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燃えた夏  作者: Karyu
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第四十話 ドッジボール(3)

 

 というわけで刈谷くんと流騎くんの奮闘を見守っていた綾夏です。すごすぎでした……。でも、刈谷くんがそういう事情を持っていたなんて知らなかったな……。感謝してますって本人に言わないとわかんないかな。それでも二人の対決はここの高校の歴史に残るかも……。それほどすごかったんだし。


 私たちは先生に言われて試合のほうを開始した。私の相手は未来だ。久しぶりに会ったから話をしようとしたかったけどそんな暇はないみたい……。でも親友だから心のキャッチボールが出来ることを信じて出来るだけ勝負が長引くようにしながらボールを投げた。


「未来、いくよー」


「うーん、いいよ〜」


 やっぱり大の親友っていいよね。ほんとにボールを投げただけで以心伝心できるんだなー。例えばボールをキャッチするたびにボールから未来のメッセージ、


「どう元気だった?」


 って聞こえてくるような感じで……。なんてね。


 そんなこんなでも私のミスで未来に負ける結果となってしまった。


「ごめんね、未来。私球技はちょっと苦手だから……」


「いいよ、わかってる。私のほうこそごめんね、ちょっと強かったかな」


「ううん、そんなことないよ。それでもごめんね一週間も連絡なしで」


「大丈夫、後でたっぷり聴くから。それに流騎くんとの仲も進展したんじゃない?」


「え、え?そ、そんなことないよ……」


 私はちょっとドキッとしたけどなんとか誤魔化せたかな……。


「ふ〜ん、それじゃ、また後でね。ちゃっちゃと他の子を倒してキャプテンになって見せるから。綾夏の変わりに」


「うん、がんばってね未来」


 私は未来エールを送って、他の子と残りの試合をした。結果四勝二敗と結構いい成績が出た。一方の未来は六戦全勝。やっぱすごいな、未来って。流騎くんも六戦全勝、刈谷くんも後に次いで五勝一敗の成績だった。そして、一時間ぐらいして先生からの召集がかかった。


「えー、いい試合を見せてもらったぞ。とくに萱場と刈谷、いい勝負だったぞ。それじゃ言うまでもないが男子キャプテン萱場、女子キャプテンは西園寺だ。それで副キャプテンが刈谷と木宮だ。いいな?それで、えー毎回毎回だが特例は外野に行ってもらう。それと四勝した生徒達は内野でキャプテンたちのサポートをする役目を担う。いいな?」


「「はい」」


 と生徒皆が返事をした。私も汗を流しながら答えたけど、さすがに疲れたなぁ……。でもこれで未来と一緒のチームになれてよかった。けど、静香ちゃんは特例グループだから外野にいっちゃった。


 特例グループは立場上体育の授業を受けれないしね。やっぱりモデル、俳優、女優、家柄特に家元出の生徒たちは体に傷がついちゃいけないから大変だなー。それだけで見限られるときもあるからなー……。その点私は結構いいほうかな、未来とも一緒に体育受けれるし。


「それじゃ、今日の授業はここまでだ。明日はこの連携での作戦などの話をする。まあお前たちに決めてもらうんだがな。あっはっは、それでは解散!」


 体育の男性教師、山田先生の一声とともに授業が終わって、みんなは更衣室に向かって着替え始めた。そして着替えが終わった直後チャイムが鳴って待ちかねていたお昼ご飯の時間になった。


 私は未来と静香ちゃんと一緒にクラスに帰った。それで私は静香ちゃんと未来を紹介した。


「未来は知ってると思うけど副クラス委員の倉木静香ちゃん。静香ちゃん、私の大親友の西園寺未来。今日は一緒にご飯食べよ?」


「よろしくね静香ちゃん。私が西園寺未来、未来って呼んでね〜」


「よろしくお願いします、未来さん。わたくしは、倉木静香です。静香と呼んでください。それでも私もお昼にお邪魔してもよろしいのですか?」


「いいの、いいの。綾夏の友達でしょ?なら私の友達でもあるよ。一緒にご飯食べよ〜」


 私はやっぱり未来は優しいなー、なんて思いながら談笑しながら三人で教室まで戻った……。




「ふぅ、さすがに疲れたな今日は……」


 俺は体育館から更衣室に向かう間に刈谷の姿を見た。


「おい、刈谷」


「なんだ萱場」


「約束どおり俺の僕になってもらおうか」


「なあ、萱場。そのことはあの死闘に免じてチャラにしねぇか?」


「俺の願いをひとつ聞いてくれるんならチャラにしてやってもいいぞ」


「なんだ、その願いって?」


「ここじゃなんだし、この昼に飯をもって屋上に来い、一人でな。誰にもつけられるなよ」


「ああ、いいぜ。じゃあな」


 と刈谷はそのまま更衣室の中に消え、俺もその後に続いた。更衣室は体育館の別棟の様な構造で体育館から直接行くことができ更衣室には二つ扉がある。もうひとつはそのまま学校に入れるようなつくりになっている。その為更衣室は異様に広い。


 男女別れていてロッカーの列は十五もあり、一列につき三十人がいっせいに着替えられるようになっていた。そしてそのロッカーにはダストシュートらしき装置がありその中に体操服を入れると次の日には洗濯、乾燥、アイロンまでされもとのロッカーに戻るようになっている。俺はとっとと着替え、体操服をシュートに入れ、更衣室から出た。そしたら、昼を告げるチャイムが鳴った。



いい学校ですね……。いやー、憧れます。あるのでしょうか、こんな学校?^^

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