第七十九話 嵐の前の静けさ
「それじゃ、今から作戦会議といくか。主軸といってもまあ俺たち五人しかいないからどうするか決めないとな。一般隊員五十人は主に連絡員で戦えるのは二十人程度だろう。だから俺達の大技を最初っからぶつけていくしかないな」
「でもそれだと皆早く疲れちゃうんじゃないの?」
綾夏はもっともの事を言った。チルドレン達にとって大技は精神的にも肉体的にも負担は大きく、連発するとなるとすぐさま体力が衰えてしまうのだ。
「ああ、だから交代交代に行く。先ずは二人が上陸される前に技を仕掛け、残りの三人は攻撃し終わった後の二人の体力回復の技を使う。それだと疲れずに大技が連発できるはずだからな」
「そうか、ならそれで行くしかないな。それだったら三人の内の一人は相手の攻撃を防ぐ係りにしないといけないんじゃないのか?」
刈谷が提案し、静香が、
「それはいいですね。それだと攻撃する二人も安心して集中できますから」
「よし、それじゃ皆頑張ろう!」
桃は皆の士気を高めようと大きな声で自分の意思を表示した。
「そうだな」
「ああ」
「うん」
「はい」
五人はそれから出発する1800時まで悔いの残らないように楽しく話し合い、緊張感をほぐした。
そして流騎達五人は一般隊員を乗せた車やトラック十台を引き連れて油谷島まで目指した。トラックの中には通信機や機材、銃や爆薬を積めていた。
油谷島に着いたのが1900時。一般隊員は早速準備に取り掛かり、機材などを降ろし、銃器類の点検と配布を始めた。流騎はバズーカ砲とガトリング銃を五丁ずつ受け取り、油谷湾沿いの浜辺の丘で五人は待機することにした。さすがに軍の訓練所だけあってトレンチや防御壁が掘られ、築かれていた。その影に五人は身を潜め、腰を下ろした。
「なんか、雪合戦するみたいだね」
綾夏は冗談めかして言った。どうやら綾夏の任務に対する不安と緊張は柔らんだ用である。それにほっとした流騎は、
「そうだな。必ず勝とうな」
流騎は綾夏の眼を見つめた。綾夏も見つめ返し心強く
「うん」
と笑いながら答えたが、そんな時間が数秒続いて二人は気恥ずかしくなり視線をそむけた。それを見ていた桃は
「あ、なに二人赤くなってるの? 青春だねー」
「う、うるさいな。ほらさっさと支度しとけよ、そろそろ時間だからな」
「はいはい、照れちゃってかわいいね流騎は。ね、綾夏ちゃん」
「え、えっ? な、なにいってるの、桃ちゃん?」
綾夏は動揺しきっていた。
それを見ていた刈谷はバズーカ砲を肩に担ぎ、やくざ座りをしたまま横にいた静香に話しかけた。
「なぁ、倉木さん」
「はい、なんでしょ?」
「ほんとに勝てると思うか?」
「断言はしませんが、恐らく負けるでしょうね」
「はぁ、倉木さんは現実主義だな……。でも勝てる確立もあるんだろ?」
「ええ、低いですけど」
「なんか倉木さんと話してると絶対勝ってやるって気になるよ」
「そ、そうですか……?」
静香は顔を赤らめながら聞いた。
「ああ、俺と倉木さんとのタッグで絶対勝って見せようぜ」
刈谷は笑いながら静香の方を向き、静香も顔を赤らめ俯きながらも嬉しく頷いた。
「青春だねー。どこもかしこも。あーあ、桃も誰か相手いないかな……」
桃は空を見上げながら両手足を伸ばし、空に輝く一番星を眺めていた。しかしすぐさま空は暗雲に見舞われた。まるでこれから始まろうとする戦闘の前触れのように。
時刻は1950時、任務開始時間十分前となっていた。
なんか、青春ですねー、恋ですねー、愛ですねー^^
いいなー……///
なんてはい私情ですみません^^愛の力は偉大なり、それが出てくることでしょう。