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燃えた夏  作者: Karyu
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第五十三話 対ゴウキ(1)


「く、くそ……な、なんなんだこいつは…………!?」


 刈谷が肩で息を吐きながら前方の敵を睨んでいた。場所は鳳欄高校のグラウンドのドッジボール大会決勝戦。1―1対1―4の試合。1―1は流騎、刈谷と未来が残り、1―4は男子生徒一人だけであった。それにもかかわらずその男子生徒一人に流騎達のクラスはその三人以外はノックアウトされた。当の流騎は未来と刈谷に相手を任し、考え込んでいた。


『あの男……結構やるな。もしかしたら、チルドレンか?ひとつ試してみる必要があるな。けどあの顔……どこかで見たことあるな』


「おい萱場!お前一人突っ立ってないで少しは投げろよ!」


「ああ。じゃあちょっと下がっててくれ」


「……? あ、ああ」


 流騎は相手側の投げてきた前の刈谷並みのボールを受け取り、相手の男子を見据えた。流騎は自分の手中にあるドッジボールに自分の能力の一部を注ぎ込んだ。流騎はボールの中の真空の中の水分を凍らし、そうすることによりボールの重さを変えずに硬くすることができた。


 そしてボールを前方の男子めがけて投げつけた。ボールは一直線に伸び見事に男子生徒に命中した。しかしその男子生徒は見事にボールを受け止めたのだが一瞬顔をしかめて手を庇うかのようにボールを落とした。


 そこで試合終了の笛が鳴り、流騎達のクラスは優勝を果たし、校長からの表彰を受け取りすべての行事が終了する頃には三時になっていた。


 クラスの生徒達のエールに囲まれながら流騎、刈谷、綾夏、静香の四人はスペースに集まった。流騎は他の三人に荷物をまとめさせてからクラスを出て行った。そしてスペースの中で


「おいなんだよ萱場。こんな時に呼び出しなんかして」


 刈谷は一番最初に食って掛かった


「いや、もしかしたら新しいチルドレンが見つかるかもしれない……」


「えっ! ほんとなの流騎くん?」


「もしかして、決勝のときのあの?」


 綾夏の質問に静香は付け足した。


「ああ。あいつはきっとそうだ。俺があの時投げたボールは凍らせて硬度を高めておいた。それなのにあいつは自分の能力でそれを受け取る際に溶かした。それにあいつはわざと演技までして俺のボールを落とした」


 流騎は話をしながらMBS用のスーツに着替え始めた。


「なにっ!?」


「え? それ、どういうこと?」


「あいつは早くて今日にも俺たちの一人に接触してくる。その時は勝負を仕掛けてくるだろう。あいつの目はそういう目だった。殺意のこもった目だ。それに俺はあいつの顔に見覚えがある」


 流騎は装備を点検し流騎専用に作られた銃口45mmもある頑強な銃身を持つ銃を腰に装着した。


「そうですか。それなら今日はもうここから出ないほうがよさそうですね。だから帰りの用意をさせたのですか」


「ああ、そういうことだ。だが俺は一度その男に会いに行ってくる」


「お、おい。危険じゃなかったのかよ?」


「お前たちが危険なんだよ。俺はいざとなったら逃げれる算段はもうあるしな」


「けっ、むかつくやつだぜ。き、気をつけていけよ……」


「お前らしくないな。とうとう俺を敬うようになってきたか」


「ええい、いいからとっとと行きやがれ!」


 刈谷は流騎を照れながら怒鳴りつけた後、頭の後ろを掻きながらトレーニングルームに姿を消した。


「き、気をつけてね流騎くん。無事に帰ってきてね」


「お気をつけて」


「ああ、行ってくる」


 そういい残し、流騎はスペースから出て行った。その際に静香に一回軽く頭を頷き、それに静香は了解とでも言うように頷き返した。





 そして流騎が出て行った後、


「大丈夫かな……流騎くん…………」


「いえ、きっと大丈夫ではないですね」


「え!? それじゃ助けに行かないと」


「そうですね。でもその前にあの男子生徒の詳細について説明しますね」


「え? 静香ちゃんあの男子のこと知ってるの?」


「ええ、あの生徒はというよりあの男は結構MBSの間では有名ですから」


「え?」


「なに!? それは本当か!?」


 刈谷はバンッ!とトレーニングルームから顔を出し静香の前まで躍り出た。


「うわっ、びっくりした……刈谷くん聞いてたの?」


「あ、ああ。それで倉木さん、その男子ってのは誰なんだ?」


「はい、あの生徒の名前は近藤剛貴。昔、萱場さんの師であった近藤兜貴さんの弟です。剛貴は広島リベリオンリーダーのシコンの右腕とも言われていた幹部の一人でした。今ここにいるのは謎ですが、彼は先週からここに仮転入となっています」


「ってことは……奴は俺たちの敵か?」


 刈谷達三人はスペースのソファに座りながら話しを進めていった。


「はい。私も詳しくは聞いてはいないのですが昔あの剛貴から深手を負ったとか傷をつけられたとか……。恐らくあの二人は今日死闘を繰り広げるでしょう。多分場所はあのグラウンドです」


「それだったら早く助けに行かないと!」


 綾夏はソファから少し浮き腰になった、


「待ってください」


「何でそんなに悠長にしてられるの静香ちゃん?流騎くんが危険なんだよ?」


「私たちも遅かれ早かれ萱場さんの助けには行きます。その前にあなたがた二人にきちんと説明しておかないと……特に刈谷さんはわけがわからず突っ走ってしまうかもしれません

し……」


「おいおい、俺はどんだけ信用されてねぇんだよ」


「まあまあ刈谷くん。それで静香ちゃん、私たちはどうすればいいの?」


「はい、それを今から説明します……」



皆様は覚えていらっしゃるでしょうか?ゴウキの再登場です。

詳しくは第十六・十七話あたりをご参照ください。

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