第四十八話 暫しの休憩、昼ゴハン
「おい、刈谷」
「なんだっ!」
「お前、壁の修復しとけよ」
「なにっ!? あっ!」
「今頃気付いたか……。それにしても良く素手でここまで出来るよな。俺でも無理だ」
刈谷は自分の仕出かした事態を修復するためにそっと壁に片手を当てた。すると周りの壁が寄り添うように亀裂の入った部分まで集まり壁は元通りに直った。
「リーダー、今からお昼にしましょうか。もう一時を回っていますし」
静香が提案した。すると流騎は
「それもそうだな。それじゃ、買出しに行ってもらえるか綾夏?」
「うん!いくいく!もう私おなかぺこぺこ。皆何が食べたい?」
「俺はしゃけ、おかか、あらびきソーセージのおにぎり。それとソーダを頼む。俺はスペースに戻る、お前たちも皆戻って来いよ。休憩が済んだら銃の訓練だからな」
流騎が頼み、一足先にシェルターから出て行った。
「じゃあ私はクリームパンとフルーツ牛乳をお願いします」
静香もそう言い綾夏に五百円玉を手渡し流騎の後に続いた。
「刈谷くんは?何が食べたい、お昼?」
「ああ。トマトジュースとバニラアイス、カツサンドを頼む。これで」
刈谷は綾夏に千円札を渡し、
「ありがとな」
と恥ずかしげに言い残しシェルターを出た。
綾夏は一人シェルター内に取り残されたが、刈谷の恥ずかしがった後姿を見て柔らかい笑みを浮かべシェルターを出た。そしてそのまま他の三人と別の方向に向かって歩き出しコンビニへ向かった。
鳳欄高校は広島市のほぼ中心に位置し都市化が進み今では東京顔負けの施設、高層ビル、経済的状況を有している。街の住人は皆、ここ最近発展かが進みすぎた市に当初戸惑っていたが、今はすっかり慣れていた。そんな都市化が進んでいるような街で綾夏は軽快なリズムで鳳欄高校の校門から徒歩五、六分の所にあった。
綾夏はコンビニに着いた。そして自動ドアが開き、中から冷ややかな風が綾夏の髪をなびかせた
「ふぅ、涼しいー」
綾夏は太陽が照りつけていたアスファルトのフライパンから逃れ、コンビニの中に足を踏み入れた。綾夏は萱場達に頼まれた食べ物を探し出してかごに入れた。
「えーと、わたしはなににしようかな?あっ、先週新発売されたイチゴパフェ味アイスだ。これを五つと、チョココロネ四つと、オレンジジュース二缶でいいや。ちょっと足りないかなー、でもまあいいや。えーと、それじゃこれください」
「はい、ありがとうございます」
綾夏は店員に選んだ商品をかごに入れたまま渡した。綾夏はその間に預かっていた千五百円を取り出し自分の財布も取り出して会計が済むのを待った。
「はい、全部で二千四百円になります」
「あ、流騎くんからお金貰ってなかった……」
「どうかされましたか?」
「いえ、はい、じゃあこれ」
そして綾夏は自分の財布から三千円を出して買い物を済まし帰路に着いた。片手にぎっしり詰まった白いコンビニ袋を提げたまま。
「はあ〜あ、流騎くんの所為でわたしの財布がすっからかんになっちゃった……。まあ、いいや後でがっぽりすんだくってやろっと。それにしても、なんか最近平和だな。本当に来月にMBSは革命っぽいのを起こすのかな?それに本当に私たちだけでそれを食い止めることが出来るのかな?たったの四人で……。でもやるしかないのかな」
そして帰り道の五分後に綾夏はスペースに帰りついた。
「おっ、帰ってきた」
刈谷はさっきまでの萎れた態度から回復して綾夏に駆け寄った。
「はい、刈谷くん。えーと、カツサンド、トマトジュースとアイスだったよね」
「ああ、サンキュー。それでおつりは?」
「あっ!そうそう、流騎くん。昼食代消費税込みで二千四百円だから」
「な、なんでそうなるんだ?」
「だって、流騎くんお金渡してくれなかったから」
「おお萱場。お前って結構無責任なやつなんだな」
「お前に言われたくはなかったよ。くそ、じゃあこれでいいんだな?」
萱場は三千円を綾夏に渡して自分の頼んでおいたおにぎりとソーダを袋から取り出しスペースの中央に配置してあるソファに戻った。
「はい。じゃ静香ちゃんこれ」
「ありがとうございます」
四人は全員ソファに座りなおし昼食にすることにした。学校は今日は休日で明日が鳳欄高校毎年恒例の球技大会が行われる。そして優勝したクラスには無条件で苦手な科目の単位を一年分もらえるという生徒にとっては最高の優勝商品がついてくるのであった。
そして四人が食べ終わった頃、流騎は立ち上がり、
「よし、それじゃこれから射撃訓練に入る」
数々の陰謀を背にここは平和ですね^^
こういった学園風潮が好きな作者Karyuですが中々書けないです。
まあ本当に暫しの間だけですけど