表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
燃えた夏  作者: Karyu
3/190

第二話 鳳欄高校 転入(2)


「あ、すごい偶然。私もS系で入ったんだ。でも、すごいよね、ひとつのクラスにS系が二人もいるなんて。まずありえないのに」


綾夏は以前にも落ち着いた感じで話した。


「あ、いいなー、二人とも早速共通点があって〜。私も中に入れてよ〜。あ、そうそう流騎君、これからは、女子に気をつけたほうがいいわよ〜。みんな、イケメンの子に飢えてるからねー。わたしもそのうちのひとりだけど〜。ここはほら、英才が集まるからスポーツ派の子は結構いい線いってるんだけど、うちのクラスはほとんどがいかにも勉強してますって感じなのばっかで欲求不満なんだよね〜」


未来は、長々としゃべり続けていた。この子は、人が聞いていなくてもずっとこんな調子で延々としゃべる続けるのだろうか。


「あ、ああ。忠告ありがとう。それでさ、綾夏の能力は何なの?」


「えっ? 能力って? なんのこと?」


う……、しまった、唐突に聞きすぎた。いきなり、専門用語を使うのはまずかったか。能力とはそのままのとおり使える力の種類である。俺のは前にも言ったとおりタイプは水だ。


「あ、いやいや、その、好きなタイプってっこと」


俺はとっさに質問を変えたがかえってこれが痛手となった。


「え、そんなこといわれても……」


綾夏は、頬を少し赤らめうつむいてしまった。


「流騎く〜ん、何?もう綾夏に目をつけたの? 綾夏はほんっとうーに人気者だなー。流騎くんも早速告白ですか〜?」


未来は、俺たち二人をからかいながらも残念そうな声で綾夏をつついた。


「え、そんなことないよ。未来だって、いろんな男子からプロポーズされてるじゃん」


「だめよ、あんなやつら。少し親切にしてやったぐらいで、勘違いされてもいい迷惑なのよ。あの、オタク集団め」


未来はこぶしを握らせながらいった。


俺は、彼女らの会話を、方耳で聞きながら、携帯で受信した本部からのメールを読んでいた。



今夜、20:00、広島港にて

ターゲットについての

情報及び勧誘手順を

受け取りに来い

呼び出しは、ホタルを使え

引渡し人はトンビ



ということは、まだ手を出すなってことだな。まあいい、時間はたっぷりとあるからな。


「ん? 流騎く〜ん、校舎内での携帯は厳禁ですよ〜。それにより、この携帯は没収―」


スパッ


「!」


あっという間に、流騎の携帯は取り上げられてしまった。


「あ、こら、返せ……じゃなくて、返してくれ」


「ごめんね〜、一応規則なの。それに、今騒ぐと、センサーが作動して、流騎くん、この携帯とはもう二度と会えないかもよ」


未来はからかうように言った。


冗談かもしれないが、ここは、名の知れた名門中の名門校だからな。何が起きてもおかしくはない。ここは、おとなしくしとくか。しかし、西園寺のやつ、なんて敏感なんだ。


「まあ、流騎くん、放課後には返してあげるから。安心して、私に預けときなさいな」


安心以前の問題だが、まあいい、一応セキュリティは掛けてあるから安心だ。


「まあいいや、ああ、それと今日は用事があるから早く帰るよ」


「えー、せっかく3人で、どっかいこうと思ったのに」


未来が落胆する。


「何の用事なの?」


と、綾夏が、聞いてくる。


「ん、ちょっとな。個人的なものだから」


「そっか、なら仕方がないね。じゃ、明日は大丈夫?」


「わからないな。でも、たぶん大丈夫だと思う」


「本当!?じゃ、綾夏、もう一回計画の変更だ〜!」


と、今まで落ち込んでいた未来が飛び上がり、また、綾夏と一緒になにやらやり始めた。

そして、始業ベルが鳴った。


流騎は、そのあとの授業を、綾夏に教えられながらてきぱきとこなした。そして、体育の授業ではものの見事に、サッカーの試合で、得点王になった。


こういった場合、あんまり目立ちすぎるのはよくないのだが、スポーツに関して俺は抑制はできなかった。しかし、名門校とあって、みな、勉強もスポーツも並外れた能力を持っていたためやりがいがあったのであった。


だが、さすが名門校だけあって、設備やら校舎が尋常なほどに優れている。いざとなったら、要塞になったもいいぐらいな物騒なほどの防衛プログラムが施されている。やはり、この学校、裏で必ず何かが起きているな……。


そして、あっという間にも、最後のHRになってしまった。


そして、いかにも頼りない担任(確か名前は高ノ原とかいう)が、今朝話していたクラス委員を決める会を企てた。最初に、立候補者が自らの机のPCから黒板型モニターに自分の名前を書き込んでいった。


そして、その後は、他の人の推薦が始まった。冗談交じりで男子がほかの男子の名前などを挙げていて多少口論にもなったが、最終的には7人の名前が黒板に刻まれていた。そして、いざ投票というときに、


「私は、シルキくんを推薦しま〜す」


と、いきなり西園寺未来が俺の名前を挙げた。


「って、おいっ!」


俺は、意表をつかれ、未来を振り見たら、未来は舌をだしウインクをして席に戻った。

な、なんで……何故、俺の名前を言うんだ……?しかも、転校初日のやつを普通立候補に加えるか?


そして、結局おれの反論むなしく黒板には8人の名前が刻まれていった……。



鳳欄高校。このストーリーの重要な場所のうちのひとつです。流騎も初日から大変ですね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ