表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
燃えた夏  作者: Karyu
26/190

第二十五話 綾夏、MBS就任


 かくして沈黙の十分が続き、俺がやっとカレーを食べ終えた頃、綾夏はパフェ四つをすでに完食、ミックスサンドをぽいぽいと口の中に放り込んでいた。恐るべき綾夏の胃袋……。



 まさかとは思ったがこれほどまでとは。このままじゃ綾夏のほうが早く食べ終わるかもな。俺は少しぬるまったコーヒーを飲みながら綾夏の食べっぷりを見ていた。


 さも幸せそうに食べている綾夏を見ているとこっちも食べさせがいがあると言うもんだな。とはいったものの、この領収書を見るのが恐ろしい……。


「ふぅ、ごちそうさまでした。あぁおいしかった。ご馳走様でした流騎くん」


「ああ、どうってことないさ。それにしてもよく食べたもんだな、しかもこんな綺麗に……」


「え、だって残すのもったいないじゃん。でも流騎くんそれだけで足りるの?」


「ああ、俺はそんなに大食いじゃないからな……」


「ひっどーい、私大食いじゃないもん。それに流騎くんこそ食べなさすぎだよ。そんなんじゃ体力つかないよ」


「俺は小食だからいいんだよ」


「そうなんだ。でも、ふぅ〜、おいしかった」


 綾夏は深くソファに落ち着き、満足そうな顔をしていた。


 俺はその間に領収書をひっくり返し、恐る恐る書いてあった金額を見るとなんと八千六百円だった。これでもう、カップ麺生活がまた始まるな……。これが自業自得ってやつなのか……。


「さ、そろそろいくか、綾夏」


「え?どこに?」


「どこにって、そりゃ支部に決まってるじゃないか」


「あ、そっか。一応これ任務だったんだよね流騎くんの」


「まあな、それじゃとっとと行くか」


「うん」


 俺たちは立ち上がり店の出口に向かって歩き、キャッシャーで店員に一万円札と領収書を出しおつりの千四百円をかすかに震えながら受け取った。これで二人分の電車賃を払えば俺の財布は閑古鳥が鳴くことになりそうだな……。


「ありがとうございましたー」


 と店員の声を後に俺は顔には出さずとも重い足取りで嬉しそうな綾夏と共に店を出た……。


「ねえ、流騎くん、MBSの支部って全国にあるの?それともそれも数少ないのかな?」


「ああ、まあそんなにたくさんはないな」


「じゃ、広島にあるわけは鳥取県本部の唯一の管轄下なの?」


「ああ、でもかなりあるぞ。鳥取MBS本部が管轄化においてる支部がある、それは島根県にも山口県ある。まあ、支部といっても情報施設みたいなもんだからな、全都道府県には一応一つずつ支部が置かれてる。それでもチルドレン隊員は少なくとも2人ずつ配備されてる。俺は今回出張任務だから今広島にいるのはあわせて3人だな」


「あ、私も入れて4人だ」


「ああ、そうだな」


 などとしゃべっているうちに駅に着き、二人合わせて四百四十円の切符を買い、古びれた電車に揺られ二十分後、広島MBS支部の上に広がる田園風景の前に着いた。


「ねえ、流騎くん……。もしかしてまた落ちるの?」


「いや、毎回毎回同じところから入ったら気づかれる恐れがあるからな。今度はあそこに生え

てる苗を引っこ抜いて入る。お、あったあったこれだ」


「え、引っこ抜くって?」


「ん?こうだよ」


 俺がその苗を引っこ抜いたのと同時に田んぼの水が抜かれていき階段が現れた。


「なーんだ、こうやって入る手があるんだったら最初から言ってよ」


「ん、ああ、でもこれは一番気付かれやすいんだ。さあ、とっとと行くか」


「うん」


 俺と綾夏はすかさず階段を下りていき長い廊下を渡って「会議室5」と書かれた部屋に戻った。


 広島支部は敷地はさほど広くはないが地下にあるということで今でもここは隠し通すことができている。通信システムは最新なものを使い衛星ではなく地上デジタル波を使っているので連絡が途切れることはない。

 

 そして無駄に広い部屋に入り電気を消しプロジェクターをつけた。そしたらまたもやカゲフミの顔が映った。


「やあ、お二人諸君。任務ご苦労」


「何が任務ご苦労だ。何度人を死にそうな目にあわせれば気が済むと思ってるんだ!」


「まあそう怒るなシルキ。ああ、それとアヤカ。そこの机においてあるのが君のスーツだ。そ

れと他においてある携帯や器具はMBS専用の携帯品だ。それとひとまずはおめでとうといっておこう。お前たちは明日から学校に通ってもらう。一週間休んだが普通を装え」


「無理だろ、そんなもん!勝手に人を休ませておいて何が普通を装えだ。それに俺はいつ本部に帰れるんだ?」


「シルキお前には今日から広島MBS支部に配置となった。だからあのアパートをこれから使え」


「なっ!?」


「さてと、それでは私は失礼する。次なる任務はまた連絡する。当分の間ここには来なくてい

いぞ。何かと学生は大変だからな。ははは」


 そして、またもや一方的にカゲフミは通信を切った。綾夏はただ呆然と俺の後ろでカゲフミと俺とのやり取りを聞いていた。


「ねえ、流騎くん、大丈夫?」


「ん?あ、ああ。まあ綾夏が俺のパートナーになってくれたんだからここに配置されるのは考えてみれば当たり前のことだからな。まあ、明日は一度米子に帰ってアパートから荷物を持ってくるだけだな。それより、スーツ大丈夫か?ちゃんと入るかどうか調べとけよ。それと他の器具はここに来るときや任務のあるときは常に携帯しとかなきゃいけないからな。ふぅ、さてと後もうひとついい忘れてたんだがここの広島MBS支部はここだけじゃなくてもう配置されることにあってそれは鳳欄高等学校だ」


綾夏の名前がサブタイにちょくちょく出てますね。まあ、いいでしょ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ