第三十二話 カゲフミの陰謀と策略
遂に、遂にカゲフミが登場いたしましたー!
と一人で興奮気味ています(笑
ですが、やはり総司令部だけあって仕事はきっかりこなしています。それにまたなにやらひっかかるようなことを話していますね。
さあ次回、流騎の過去が明らかにっ!!
ふぅ、ここか……。結構豪勢なホテルなんだな。まるでビジネスホテル並じゃないか。こんな駅の近くにあったなんて気付かなかったな……。確か先週まではここはまだ工事中だったな。
夜に見るのと朝に見るのとじゃこんなにも差が出るもんなんだな。えーっと、確か四階の408号室だよな。
俺はすかさず自動ドアを通りエレベーターのあるほうに歩こうとしたが、ホテルの警備員らしき人物に止められた。
「失礼ですが、当ホテルに御用がおありでしょうか?」
「あ、はい。知人に408号室まで来てくれと頼まれましたので」
「それでは少し確認させていただきます。お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
「はい、水木透です」
俺はすかさず偽名で名乗った。この名前はさっきカゲフミに送られてきたメールに書いてあった通り名前を聞かれたときの対処であった。
「わかりました、それでは少々お待ちください」
警備員がフロントで確認を取っている間俺はホテルの中を見回してみた。結構経費をかけて作ったのだろう、床には赤いじゅうたんが満遍なくひかれ、ずっしりと重量感のあるシャンデリアが一階のフロントだけで六つは存在し、所々に豪勢にいけた花がそれほど邪魔にならないような微妙な位置で配置され、グランドピアノ、絵画、ミニバーなど五つ星並のホテルであった。いや実際そうなのであろう。中には外国人の利用客も数人いて対処できるように所々にも英語が書かれていた。そうやってしばらく感心していると、
「水木様、大変ご迷惑をおかけいたしました。確認が取れましたのでエレベーターのほうまでお供させていただきます」
「あ、ああ、ありがとう」
俺は警備員に案内されてエレベーターのほうまで連れて行かれ簡単な操作を教わりエレベーターの中に一人で入り4と書かれたボタンを押した。エレベーターはすかさずスムーズに上へ上へと上がっていった。
エレベーターの中はかなり広く、人が一度に二十人は乗れるであろう程のスペースが存在していた。扉の反対側の壁には隙間なく鏡がつけられ、他の二つの壁にはホテル内の施設とその階、緊急時用の連絡先が備えられていた。
全面的に色は輝く金色で、床はガラス張りでその下に丸い電灯が列を成して配置され適度な光が灯っていた。天井には少なくとも四つの隠しカメラが設置されているのがわかる。
さすがに五つ星なだけに他のホテルとは違うな。
エレベーターはすんなりスムーズに上がり
チン
の音と共にエレベーターは止まり、ゆっくりと左右の扉が開かれ俺は中から出た。そして408号室と書かれた部屋の前に立ち止まりノックした。
そして十秒ぐらいしてから、
「水といったら……」
「影」
「シルキか、よく来たな」
カゲフミは扉を開けて俺は部屋の中に入った。この合言葉も事前に知らされていたことであった。
「カゲフミのおっさん一人か?」
「いいや、だが今は一人だな。多分今日がお前とゆっくり話せる最後の機会だからな」
「どういうことだ?やっぱりMBSで何かあったんだな?」
俺はいやな予感がしながらも今からとてつもなく重要なことがカゲフミの口から話される事を俺は直感的に察した。
カゲフミは流騎よりも少し背が低いが、六十近いかと思われる体つきはしておらず、胸板が厚くがっしりとしている体系である。同じくMBS用のスーツを着てはいるが、機動性の良い風に所々に切り込みがはいっている。カゲフミは長い白髪を後ろに流し、柔和な目つきをしてはいるが、その奥深さは測り知れない。
カゲフミ早速俺を部屋の真ん中に連れ込み、言った。
「ああ、今私の立場は名前だけのものだ。他の県本部の司令官たちがリベリオンのリーダー達と手を結びそれに反対するものたちを排除しているらしい」
「なんだって!?それじゃ、おっさんの命も危ないんじゃないのか?」
「ああ、それで今回は私の友であるダイテツの管轄化で牢獄生活をする、といってもそれなりに生活できる保障がされている。総司令としての最後の実権だがな。多分そこで私は四六時中監視されることだろう。それに、このような動きはお前がアヤカの強化合宿に行く前からわかっていた」
「だったら何で俺に言わなかったんだ?」
「お前に言うと尽かさず突っ込むくせがあるからな。そうならない為にこの一週間の間下準備をしていた」
「もしかしてそれがあの新・支部か?」
「ああ、そのとおりだ。今はお前も入れて三人しか配備していないが、これからお前たちがあそこにいるS系の生徒達の勧誘をして広島MBS支部最後の砦の保守と共に拡大していってくれ」
「でもそれでも見つかったとしても現状から考えてみてもあと一人か二人がいいとこだぞ?」
「それで充分だ。それにシルキ、これからお前たちは孤立することになる。今のMBSからは完璧にな。だからうかつに連絡を取ろうとはするな。ここにそれらの防止用の携帯とツールを用意しておいた。今使っているのと交換するといいだろう、かなり高性能に作られている。それとシズカとアヤカの分はもうすでに高性能型にしてある。それとあそこの支部には後五つは同じセットが用意されている。多分明日には今のMBSがリベリオンと手を結んでいる頃だろう」
「だが国、政府はこのことを知っているのか?黙ってはいないだろ」
「いや、国はまだこのことは知らない。私の推測だがMBSとリベリオンはこの国をのっとるつもりだろう。私もひそかに準備は進めておいた。彼らが反乱を起こす様にこちらも向こうが国をのっとる一歩手前まで協力し反乱を起こす。まあ、もとより国を守る為の機関だ、結局は守ることになるのだからな。敵を欺くためには味方からという事だ」
カゲフミの口からは信じられないような話が放たれ、俺はただ呆然と聞いているだけであった。