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燃えた夏  作者: Karyu
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第十八話 比婆山強化合宿五日六日目

 

 それが、俺がトウキから始めて習った教えであり最後であった。それから四年、俺はトウキの姿を見ることはなかった……。


 右手の甲にそのときゴウキによってつけられて傷跡を今もなお自分が強くなるためのけじめとして残している。


 一方、ゴウキの噂はMBS本部のほうにも届いており、四年のうちにどんどんと力をつけたらしく今ではシコンの右腕として活躍しているらしい。


 あの時のゴウキとトウキのやり取りからしてトウキがやられている可能性は低いはずなのだが、トウキはいまだ行方不明である。


 確かにあの時の俺はまだ未熟であった。そして、あの時使った水速転換の技は俺が最初にあの場で作り出した技であり今でも重宝している。




 そして二羽の野鳥を肩にぶら下げたまま、綾夏のいた所に戻った。しかし、綾夏は集中しすぎたせいかぐったり木に寄りかかって寝音を立てていた。ま、仕方がないか。起こすのもなんだしな、悪いが俺だけで食べるか。そういえば、マッチがどっかにあったな……。


 俺は自分のポケットの中を探り取り出した。そして、勢いよくマッチに火をつけ空気中の水素原子を操り小規模な水素爆発を起こしカッコウ鳥のほうを丸焼きにして食べたのだが、やはり爆発で生じた熱で調理しただけに中身は少し生っぽかったが食べれないことはなかった。


 腹を満たし、綾夏に寝袋の中の毛布をかけてやり今日の夜はさほど冷え込まなかったので俺も木の幹によりそり綾夏の隣で眠ることにした。そして、3分と立たないうちに俺は、ふくろうの子守唄が静かな森林に響く中、寝息を立てていた。




 またもや広島のとある某所、シコンの本拠地での研究室で二人の科学者はまたもや会議を開き討論していた。


「おい、どうするんだこれから?強力剤の効き目はあったが、それでもあのシルキには通用しなかった。それにキメラを作る際に使えるチルドレンは限られているんだぞ。それに強力な能力を持つチルドレンの使用は禁じられているんだぞ。一体今の現状でどうやって強力なキメラやモンスターを作るんだ?」


「まあ、落ち着け田中殿。確かに今のままでは強力なキメラは作れない。そこでだ、チルドレン一体を使うより、人間を使ったキメラを作り出す」


「しかし中田殿、それでは質が落ちるし、なにより力が弱いではないか」


「確かに、しかし大量生産ができるぞ」


「だがその大量生産で作り出したホークスやモンキーの隊はすぐさま全滅させられたではないか。あのシルキとアヤカという連中に」


「ああ、だがあの時使った人間のサンプルはそこいらにいたチンピラどもとホームレスの連中だった。そこでだ、今回のキメラは様々な動物と人間ではなく、人間型に動物の能力を混ぜたキメラを作る。これにより、人目に出てもさほどわからないであろうし、それに性能も人間の脳を使うわけであるから体の勝手もわかるだろう」


「な、なるほど。確かに今までは動物の本来の能力で人間の脳を入れ替えてはいたがそれでは動物の体になじんでいない人間は、力だいくら強くなっても脳がついていかなかったわけか……」


「ああ、それに使う人間はすべて軍関係者のサンプルが用意される手はずになっている」


「しかし軍人を使って政府が黙ってはないのではないか?」


「いや、使う軍人はすべて昔我が国が極秘に起こしたゲリラ戦争のときに参加していた軍人だそうだ」


「なるほど、そこで秘密を知っている軍人は国はいらないが殺すわけにもいかないというわけか」


「ああ、それに政府には我がリベリオンのメンバーが数人実権を得ているため人材入手も容易に行くというわけだ」


「なるほど、しかし中田殿、何人ぐらいが入ってくるのだ?」


「およそ50人だ」


「それでは私たち二人だけでは手に負えないのではないのか?」


「その心配はない。約十名のリベリオン研究者が導入される」


「そうか、それでは我々も忙しくなるな」


「ああ、そうだな」




六日目




 暖かな日差しを目いっぱいに浴びて俺は重たい瞼を開けた。そして俺の瞼の奥から見えた光景は昨日となんら変わらず平和をそのまま書いたような風景が広がっていた。

上流から流れる川が微かな音をたて、小鳥のさえずりが合唱しており、やさしく青々しい木々が川と砂利の周りを囲んでいた。俺は毛布をとり起き上がり背いっぱいに背伸びをし、陽光を体いっぱいに浴びた。


 しかし、俺の隣で寝ていたはずの綾夏の姿がなかった。もう一度周囲を見回したがやはり綾夏の姿はどこにも見当たらなかった。


「綾夏のやつ……一体どこに行ったんだ?仕方がない、顔でも洗って魚捕まえて食べるか」


 俺はタオル一丁を片手に持って川に顔を突っ込んで残っていた眠気を洗い流した。そして、川の中で目を開け泳いでくる魚の気配を感知し素手で4匹捕まえた。


 ぴちぴちとはねる魚の(えら)に親指を突っ込んで呼吸できなくさせ手頃な木枝に口から魚を刺して火を焚き魚を焼いた。五分とたたないうちに香ばしい魚の匂いがあたりをうめつくした。


「ふ〜、もうすぐで焼けるかな。それにしても綾夏はどこに……?しかたがない、あんましこの技は使いたくはないんだがな……」


 俺は自分の神経を研ぎ澄まし空気中に無数存在する水素原子の湿度を把握し、人の体温によって温まる空気の場所を感知することによって特定の人物の居場所を捕捉することができる。

しかしこの感知能力は自分の神経をいくらか削り取るのであまり遠距離の捕捉は体力の消耗でしかなくなるのである。


 そして、ここから20メートルほど先のところ川の少し下流の辺りで人のいる気配を感じた。恐らく、綾夏の体温だろう。しかしこの能力は後味悪いな……人を監視しているようで。まあ、仕方がない、呼びに行ってくるか……。



すみません、サブタイトルのこの曖昧さ。でも、成り行き上こうなってしまったので……ホントすみません。問題は次話のタイトルがどうなるかです……。

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