水色に透き通る全長約二メートルの槍が現れた。


「面白い……受けてたつゥ! 出でよ、風扇!」


 翼竜は自分の髪を数本引きちぎった。すると翼竜の腰まで掛かる長い髪がまるで生きているかのように手に絡まり、黒い扇子のような形になった。その手からは異様な黒いオーラが漂っていた。


 流騎と翼竜は睨めあい、次の瞬間、消えた。いや目視できなくなったといったほうが正しいのかもしれない。所々見えるのは流騎のヒエロ・ランスと翼竜の風扇がぶつかり合って生まれる衝撃のみであった。


 綾夏は二人の戦闘を見守りながら、念仏を唱えるかのように口元を動かし続けた。その双眸は目視できないはずの二人の戦闘をしっかりと捉え、追っていた。


 翼竜は人間とは思えないほどに顔を引きつり、その表情には歓喜で歪んだ笑みを彫っていた。対する流騎は翼竜の荒々しくも無駄のない風扇によって繰り出される鋼鉄の打撃と、それによって生じるかまいたちの斬撃に押されていた。


「おらァ、おらァ、おらァ! どうしたァ、シルキィ、限界かァ!?」


 翼竜の攻撃は衰えることを知らず容赦なく流騎に襲い掛かっていたが、流騎はなんとか翼竜の一撃をしゃがんでかわし、ヒエロ・ランスを逆手に持って翼竜の腹を突いて突き飛ばした。


「うおッ!?」 


 翼竜が一、二メートル空中に飛ばされた瞬間、戦闘を見守っていた綾夏が、


「松陰焔硝、無砕焼結、熱血呪縛!」


 綾夏の瞳に一瞬火が燃えたかと思うと、翼竜は空中で制止した。


「おやッ?」


 翼竜はあまり驚きもせず、自分の現状を楽しんでいるかのように見えた。しかし、時間がたつにつれ翼竜の周りには無数の赤い光を帯びた線が翼竜の周りを旋回し始めた。


 翼竜は身の危険を感知したのか、動き出そうとしたが、一向に体は動かなかった。


 綾夏はゆっくりと空中で赤い線に包まれていく翼竜のそばまで歩き、


「転結」


 と唱えた。すると、赤い線は一気に膨張し、翼竜を灼熱の炎で燃やし始めた。身を焦がされながらも翼竜は歓喜に身を浸しながら叫んだ。


「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひャ! 燃える、燃えているゥ。俺の体が音を立てながら燃えていくゥ。ひゃひゃひゃ。覚えておけよ、シルキィ、俺が死のうとも俺の兄弟達がお前を殺しに来ると言うことをなァ!」


 そう叫び終わった後、翼竜の声帯は焦がされ、燃えながら蒸発していく眼球をシルキに向けながら翼竜はそのまま空中で灰になった。


 術をかけた綾夏は、難易度の高い呪文を唱えた為、精神的体力を使い果たし、そのまま座り込んでしまった。


「綾夏、大丈夫か?」


「うん………。大丈夫っ……、うわっ!」


 立ち上がろうとした綾夏だったが足に力が入らないのか、またもやその場に腰がついてしまった。


「ご、ごめん……」


 綾夏は顔を高潮させ、背けたが、


「いや、よくやってくれたよ。後は刈谷達だな……」


 流騎は丁度桃が戦闘を終えた光景を目撃し戦闘が続いている刈谷と静香のいる方向を眺めた。



流騎と綾夏のタッグ対翼竜でした。

綾夏強くなりましたね。私としてはうれしい限りです。

それでは、明日は刈谷と静香ですね。一体どうなることやら。それは次回のお楽しみです。

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