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燃えた夏  作者: Karyu
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第四十二話 変わる情勢


 俺と刈谷は二人一緒に屋上から降りた。妙なことで疑われないように二人別々に教室に戻り放課後に落ち合うことにした。


 まだ昼時間が残ってはいたが俺は机に座りコンピューターを起動させ、少し刈谷のことについて調べることにした。


 運よく俺の机は教室の隅のほうにあり他の生徒から画面の見られることはない。それにこのコンピューターにもセキュリティプログラムが付いていて、カードを翳すとコンピューターの画面の中で変化が生じた。セキュリティプログラムのボックスが現れ解除と表示され好きな項目をお選びくださいと書かれた文字が現れ、項目が分かれた。


 それらは、校舎、生徒、教師、歴史、秘、裏と闇と分かれていた。俺はとにかく生徒の項目ファイルを開き刈谷の名前をだし、書類のコピーや履歴を見た。それを見て驚いたのは刈谷は母をなくし今は義母がいるらしい。その頃から刈谷の態度が段々悪くなり、中学の時代では手に負えなくなったそうだが、そこで父の仕事が危うくなったとき社会の現実、世の中の冷たさを実感した刈谷はそれからおとなしくなったそうだ。


 他に空手三段と柔道黒帯の実力の持ち主らしい。それならあの運動神経の高さとタフさは理解できるな。刈谷についてはMBSに報告はしても出張はさせないようにしないといけないな。さもないとこちらの、カゲフミの意図を悟られる危険もある。まあ任務を実行している以上、そんなことはないと思うけどな。


 それより刈谷の合宿についてだ。放課後のここで密かにやるしかないようだな。多分ここにある特殊な核シェルターが使えるだろう。あそこなら強度と共に防音、消音効果も充分だろう。


 するとやがて昼の終わりを告げるチャイムが鳴った。そしてまたも過酷な授業が始まった。さすがに名門校なだけあって授業中はしんと静かになる。しかし入れる基準というのがまばらながらも皆将来は有名になれるようになっているので一応の博識が求められるらしい。俺も、まあ一応聞いとくだけでいいか……。


 これで刈谷を入れて俺含めて四人か。少なくとももう一人はいるな、刈谷はざっとの所グレード8ぐらいか7だな。もう一人いるとしたらグレード8か9ぐらいだろ。ほんとにこの学校は宝庫だな。だが俺もまだ修行が足りないな。クラスにも三人もチルドレンがいたのに気付かないとは……。


 まあ完全に気が付かなかったわけでもなかったけどな。だがこの学校には様々な特殊で強い気がちらちらと交錯してるからな、気が散ってホタルでも使わない限り今の俺には無理だな。


 なんて考えてるうちに授業が終わり放課後になった。さすが名門校だけあって淡々としていながらも個人の自由が認められているところがすごいな。など考えているうちに放課後を告げるベルが鳴った。


「それじゃね綾夏、私今日ちょっとよるところがあるから」


 西園寺未来がそういって綾夏に別れを告げ、綾夏は


「うん、じゃあね未来また明日」


 と言い、放課後になって生徒達は教室から出て行くと教室には生徒残り四人だけとなった。すると、静香が


「悪いけど刈谷君、今からちょっと委員会の会議があるから席を外してもらえないかしら?」


「ああ、いいんだ静香。刈谷には俺が頼んで残ってもらっている」


「そう、それじゃ刈谷君が新しいチルドレンということね」


「え、え?どういうこと静香ちゃん?」


 綾夏が少し驚きながら聞き返した。今度は刈谷が、


「木宮さん、俺はチルドレンで萱場の言うMBSの組織ってのに入ることを決めたのさ」


「ま、そういうことだ。それで今から四人で支部のほうにいく。いいな、綾夏?」


「あ、うん。そういうことなら。それじゃよろしくね、刈谷くん」


「ああ、こちらこそ。俺にとっちゃ木宮さんは先輩みたいなもんだからな」


「そ、そんな先輩だなんて……」


 綾夏は急に顔を赤らめ俯いた。


「さ、それじゃいくか」


 俺が声を掛け、


「ああ」


「はい」


「うん」


 と声が重なり俺たち四人はS系クラブと書かれたMBS支部に向かった……。






 俺たち一同はここ、鳳欄高等学校に拠点を置いた広島MBS第二支部の中に入った。昨日と変わらず殺風景ながらも必要最低限の設備は施されていた。


「す、すげぇ。この学校にこんなもんがあったのか……」


 刈谷が感心し支部と言っても元教室をなめるように見ていた。そこへ本部からの連絡を告げるアラームがなった。


「広島MBS第二支部、シルキ応答せよ」


「こちらシルキ、どうぞ」


「こちら鳥取MBS本部新総司令ハヤブサだ。我々は今日MBS反対組織リベリオンと手を結び長期にわたる休戦、友好条約を結んだ。それによりお前たちはリベリオンと対抗するという任務はなくなる。そしてお前たちの新たな任務は以前と変わらず人員勧誘と待機だ。以上、質問はあるか?」


 俺以外の部屋にいる皆は驚きを隠せない様子で俺も驚いた振りをした。少し声を震わせながらハヤブサに質問した。


「わ、わかりました。それにしても急ですね」


「ああ、その詳細については今から送信する」


「わかりました。それで隊員を一人勧誘したのですが手続きはこちらで済ませてもよろしいでしょうか?それと、合宿の件についても了承と権限を私にお与えください」


「む……まあいいだろう。ただし、抜かりなきようにな。それでは、また明日連絡する」


「わかりました」


 俺と静香はすぐに平静を取り戻したが綾夏と刈谷はおどおどしていた。特に綾夏の場合事情を知っていて間もないのにくわえ組織のあり方を理解していないため一番ぎこちなかった。


 すると通信は切れ、二回に分かれて書類が送られてきた。それは、リベリオンとの共同戦線の詳細と刈谷に必要な書類その他と俺に権限与えると書かれた書類だった。



いよいよ持ちまして動き出します。日本という国、組織、さまざまな思惑と思想。

いやー、いいですねいいですね^^

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