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燃えた夏  作者: Karyu
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第十五話 比婆山強化合宿五日目


五日目

 



「ふぁ〜あ。うーん、いい朝だな……。おい、綾夏起きろって……。はあ〜あ」


俺の隣で寝ている綾夏はもう少しレ大人くしならないのか?なんでこんなきちきちの寝袋に入って寝てるのに出てるんだ……?


「おい、綾夏おきな。そろそろ日が昇るぞ」


「ふあぁ〜。うっ、さむっ……。なんで私袋から出てるの!流騎くん、いじめ?」


「何で俺がこんなところでお前をいじめないといけないんだよ?」


「じゃ、ここじゃなかったら流騎くんって結構いじめる系?」


「いや、俺は断じて違うぞって、どうでもいいから早く起きろ。今日は、ま、たぶん簡単な一日になりそうだしな。」


「ほんとっ!?わーい。それじゃ、さっさと始めましょっか。ほら、流騎くんも起きた、起きた」


こいつはほんとに……。ま、いいか。よし、それじゃさっさと終わらせるとするかな。


「よーし、綾夏。今日は補助系の技を覚えてもらう。昨日俺がやった、癒光みたいなやつだ。これは常に竜あるいは、西洋のドラゴンをモチーフにした御加護が必要となる。その前にケイのパワーをコントロールする必要がある。火のケイを自然と同化させて体の傷を癒す。ま、あんな強力な技繰り出せるくらいだからこれも、案外早くできるかもな」


「うん、わかった。火山の守り竜、炎竜よわたしに癒しの御加護を与えたまえ、蛍火!……何も起こらない…………」


「もしかして綾夏、まだケイのコントロールできないのか?」


「え、う、うん、まあね。威力を強くするのはいくらでもできて威力が増すほどコントロールできるし。これって、難しいよ。自然に循環なんてどうやるの?」


綾夏は薄ら涙を浮かせ俺に縋ってきた。


「綾夏の弱点発見だな。まあ、案外簡単だからよく見ておけよ。まずケイを作り出すんだけど体の表面を覆うように包み込むような感じで火のケイを体に纏うんだ。そうすれば自然がお前の声に応えてくれる筈だ」


「う、うん、わかった。集中、集中……」


そしてかれこれ一時間が経過しても何の進展もなかった。


まさか、これほどまでとは……。


う〜ん、綾夏は強力な技を使える反面、繊細な補助形は苦手なのか……。


もしかしたら大雑把な性格なのかも知れないな。


「はあ…はあ…はあ……。流騎くん、無理……。もう、へとへと……」


「だめだ、だめだ。今日中には最低限ケイをコントロールできるようにならないとな。集中するんだ、ケイを布みたいにうすーく広げて体全体に纏うような感覚で」


「はーい……。よーっし、もう一回!集中、集中、しゅう……」


しかし、綾夏は何とかケイを小さくすることができても、それ以上薄く変形させることができずに昼も過ぎ、夕方になっていた。


さすがの俺も綾夏の集中力が限界のピークに達していると察し、


「おーい、綾夏。そろそろ晩飯にしないか?」


「……………………」


「おーい、綾夏―。飯にしようぜ、めしに……ぐわっ!」


俺の顔面に綾夏の正義の一発、火拳をくらった。俺の体は2、3メートルかなたにぶっ飛ばされて川に水しぶきを上げながら落ちた。


「邪魔しないで、流騎くん。集中力が乱れる」


俺は顔のやけどを癒光で治しながら、黙ることにして晩飯を捕りに行った。


あいつ、俺が癒光つかえること知っておいてわざと本気で殴ったな。


くそっ……、この合宿俺も命がけだな……。


それにしても綾夏のやつ、あれじゃいずれ倒れるぞ……。


訓練する心構えは殊勝だが、問題は精神力より体力だからな。まあ、もって後2、30分だろうな。さてと、綾夏が倒れる前に晩飯捕ってくるか。


綾夏を川のほとりに置いといて、俺は周りの森林に入り耳を澄まし野鳥の(さえず)りを拾うだけ拾った。


そして、手ごろ良く近くにいたカッコウ鳥と鳩を跳躍して、二羽が飛び立つ寸前に掴み取った。とっさに鳥の首を折って絶命させた後、肩からぶら下げて綾夏のいるところに帰った。

ほんとに、静かな場所だよなここは……。とても立ち入り禁止区域には思えないよな。


そういえば、今日は魚捕るはずだったな……。


ま、あれは昼食の話だったし、別にいいだろ。


しかし、カゲフミのおっさんも皮肉めいたことしてくれるよな。何で俺が一回死に掛けたこの山をわざわざ綾夏の強化合宿の場として選んだんだ?そういえばあの時……。


俺は、川のほとりに帰る間に四年前ほどに起きた出来事を思い出していた……。




四年前……。




 あれは俺が十二の夏。まだMBSの駆け出しだったころ綾夏と同じようにあのカゲフミの親父の命令である男の下についた。その男の名前は近藤兜貴、またの名を緑陽のトウキ。


一応俺の師匠に当たる人物なのだがきっとあいつのことを師匠と呼ぶ日は来ないだろう。それほど、ルーズ且つそのような器ではない男であった。


そしてトウキの下で俺は修行に励んだ。というよりもほぼ強制的な労働ではあったが……。そして、やつのやることなすことは俺には一切理解不能であった。



いきなり始まりました流騎の過去話。いきなり書き始めますが個人的にトウキは好きです。すみません、ぐだぐだですね。

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