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燃えた夏  作者: Karyu
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第五十一話 球技大会(3)


 そして、九時ごろには鳳欄高校一年から三年までのすべての生徒がクラスごとにグラウンドに並び、皆が紺に青のストライプが走る長ズボンと真っ白いシャツを着ていた。そして生徒達が並ぶ先には簡易ステージらしきものが組み立てられマイクがひとつたっていた。


 恐らくは校長からの一言でもあるのだろう、暖かい日差しを浴びながら生徒達一同は汗を薄っすら浮かべさせながら待っていた。そして、校長がのそのそとゆったりと階段を上り始めた。


「えー、こほん。皆さん、今日は待ちに待った球技大会、ドッジボール大会です。今年は例年に比べて優勝クラスには生徒全員に無条件の休校三日間とその間に観光や旅に出るときの経費が三万円まで出る。この待遇に私たちは大変遺憾なのですが、理事長からの支持ですので皆さんの保護者の方が抗議しようと一切とおりません。


 それではまずは各クラスの委員長は前に出てきてくじを引いて対戦クラスを決めてください。トーナメント式ですので負けたらそこまでです。それで負けたチームは他のチームの応援や自由時間が与えられます。それといい忘れましたが、初戦で負けたクラスはそれでまたトーナメントをします。そこで一番多く負けたクラスの担任の先生たちには罰ゲームが用意されています。がんばっている生徒が罰を受けるのは矛盾していますからね。なお、この球技大会のモットーは生徒も教師も楽しくハラハラです。それではがんばりましょう」


 校長のスピーチが終わり、他の教師がこの大会の注意事項を述べた後、クラス委員長たちによるくじ引きが開始された。流騎達のクラスはいきなり三年のクラスと当たることとなった。このトーナメント式では勝ち続ければ五連勝で優勝できる。大会はグラウンドで行われ、徐々に太陽が昇ってこようがそこがみそらしく、球技大会は開催された。


 流騎達のクラスは流騎、綾夏、刈谷、未来以外のの生徒は三年生たちに体力負けし、ハンデはないのでかなりの劣勢であった。しかし、この数日の訓練で多少結託しあえた流騎と刈谷のチームワークと男子顔負けの実力を持つ未来の前に対戦相手の三年のクラスの生徒の数は段々と戦線離脱して息見事な逆転勝利を掴んだ。


「うおおお、すげぇ!」


「さすが、未来! すっごーい」


 などなど残りのクラスメンバーからの歓声を浴び、流騎達のクラスは二回戦進出を果たした。まだまだ本気を出していない流騎と刈谷にとっては少し物足りなかったようでもあった。一回戦が始まったのは朝の十時からだったので二回戦は一時間後であった。その間は各自の自由時間となっていた。他のクラスの応援に行ったり、話し合ったり、寝ていたり、早弁をしたりなど各自様々に行動していた。そこで流騎は刈谷、綾夏、静香を呼び集めて今朝のホームルームで考えていたことを建物の影で話し合った。


「これが今、俺が考え付いた最善かつ効率的な作戦だ」


「ああ、確かにな。これならこの少数人数で立ち向かうことが出来るかもな。でもほんとにうまくいくのか? それにどうやって行く気だよ?」


「もちろんこの大会で一位になって用意周到な理事長さんと政府の差し金をうまく使わせてもらうしかないだろ。ここで勝って旅費&休暇ゲットだ」


「え? でもそんなことできるの? さっきは三年のクラスに勝ったけどどんどんレベルは上がって来るんだよ?」


 綾夏は少し信じられないような風に言った。


「ああ。それで少し考えた……。この何事も用意されているこの状況、単なる革命騒動じゃないだろう。それとそのことについても政府は関与している可能性も大だ」


「な!?」


 刈谷は驚嘆の声を抑えることは出来なかった。


「そうですね、そう考えれば辻褄が合います。そしてこのことをまったく知らされていないのが新たに総司令になったハヤブサ……。確かにこれはまだ裏がありそうですね。それにこんなにも簡単に情報が漏洩する現状では、周りの言うように流されておいたほうがいいですね」


 静香は冷静に物事を見据えたかのように言い放った。


「でもよ倉木さん、それじゃ向こうの思う壺じゃねぇか。それになんで政府が自分達の政府を壊す手助けなんかしてるんだよ?」


「ええ、でもここで私たちが事を起こしたらそれはそれで私たちが身動きが取れなくなります。それこそ向こうの思う壺です。それに向こうにも向こうの事情があるのでしょう」


「そ、そうだね。じゃあ、まずはこれを勝つことに専念すればいいわけでしょ?よーし、がんばろう」


 綾夏は張り切った。


「ああ。まあ、そういうことだ」


「それで? もう手加減なしでいいんだな?」


「いや、まぁ、ああ。やりづらいのはわかるが本気出すなら決勝でだな」


「そうか、わかった」


「それじゃ、次の試合まで各自自由行動だ。でも五分前までには戻って来いよ」


「ああ」


「はい」


「うん。なんか流騎くんってすっごい率先力あるよね、頼りになるよ」


「ああ、わかったわかった。俺は寝るからさっさと行った行った」


 四人はそれぞれ散会し、その一時間後に流騎たちのクラスの二回戦が始まった。そして快勝。その後も着々と勝利を掴んで行き、あっという間に決勝まで上り詰めた。決勝は昼の三時の一番最後の試合であった。その試合は敗者復活戦のトーナメントが終わってからであった。


 流騎のいるクラスは1―1。結局、決勝までは流騎、刈谷、綾夏、未来の四人が主軸となって勝ち上がった。実際には綾夏は避けることばかりに長けていただけであった。


 流騎たち一年にとって教師たちへの罰ゲームがわからないため気合が入っていた。そして、決勝戦が始まる時間となった。なんと対戦クラスは同じ一年クラスの1―4であった。



白熱してまいりました、球技大会!盛り上げていくしかないからです!

さあ果たして勝つのはどっちのクラスかっ!?

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