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燃えた夏  作者: Karyu
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第三十八話 ドッジボール(1)

 

 そしてまもなく授業が始まった。淡々と担任の授業があり、まもなく体育の時間になった。生徒達はそれぞれ更衣室に向かい着替え、体育館に向かった。すると体育の男性教師がいきなり、


「さあ、三日後の球技大会にむけて今からドッジボールの授業に急遽変えることとなった。それで今から女子、男子一名ずつ上位プレーヤー、すなわちキャプテンを決めてそれを主軸にしたチームを作ることにする。テストは簡単、一対一でボールを投げあい先に相手のボールを三回当たったらアウト、これをワンセットとし、他の生徒とやってスリーセットアウトになったら体育館の隅で待っとくように、勝ったらなんセットでも勝ちまくれ。ワンセットごとに勝敗を私に知らせるように。もちろん男子対男子、女子対女子だ。それじゃ、はじめ」


 するとまもなく、スタートした。俺は適当にそこらにいた男子生徒、おっ、こいつは昨日俺に突っかかってきたやつだな。


 そんなに綾夏と俺のことが気になるのか?まあいい、こいつしかいないしこいつとやろう、


「おい、俺とやらないか?ワンセット」


「あ、お前は萱場。いいだろう受けてたつ。その代わり賭けをしないか?」


「賭け?」


「そうだ、俺が勝ったらお前は二度と木宮さんといちゃつくな」


「いや、何もいちゃついてるわけじゃ……」


「問答無用。その代わりお前が勝ったらお前の僕として一週間働いてやる」


「そこまでしなくてもいいんだが、まあいいだろ。そんなに綾夏のことが好きなのか?」


「ふん、ぬかすな。俺は木宮さんのボディガードとして毎日影から見守っていたんだよ。お前が来るまではな」


「それってストーカーって言うんじゃないのか?」


「てめえふざけるな!俺の親は木宮財閥の第一取引先の刈谷コーポレーションの社長だ。それで、俺は木宮さんの安全を守り通せって言い渡されたんだよ、くそ親父からな」


「そうだったのか。綾夏はこのことは知らないんだろう?」


「ああ、だがそんなのは関係ねえ。俺は今ここでお前を倒す」


「ああ、いいだろう。その勝負受けてたつ。それでお前の名前は?」


「俺の名は刈谷秀明。ちなみにS系だ、お前と一緒のな」


「なに?S系だと!」


「そんなに驚くこともないだろ。お前も確かS系だったな」


「ああ」


「因縁めいたものを感じるな。同じS系だ、つまり俺並みの力があるってことだ」


「そうか。刈谷、お前がS系ってことは手加減は要らないな」


「ふざけるな、お前に手加減されて勝っても嬉しくもなんともねぇからな。それじゃ始めるぜ」


 と刈谷秀明は俺にドッジボール用のボールを渡し背を向けてルール上で七メートルの間が空くまで歩いた。刈谷秀明は髪は茶髪、背は俺と同じ程度で、体つきもしっかりしている。顔立ちから目立つのは異様に鋭く尖った犬歯でハロウィンに吸血鬼の格好をさせたら様になりそうな感じである。S系ならいい勝負が出来そうだな……。


 俺は刈谷と七メートル向かい合った。それぞれの視線に火花を散らせながら……。


 二人の異常な交戦態度に勝負前から体育館の中には一種の威圧感が渦巻いていた。




「どっからでもかかってきな」


 刈谷は皮肉そうな笑みを俺に向けてきた。


「怪我しても知らないぞ」


「へっ、お前なんかのひょろひょろボールに当たる程俺は運動神経は悪くねぇよ」


「それじゃ、いくぞ!ほらっ!」


 俺は少し手加減をして半分程度のスピードでボールを投げた。それでも風を切り裂く音を立てながら刈谷の右腹に向かって飛んでいった。


「へっ、いいところ狙ってくるな」


 刈谷はいとも簡単に約時速160kmの超剛速球のボールを片手ひとつで受け止めた。それでも未だに刈谷の手ではボールがすごい回転力だ回っていた。


 なるほど、結構やるようだな。一体どんな球を投げて来るんだ?


「今度はこっちからいくぜっ!」


 刈谷は腕を大きく振りかぶって体全体を使ってボールを投げた。そのスピードは約180km、避けれなくはない、だが俺のボールを取った刈谷に目にものを見せる為に俺も片手でそのボールを受け止めた。さすがに回転とスピードが速すぎた、俺は片手で支えきれなくなって手を緩めたらボールは弾けて床に転がった。


「ふん、その程度か萱場」


「さすがにやるな。S系はやっぱり伊達じゃないということだな。こっちも本気でいくぞ!」


 俺は燃えた。実力が自分とどうレベルの相手と純粋に戦えることに俺の闘争心に火が点いた。周りの生徒達の視線など関係なしに、俺は床に落ちたボールを拾い構えた。





 その頃、流騎の視点から外れて、周りの生徒達はその二人の戦いを見て、自分達の試合をそっちのけで流騎と秀明のマッチに見入っていた。男の体育教師も見入っていて生徒達に注意することも忘れ二人の対決に見入っていた。


 綾夏と静香は初めて見る刈谷の運動能力の高さとS系にいたことの事実に驚いていた。しかし二人は刈谷がS系にいたという時点で刈谷が流騎に立ち向かえることに驚きはしなかった。この時点で綾夏、静香、流騎は同じことを考えていた。


 そして二人の対決に戻る。



球技大会……への準備中ですね、まだ。はい、ということでドッジボールというサブタイで。とはいうものの流騎たち、すごいですね。

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