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燃えた夏  作者: Karyu
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第二十八話 ホタル……


「君達の答えはわかった。合格だ」


 と俺たち二人に暖かな笑みを放った。


 そしたらまた坂本という教師が、


「しかし校長それでは私たちの立場がないではないですか!」


「だが決定事項は決定事項だ。逆らうことはできんよ」


「しかし!」


 と坂本が食って掛かろうとしたが次の校長の一言で静かになった、


「君一人で政府に立ち向かう気かね?」


 それ以降、坂本は黙りこくってしまった。


「それで校長先生、決定事項はなんだったのですか?」

 

 綾夏は丁寧に聞いた。


「おお、そうだったな。政府から君たちに送られる実権とはこの学校の使用条件だ」


「使用条件?」


 俺はますますわからなくなり聞き返した。


「そうだ、簡単に言えば君達は授業中、放課後、週末この学校の出入り及び出欠席を自分達の思う通りに変えられる事ができる。それに無条件でここの単位及び成績はすべて一流大学に入れるだけのものになる。それとこの学校の資料、記憶、秘密書類すべてを閲覧可能となった、ただし学校内という条件付だがな」


「え?でもなぜ政府はそれを承認したのですか?」


「それは私たちにも知らされていない。だが政府によるとそれは教えずとも君たちが一番の理由を知っているといっておったぞ」


「ああ、その理由はわかっている。綾夏、例の件のせいだ」


「あ、そうか……」


「それで君たち二人にはこのカードを渡す。これはこの学校のセキュリティカードだ。これを校門とあらゆる扉に取り付けられている、それでこのカードをセキュリティチェックにかざすと鍵が外れる。それに閉まった扉はすべてオートロックであるから戸締りの用心は不要だ。くれぐれも学校内を荒らさないでくれたまえ。それが私からの唯一の頼みだ」


「あ、はい。わかりました。ですが普通どおり授業に出てもよろしいんですよね?」


「ああ、それはかまわんさ。それではここにそのカードを置いとく」


 と校長はいい、テーブルの上に青と桃色の二枚の黄金比に沿って作られたカードを置いて、


「それでは私は用があるのでこれで失礼するよ。それではお二人さん、この実権は今日から有効になっているからよろしく頼むよ」


 といって、校長は他の教師達と一緒に出て行った。


 テーブルの上に二枚のカードが窓から降り注ぐ柔らかな朝日を浴びきらきらと輝いていた……。


「さてと、綾夏。誰の仕業だと思う?」


「え、でも私たちみたいなのが政府からこういった待遇を受けるのはMBSの力なの?」


「ああ、そういうことになるな。それに、ここにMBS支部を置くことになることを考えれば当然と言えば当然の処置となるな」


「MBSって結構、経済力も政治力もあるんだね」


「まあな、俺たちの活動はいわば国のボディガード兼飼い犬みたいなもんだからな。しかも主人をかみ殺しかねないほど凶暴な飼い犬だからこうやってたびたび要求を聞き入れなきゃ寝返るとでも思っているんだろうな、大方」


「そうなんだ……。それでもすごいね、私たち二人にこんな力」


「いや、大方俺たちの監視下に置くことになるから多分部活と言う形式になるんだろう」


「え?私たちの監視下に置くの?」


「ああ、だからこんな待遇を受けたんだろう。それに多分チルドレンの勧誘も俺たちにさせる気だろう。今待機している隊員を入れても今はまだこの学校にはチルドレンとみなされてるMBSの隊員は俺たち含めて三人しかいないからな」


「そ、そっか、そうだよね。これからがんばらなくっちゃ。あ、それよりも早く行かないと授業始まっちゃうよ」


「せっかくこのカード貰ったんだし早速特権を使えばいいじゃないか」


「私はいやなの。特に人と違ったように振舞うの。だからいくよっ流騎くん!」


 綾夏は二枚のカードを手に持って、


「って待てって!勝手に引っ張っていくなー!」


 俺は綾夏に服の袖を引っ張られながら職員室から教室まで連れて行かされた……。連れて行かれている最中に綾夏にまた質問された。


「ねえ、流騎くん。なんか頭に妙に変な音というか直接話しかけられたりしてるような感じがするんだけど……。これって流騎くんのいってたホタルってやつ?」


「おっ、よく気付いたな。そうだこの感覚がホタルだ、慣れてくるとその話しかけられている内容もわかってくる。まあでも距離も離れているし、向こうもまだホタルの扱いがわかんないんだろう正確な位置まではわかんないけどな。それより綾夏、俺の袖引っ張ってないで歩きたいんだが……」


「あ、ごめん。そっか、これがホタルなんだ……。あ、早くしないとほんとに遅れちゃう。歩くのはいいけど早足でね」


「はいはい、わかったよ」


 しんと静まり返っている廊下を俺と綾夏は早足にクラスに向かい、入った。そしたらクラス全員の視線を一気に浴びた。


「う、入りずらいな……」


「う、うん……」



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