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燃えた夏  作者: Karyu
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第二十九話 倉木静香

 

 俺と綾夏は戸の前で立ち往生していたのだが始業ベルが鳴りそうだったのでとりあえずは自分達の席につくことにした。すると座るな否や、


キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンゴーン


 とベルが鳴り授業開始を知らせた。すぐさま教師が入ってきて専ら自分達の机のPCを通しての講習を行った。


 それでも人間同士のコミュニケーションを維持するため人間の声で一通りの授業をすることになっている。矛盾しまくってるようなきがするが、とやかく言うことはないのでそれから四時間もの間の昼時間の休みまで授業は続いた。


 休憩に入るや否や、俺と綾夏は教室の前に出され、皆からの質問に答えなければいけなくなった、さもなくば教室から出させんと言われたからにはしょうもない。


「それで、聞きたい質問ってのは?」


 俺は少し投げやりに聞いた。すると、多分これを主催したらしき当本人である男子が質問してきた


「萱場、お前はこの一週間もの間ずっと木宮さんと一緒にいたのか?」


「ああ。それで?それともそれだけか、それだったら俺は行くぞ」


「いや、まだ終わってない。そうか、ずっと一緒に居たんだな。もうひとつ質問するお前たちは学校を休んで何をしてたんだ?」


「それを俺がお前に教える義務はないと思うんだが?」


 俺がそういった途端その男子生徒は黙り込んだ。その男子は綾夏のほうを一瞥すると足を翻しクラスから出て行った。


 すると今度は女子のほうから、


「綾夏、もしかして萱場君といっちゃうところまでいっちゃった?」


 などとからかい気味に綾夏に聞いた。


「え、えっと……、それは、えーと」


 と俺のほうを助けてくれといわんばかりにちらちらと俺のほうを見た。ええい、くそっ、


「そんなことはどうでもいい。それより何でそんなに気にするんだ?」


「え、えーと、それは面白そうだから。へへへ、じゃね綾夏」


とその女子は笑いながらとっとと他の女子と共に教室から出て行った。


 そうするとぞろぞろと生徒達は教室から出て行き俺と綾夏は少し安堵した。しかし一人だけ教室に残った女子がいた。それは倉木静香だった。


「あ、倉木さん。私の居ない間クラス委員長の仕事まかせっきりですいませんでした」


「いえ、構いません。それより……」


 と倉木静香は言い、俺たち二人の前に寄ってきて目を閉じた。すると、


「「!!」」


「く、倉木さんがMBSの隊員だったんだ……!同じクラスに居たなんて私全然気付かなかったよ」


「ああ、俺もだ。でもそれならそれで話が早いな」


「ええ、それと今日の放課後ですけどお二人とも残っていてもらえますか?」


「ああそれならかまわない」


「うん、私も大丈夫」


「そうですか、それならここでもなんですから食堂に行きましょう。まだ話さないといけないことが多いので」


 と倉木静香が俺たちを先導しながら教室から食堂まで行った。その間も……、


「ところでシルキ、カードのほうは校長から貰いましたか?」


「ああ、それじゃシズカでいいのか?」


「はい、結構です。ここでは一応支部なので周りに誰も居ないときはコードネームシズカでいいです」


「ああわかった。それじゃシズカも貰ったんだな?」


「ええ、貰いました」


「それじゃシズカさんも同じ質問されたの?」


 綾夏は聞いた。


「はい、生きるとは何か?ですね。もちろんお答えしました」


「なんて答えたんですか?」


「はい、生きるとは生き抜くことです。」


「「生き抜くこと?」」


 俺と綾夏の声が重なった。


「はい、たとえ人生に光があろうと闇があろうと生き抜くことです。それが生きるという意味だとお答えしました」


「そ、そうか……。すごい人生論だな」


「そろそろ食堂ですね。それでは注文をとりますのでお食べになりたいものをおっしゃってください。買ってきますから」


「え、いいよ倉木さん。そんなことまでしてくれなくても」


「そうですか、それでも今日のところは買わせてください。それで何にしますか木宮さん、萱場くん?」


「ああ、それじゃ俺はミックスサンドとオレンジジュースで」


「それじゃ、私はレアチーズケーキホールで、それと牛乳」


「わ、わかりました。それではあそこの席でお待ちになっていてください」


「ああ、悪いな」


 さすがの静香も綾夏の注文に面食らったのか一瞬驚いたが次の瞬間にはいつもどおりのポーカーフェイスに戻っていた。


 俺と綾夏は食堂の一番隅の席に座った。ここでなら他人に聞かれることはないだろう。


「でもシズカってすごい丁寧な口の利き方だな。俺とはえらい違いだ」


「だって、倉木さんはあの倉木家の家元のご令嬢だもん。長女だしきっとすごく躾けられてきたんだよ。きっと着物が似合うんだろうな」


「それにしてもだ。同い年のはずだろ、あそこまで丁寧に言われると気まずいんだよな。慣れてないせいもあるかもしれないけど……」


「そう?私はそうでもないけど……、でもお友達になりたいな。できればちゃん付けで呼びたいな」


「お、帰ってきた」


「お待ちしました。それではいただきながらお話しすることにしましょう」


 と言って淡々とシズカのペースで話が進んでいった……。



はい、倉木静香登場です!前回二回ともに後書き書かなかったのは……どうしてでしょう?きまぐれかもです。度々こういったこともあるかもしれませんが、ご了承ください。

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