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燃えた夏  作者: Karyu
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第六十二話 流騎vs刈谷 因縁


 そして三十分後、流騎達は約束していたシェルターの横に集まった。流騎は一番最初にシェルターの傍までやってきて残りが三人がやってきたところで、


「どうだ三人とも、完成したか?」


「ああ」


「うん」


「はい」


「よし、それじゃ、最初の課題は突破だな」


「え?どういうこと流騎くん? 最初の課題って?」


 綾夏は流騎に聞き返した。


「ああ。あのケースの訓練、今からはCNC訓練って呼ぶが、は集中力と想像力、まあ脳の活性化を高めるんだ。だから必殺技を三十分で三人とも完成させてきたことで第一の課題は突破だ。この訓練の前では俺達でも四倍は時間は掛かってるだろうからな」


「そっか。それじゃ知らず知らずのうちに私達予想以上に強くなってるんだ」


 綾夏は多少自分に酔い始めていた。


「それでは隊長。早速実戦訓練の方に移りましょう」


「ああ、そうだな。それじゃ、俺と刈谷、綾夏と静香に分かれて実戦訓練に入る。スーツの第二右ポケットに小さなコルクみたいな栓があるだろ、それを引っ張って抜いてみてくれ」

「これを取ってどうするんだ?」


「抜いたらわかるさ」


 流騎達四人がスーツに付着していた栓を外すとスーツが少し膨らんだ。


「な、なんだ、こりゃ?」


 刈谷は少しパニック気味であったが、わりと綾夏はその状況を楽しんでいた。静香はいつもどおりに冷静さを保っていた。


「これは隊員同士の実戦訓練用の時の装備だ。今スーツの中には酸素より軽い無害のガスが溜まっている。それでスーツの外部からの衝撃がある一定の範囲を超えると音が鳴る。その音が鳴ったときなった方の負けということだ。わかったか?」




「なるほどな。よし、一発KOさせてやるぜ萱場。お前に今日こそ勝つ!」


「それは、楽しみだな。それじゃ静香、綾夏を頼む」


「はい、それじゃ、綾夏さん行きましょうか」


「うん、それじゃ流騎くん、刈谷くん、また後でね」


 綾夏は軽く二人に手を振りながら静香の後についていった。


「それじゃ、刈谷はじめるか」


「てめぇ、軽く受け流しやがって!」


 流騎と刈谷は二十メートルほど離れてから互いに向かい合った。二人は無言のまま、暗黙の了解での決戦の火蓋は切って下ろされた。


「いくぜ萱場! 大地の拳、土塊!」


 刈谷は校庭の土に両手を肘の深さまで突っこみ、引き抜くと今までの球体ではなく、刈谷の両腕には巨大な爪をも思わせえる形状であった。それはまさしく蟷螂(かまきり)の鎌のような形をしていた


「へえ、刈谷も少しは頭を使うようになったか? 攻撃力は以前よりもありそうだな。出でよ、氷人の刃ヒエロ・ランス」


 流騎が腕を前に突き出し手を開くと、その手の中で空気中の水分が集まり、凝固し、凍結しあった。そして全長約一メートル五十センチほどの氷で出来た槍が現れた。ヒエロ・ランスは太陽の光を反射させ青き輝きを放っていた。以前のヒエロ・ランスに比べて刃の一回り大きく柄の部分にまで凝った彫りがヒエロ・ランス全体に見られた。


 そして衝突する二人。縦横無尽に繰り出される刈谷の土塊を流騎は巧みにヒエロ・ランスで応戦するが遥かに強化した土塊の攻撃力に流騎の手が衝撃を防ぐたびに痺れはじめた。


「くっ!」


 流騎は後方に跳躍し刈谷と距離をとったがすかさず刈谷は土塊を解除し、


「逃がすかよっ!相手を切り裂け、大地の鈎爪!」


 刈谷が術を唱えた直後、刈谷の周りの土から飛び出した全長にして約二メートルもの鋭く尖った爪のような岩が流騎に迫った。


 流騎は顔を(ひそ)めながらヒエロ・ランスを投げ捨て、


「水の守護神マーキュリー、われを守りたまえ。プロテクシオン・ロゥ!」


 突如に現れた水の壁が刈谷の放った大地の鉤爪の威力を受け止めた。そして一気にプロテクシオン・ロゥは解け、大量の水と岩がバシャリと地面に落ちた。


 向かい合ったまま刈谷と流騎は皮肉っぽい笑みを双方に向かって零した。


「今度はこっちから行くぞ! 水神召喚、怒濤雹雨!」


 流騎は天を一瞬仰いでそのまま静寂のときが流れた。今までの刈谷ならこの静寂に耐え切れず猪突猛進を繰り広げていたのであろうがCNC訓練のおかげで向上した観察力を駆使し刈谷は自分の神経を極限まで研ぎ澄ましていた。


 そして長い三十秒の後、空からきらきらと輝きながら大量の雹が降り注いできた。まるで氷柱のように大きな雹は刈谷目掛けて容赦なく降ってきた。


「……! 大地の盾!」


 咄嗟に刈谷は大地の盾を召喚させ流騎の怒濤雹雨を防いだ。そして降ってきた怒濤雹雨は刈谷の大地の盾とその周辺の地面に広範囲に降り、砂埃を巻き起こし刈谷の姿が隠れてしまった。


 流騎の放った怒濤雹雨が降り止むと、少しずつではあるが巻き上がった砂埃は段々と地面に落ちていき次第に刈谷の姿が見え始めた。しかし幾らかの怒濤雹雨が大地の盾を貫通したのか刈谷の顔やスーツには擦り切れた後が多少浮かび上がっていた。刈谷の大地の盾は当初の半分以上が壊されていた。


「くっ……!」


 刈谷は地面に片膝をつき肩で息をしていた。当の流騎も凄まじい戦闘と精神の疲れが顔に表れていた。しかし、まだ刈谷のスーツは音を発してはおらずまだ勝敗はついていなかった。



流騎vs刈谷シリーズ再来です^^

決着はいつつくことやら(ぉぃ

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