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燃えた夏  作者: Karyu
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第六十五話 つかの間の休息

 

 流騎、刈谷、綾夏、静香の四人は実戦訓練を終え、集まった。四人は共にスーツが泥で汚れあちらこちらに擦り傷が見られた。


「ふぅ、どうだ、CNCの成果は?」


 流騎がまず口を開いた。


「ああ、驚くしかねぇな……。こんな短時間でここまで強くなるなんてな」


 刈谷はスーツの泥を落としながら言った。


「うん、私もまだ信じられない……。でもこれが事実なんだよね。この力でこの国を守るんだね」


 綾夏も同じく泥を落としながらスーツを整えながら言った。


「静香はどうだった?」


 流騎は静香にも声を掛けたが、静香は虚ろな瞳で流騎を見つめており、なにも語ろうとはしなかった。


「静香? おい、聞こえてるのか?」


 流騎は多少声を強調して静香に聞いた。


「あ、はい……すみません。少し考え事をしていて……。私も自分の技は完成させることが出来ましたし、満足です」


「そうか。それでまあ、この実戦訓練で多分勘を取り戻したと思うから今後からは筋力トレーニングと連携攻撃の訓練を一週間する。連携訓練では主に俺と綾夏、静香と刈谷がペアとなってやるが、この訓練の最終日には模擬戦を行う」


「おい萱場、この組み合わせってのは一体どういう基準でつけたんだ?」


「それは個人の能力に応じた、もっとも有効な組み合わせだ。特に俺と綾夏は反発しあう同士の力だからなタッグとして組むのは最適なんだ。お前と静香の場合は能力上の関係じゃない」

「じゃ、何で俺と倉木さんが組むんだ?」


「刈谷と静香の場合は戦闘上での連携がうまく取れるからだ。刈谷の勢いの攻撃力に静香の後方支援が加わったら理想的だとは思わないか?」


「ああ……そうだな。言われてみれば俺は補助系の技はまだあんましないからな」


「はい、私もまだ攻撃力に劣るところがありますから妥当な組み合わせですね」


 静香も流騎の案に賛同した。


「それじゃ、そろそろお昼にしようよ? 私もうおなかペコペコ……」


 綾夏は急に空腹感を思い出し、それと同時に腹の虫がなった。綾夏は頬を紅潮させ、


「は、早くごはんたべよっ!」


 と言い、一人先にスペースへと戻っていった。


「ああ。そういえば俺たち朝飯抜きだったからな、俺も腹が減ったぜ」


 刈谷も綾夏の後に続き、静香も後に続こうとした、


「隊長は戻らないのですか? お昼でしたら私と綾夏さんとで作りますが?」


「ああ、わかった。昼の方は頼む。俺はここを元に戻してから戻る」


「わかりました」


 静香はそういい残し、昼の準備をする為に刈谷と綾夏の後を追った。一人校庭に残された流騎は自分の周りを見渡し、軽い溜息をついた。


『ふぅ、結構派手にやったもんだな。まるで修羅場だな……。地面の焦げ痕、石化した嵐龍と水龍、綺麗に抉られた地面の跡、湿った土……。これを全部元に戻すってのはちょっと骨が折れるが仕方が無いな……』


 流騎は意識を集中させ、ゆっくりと眼を閉じた。


「時の門を守りし守護神玄武よ、我が降り立ち時空を巻き戻せ」


 そうすると、流騎の周りの荒れた校庭が緑の粒子で包まれまるで時が逆再生されるかのように校庭が元のままの姿に戻っていった。


『これでなんとかなるか……。ふぅ、でもこの技を使うと寿命が縮まるな……。時間と空間を取り戻す技って自然を覆すことにもなるからな、代償が大きすぎる……。さて俺も昼飯を食べにいくか』


 流騎は再度校庭を見回した後、スペースに戻っていった。校庭の修復にはおよそ三十分もの時間を有した。





 流騎がスペースに戻る途中、流騎の鼻腔(びこう)をおいしい匂いが擽った。流騎がスペースに入ると部屋全体に味噌汁の匂いが充満し、食欲を更に掻きたてた。


「あ、流騎くん。今出来るから、ちょっと待っててね。あ、刈谷くん悪いけどこれ運んで」


「あ、ああ……」


 綾夏、静香、刈谷の三人は談話室の簡易的な調理台で冷蔵庫の食材を使って料理をしていた。専ら綾夏と静香が料理を作り、刈谷はその料理を運んでいた。三人ともエプロンに三角巾といった風貌で、三人ともスーツを脱ぎ私服を着ていた。


 流騎もスーツを脱いで軽くシャワーを浴び私服に着替え終えた頃には談話室のテーブルの上では朝食の準備が整っていた。テーブルの上には白米、味噌汁、多数の揚げ物に水が用意されていた。


「すごいな綾夏に静香。よく三十分でこんなに準備できるな」


「うん、すごいでしょ。でもまあ味噌汁はインスタント、白米はお湯いれたらできるやつだし、揚げ物は魚肉ハンバーグを揚げただけだからあんましボリュームは無いけどお代わりはたくさんあるからね。どんどん食べてね」


 綾夏は誇らしげに言い、昼食の内容について少し説明した。


「ああ。それじゃ、食べるとするか」


 流騎は椅子に座り、箸を取って味噌汁から啜り始めた。


「やっぱ、体動かした後のめしはうめぇな……」


 刈谷はがつがつと自分の分の食事を平らげていた。四人は楽しげに会話を交わしながら平和な昼を過ごしていた。



少し、いえ、だいぶ落ち着いた雰囲気を入れてみようとおもい書いてみましたが皆緊張感なさすげですね……

ま、たまにはこれもいいものかと^^

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