第六話 広島MBS支部
俺たちは、早速支部に向かうことにした。綾夏は、少しためらってはいたが、明日の朝までには戻れると言って納得させた。
電車に乗って、20分。俺たちは広大な田畑へとやってきた。
「流騎くん、ここってなにもなさそうだけど?」
「いや、ここでいいんだ。もうすぐ着くさ」
そして俺たちは5分ほど、誰もいない田畑沿いの道を歩いた。そして、立ち入り禁止の札がかかっている案山子を360度回転させたら、俺たちの立っていた地面が消えた。
「え?きゃっ!」
そして、俺たちは暗闇の中に落ちていった。
「綾夏大丈夫だよ、ここが入り口なんだから。まあ、少しびっくりしたとは思ったけど」
「少しどころじゃなーい。私、こうゆうのは苦手なのに」
俺たちは下へ下へと落下していったが重力がなくなったかのようにゆっくりと降りていった。
綾夏は自分のスカートを手で押さえながら穴の奥へと落ちて行く。
「ああ、もうすぐつくから、足元には気をつけろよ」
「え、足元って?」
と、綾夏が言った次の瞬間視界が真っ白になった。
俺は、見事着地できたものの、綾夏がまだ降りてこない。と、思っい上を見上げた次の瞬間、
「きゃああああ!」
バタッ!
「うおっ!」
綾夏が俺の上に落ちてきた。
「うぅん……。あれ?流騎くんは?」
「綾夏、下だ、した」
「え?あ、ごめん流騎くん、だいじょうぶ?」
そして、綾夏は俺の上からおりた。
「ちょっと、運動神経を良くしなきゃな。まあいい。そんなことより、早くしないと」
そして、俺たちは長い廊下を渡り、「会議室5」と書かれた部屋に入った。
「けど、田んぼの地下にこんなところがあるなんて、すごいね」
「ああ、なぜかわからないが結構政府から援助金が出てるらしい」
「へー、すごいねー」
「それよりも、今から俺の上司に会わせるから。まあ、おっさんは頑固だが、やさしいから。たぶん大丈夫だと思うけど。特に、綾夏はかわいいから逆に気をつけたほうがいいかもな」
「え、そ、そんな……」
綾夏は頬を朱色に染めた。
また、余計なこと言っちまったな、何でこう本音がべらべらと俺は出るんだ……。
俺は、部屋の電気を消し、テーブルの上にセットされているプロジェクターのスイッチを押した。
すると、壁に俺の上司のカゲフミがものすごいズームで映った。
「やあ、二人ともそろっているな。私が、シルキの上司兼保護者だ」
「いつおっさんが俺の保護者になんかなったんだよ!」
「なっはっは、冗談だシルキ。しかし、お前の短気も直らんもんだな。少しはそこでおとなしくしているお嬢さんをみならったらどうだ?」
「余計なお世話だ。それより、さっさと本題に入ってくれ」
「おお、そうだったな。それでは木宮綾夏くん、はじめまして。私の名前はカゲフミ、鳥取MBS本部で一番えらいものだ。それで、今日から君のコードネームはアヤカとする。まあ、あまりかわらんがな。そして、今日から君をグレード8と認定しこのバッジを渡す」
するとプロジェクターの置いてあるテーブルの真ん中から指輪が入っていそうな小さな小箱らしきものが出てきた。
「シルキからグレードのことは聞いているな?」
「はい。ですが、何故私がこんなにグレードが高いのですか?」
「うむ、それは君の過去の調査と、私が君を見込んでの決断だ。それと、いまから君達は1週間ほど学校を休み、シルキとともに強化合宿に行ってもらう」
「え?」
「は?」
綾夏と俺の声が重なった。
「うむ。アヤカのトレーニングが、今一番大事なのでな。シルキ、お前はその監督だ。先輩らしく、優しく後輩を指導してやれ。それに、お前のこの頃の任務は簡単だから、お前も少しは緊張感を高めて来い。そうだ、それで我らMBSが君をスカウトしたのは、近い将来、大規模な戦がある。それには君の火の能力が必要となるのだ。まあ、それはいずれ自分でもわかるだろう。それでは二人とも、この合宿の際に必要なものはもうすでにそのテーブルの上に手配されている。一週間後、君たちはこの合宿で鍛えたものを忘れずこの部屋に戻って来い。それでは、幸運を祈る」
プチッ
そして、モニターの電源は切れた。
「し、流騎くん、きょ、強化合宿って?」
綾夏は、顔が蒼白で、たぶん頭の中はパニック状態だろう。
「あのくそおやじ……」
ここでカゲフミの登場です。ですが無理難題をいきなり押し付けますね^^
案外カゲフミは曲者かもしれませんね。さすがは総司令だけあります。