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燃えた夏  作者: Karyu
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第四十六話 流騎vs刈谷 訓練

 

 俺は早速カードでシェルターの鍵を開けて中に入った。シェルターは入り口が四方八方に取り付けられていてたくさんの人間を一気に出入りが出来るようになっている。シェルターの中は広く収納人数約一万人にも及ぶ特大クラスであった。


「よし、最初の訓練はここで実戦トレーニングだ。綾夏は静香と組んで向こうの端で、俺と刈谷はここでやる。いいか、この訓練はなるべく経験を積んでいろんな能力の相手に対抗できるようにする。頭も使わないと連敗するぞ。ま、このスーツを着ている限り致命傷を負うことはあまりないとは思うけどな。それじゃ、はじめる」


 俺はそういって、綾夏と静香はシェルターの向こう側へといった。それを見計らったから俺は


「よし刈谷、訓練を始めるぞ。お前はその土嚢の中の土をいくら使ってもいい、それで攻撃して来い。俺に攻撃が当たれば今日の訓練は終わりだ」


「へ、そんなことだったら一分もしないうちに終わるぜ」


「お前も面白いこと言うな。俺がお前の攻撃に当たるわけがないだろ」


「いいやがったな、てめぇ!ぶったおしてやる!」


 刈谷は土嚢を一気に引き裂き中の土があたりに散乱した。それにしてもかなりの量である。

 しかし毎回見てもすごい腕力だな。あれは俺以上だ。


 刈谷は片手で床に散らばった土を掴み取り俺に向かって投げた。微かな危機を感じて俺は横に転がって避けた。すると投げられた小さな塊の土が爆発した。


「ちっ!」


 刈谷が舌打ちをしたがまた片手で土を握り投げてきた。なるほど、土の中の物質を一気に凝縮、時間差で一気に膨らませ爆発したようになるってわけか。威力が小さいのが痛手というところか。


「刈谷、やはりお前には素質があるな。まあ、なければはなっからお前は選ばれたりしなかっただろうがな」


「余計なお世話だ!ちっ、ちょこまか動きやがって。ならこれでもくらえっ!」


 刈谷は唐突に土の中に両手を突っ込んで手を抜きとると同時に両手の周りにボーリングボール並みの土の塊が一緒にまとわり付いていた。まるでグローブのように。


「刈谷、お前結構使い慣れてるんだな、その能力。以前に何かあったな?」


「ふん。ああ、その通り。俺は昔親父にこの力の使い方を教え込まれた。理由はわかんねぇけどな」


「そうか、ならこちらとしても好都合だ!」


 俺はヒエロ・ランスを作り出し刈谷に踊りかかった。無論刈谷も応戦してきた。固い土と鋭い氷がぶつかる不思議な音を奏でながら目にも止まらぬ速さで俺と刈谷の攻防が続く、だが俺は少しずつ気付かれないように刈谷の土のグローブをヒエロ・ランスで削っていった。しかしそれにしてもすごい力である、いかに親に仕込まれたといってもこれほどまでやれることはまずありえない。以前にMBSにいたことがあるのか?もしかして……!


「おい、刈谷。お前の親父、十年前にMBSにいなかったか?」


「ん?ああ、いたぜ。だが今は引退したみてぇだけどな。どうしてそんなことを聞くっ!」


 刈谷の右ストレートが襲ってきた。俺はヒエロ・ランスの柄で受け止め突きをするように前に押し出したら、刈谷は両手を使ってガードをして後ろに跳躍した。


「結構やるな、刈谷。でもその両手じゃもう持たないんじゃないのか?」


「ああ?」


 刈谷が自分の両手を見ると見る見るうちに土が剥がれ落ち、崩れた。


「!?」


 刈谷が顔を(しか)めた。


「刈谷。お前の身体能力や運動神経は文句なしだ。でもな、冷静に物事を見据える観察力が欠けてるな」


「うるせぇ!今から俺のとっておきをお見舞いしてやる」


 刈谷は再び土嚢の土に駆け寄り土を踏んだ。すると土が刈谷を包み込むように螺旋状に絡まっていく。そして刈谷の姿が土で隠れると一瞬刈谷の姿が光った。すると刈谷が厳つい装備をした良くテレビで見るヒーローものの悪役のような姿になった。


「刈谷、お前まだまだガキだな。未だにそういうものに憧れてるのか……。俺は悲しいぞ」


「う、うるせぇ!これしか思いつかなかったんだよ!」


 刈谷は龍を思い起こすような突起が数多く存在する姿をしていた。色はもちろん土の色でわけを知っていなければかなり異様な姿だ、しかし笑える……。


「笑うな!くそ、だがこれで終わりにしてくれる!」


 刈谷は猛スピードで突進してきた。なるほど身体能力もアップするのか。面白い。俺はヒエロ・ランスを手に持ち、水速転換を使って刈谷向かって駆けた。


 刈谷が近づいてきたのを見計らって俺はヒエロ・ランスを刈谷めがけて投げた。すると刈谷は止まり、刈谷の目の前に土の壁が現れた。その壁は刈谷の纏っている土から成形されていた。


「!?」


 俺は虚を突かれた。なるほど、その姿は伊達じゃないんだな。


「面白いな。その技というのか姿というか色々出来るみたいだな」


「ああ、俺にとっちゃ全身フル装備だからな」


 刈谷は作り出した壁を元に戻し、次なる行動に出た。


「萱場、さすがにこっちも土嚢ひとつだけじゃきついから次で決めるぜ!」


 すると刈谷の右肩に乗っていた龍の頭部が動いた。そして土が剥がれていった。そして土嚢一袋分の土の龍が空中を漂っていた。


「へぇ、土龍かやっぱりお前の親父は元MBSか、決まりだな。それともうひとつ、お前この龍使いこなせるみたいだけど、命令はまだできないだろ」


「な、なんでわかる!?」


「龍の動きさ。空中で漂い主の元を離れる龍は大抵がそうだからな」


 俺は自分自身で水龍を召喚した。刈谷の三倍ほど大きな龍を。


「な!?」


「お前も龍を使いこなせたらこれぐらいは大きくなる。たとえ土の量が足りなくてもな。それじゃ、今日のところはこれでおしまいにするか」


 俺はスーツのポケットに両手を突っ込み、


「水龍、かかれ」


 水龍は土龍に向かっていき軽く土龍を飲み込んだ後刈谷に襲いかかった。そして空中に同化するように水龍は消えた。そして襲われた刈谷は背中からシェルターの床に激突した。


「ぐお!」


 刈谷が立ち上がったが唾を吐き出して、咽ていた。


「くそっ……!」


「まあ、力は申し分ないな。後は訓練をつむだけで強くなれる。今はグレード6ぐらいだな」


「な、なんだ、グレードって?」


「グレードはチルドレンに与えられる階級というか強さを表す。ちなみにグレード10が最高だ。俺はそのグレード10で静香がグレード9、綾夏がグレード8だ」


「なに!?木宮さんが俺より二つ上だと?」


「ああ。刈谷、お前はこの中では一番弱いって事だ」


「!?」


 刈谷は言葉を失い、床に俯いていた。



刈谷vs流騎、まあ勝敗はわかりきってますね^^

でも刈谷の実力は伸びることでしょう。うんうん。

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