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燃えた夏  作者: Karyu
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第十四話 比婆山強化合宿四日目(3)


「よーし、それじゃいくよ。わが拳よ炎となりて我が弓矢となれ!ファイアーアロー!」


以前にも比べて形もスピードも一段と鋭くなったファイアーアローが俺めがけて飛来してきた。


俺はすかさず前転をするように綾夏の攻撃を避け、そのまま綾夏めがけて走った。技を使わずとも人並み以上の足の速さに綾夏は一瞬驚きはしたもののつかさず、


「火星の神マーズよわれにご加護を与えたまえ、フューゴ・ペール!」


見る見るうちに俺の前方に火の壁が現れた。しかし、前に一度見た技を二度も引っかかったことのない俺にとって綾夏の新技の対処法はすでに計算済みだった。


それは、綾夏が周りの空気の水素原子をある程度蒸発させる前に火の中に突っ込み綾夏を捕まえる。そしたら俺の勝ちでタヌキにありつける!


「うおりゃああ、これで終わりだ綾夏!!」


「はは、またひっかかったね流騎くん」


「えっ?」


俺は突如後ろに現れた綾夏に動転し、減速しつつもそのまま綾夏のフューゴ・ペールに突っ込んだ……。


その直後、俺の皮膚を焦がそうとしきりに燃え上がる火に俺は気絶しそうな痛みを感じながらも命からがらそばに流れている川に身を投げ飛ばすことはできた。


かくして二十分後、


「う、うぅぅん……。はっ!」


俺は飛び上がるように起き自分の周りを見回し綾夏が心配そうに俺のことを見つめていることに一瞬心奪われそうになった。が、しかし全身のやけどの痛みに目が覚め現実に引き戻された。


「いってぇぇぇ!」


「だ、大丈夫、流騎くん!?ごめん、まさか流騎くんがあそこまで単細胞で私の火の中に突っ込むとは思ってなかったから目くらまし程度に普通よりちょっと強力にしといたんだ。ほんとに大丈夫?皮膚に水疱ができちゃってるけど……」


「あ、ああ。ま、痛いけどこういうときのための補助技もあるのさ」


 俺は立ち上がって傍の川の水を片手ですくい、


「水龍の長よわれに治療の御加護を与えたまえ癒光……」


と言いながら水を全身に浴びせた。


すると体中のやけどの痕や水疱はすっかりと消えた。


「ああ、これで元通りだ。うん、痛みも消えたな」


「わあ、すごーい。私もこういった技使えるようになるのかな?」


「ああ、綾夏なら案外早く習得できるかもしれないな。自分の力を自然に感じ、構成を理解し操る。綾夏のあのフューゴ・ペールみたいにな。それにしても、どうやってさっき俺の背後に回ったんだ?俺の記憶が正しければ充分綾夏の技が完成する前に捕らえることができたはずなのに」


「あ、ふふ。それはねぇ、今度はもちろん水素原子の蒸発もしたけど空気中の水分の反射も応用したんだよ。だから、流騎くんがぶつかったフューゴ・ペールは私が出した本物だけど私の姿は実際はフューゴ・ペールの真横にいたからそのまま、流騎くんの背後に回ったの。どう?すごいでしょう」


なんてやつだ……。これが合宿が終わってからだったら俺の体も危なくなってたかもしれないな。しかし、約束は約束だから仕方がないか……。


「ああ、すごいよ。綾夏は才能があるな。俺のときとは比べ物にはならないけど、今度やるときは俺も本気で行くから覚悟しとけよ。ま、いつあるかわかんないけどな。それと、約束だ。タヌキは好きにしていいぞ」


「ああ、タヌキちゃんね……。それがさっきの模擬戦でこんがり焼けちゃいました〜。ははは。気持ち悪かったけど内臓と頭はとったから食べよっか」


「え、いいのか?そうか。それなら、食べるとするか。腹減ったしな。そんじゃ、いただきます」


「うん、いっただきまーす。あむっ……おいしいー。病み付きになっちゃうかも」


「確かにこれはうまいな。結構いけるんだなタヌキって。新発見だ。よし、じゃあ今日はこれが食べ終わったら今日の特訓は終わりだ。自由時間だから寝るなり散歩するなり好きにしていいぞ。まあ、もうすぐ日が暮れるから三十分ぐらいしたら寝るけどな」


「はーい。ふぅ、ごちそうさまー。それじゃ、ちょっと体拭いてこよっかな。タオルあったよね」


「ああ、ほら。じゃ、俺は一足先に寝とくから適当に寝ろよ」


「うん、わかった。じゃあね、おやすみ」


「ああ、おやすみ」


「覗いたら焼き殺すからね」


そういって、綾夏は小走りに岩の陰に隠れた。綾夏のやつ……俺が覗くとでも思っているのか?


まあ男である以上そういう思いに掻き立てられるのかもしれないが……。


ああ、思考が乱れる。もう寝よう。


うん、それがいい。朝になったら魚でもとって焼くかな。


そうこう考えているうちに俺は深い眠りへとついた。



流騎の立場も弱くなってしまいましたね・・・(いい気味ですw

ですが着々と合宿も終盤に近づき、綾夏も着実にチルドレンとして

力を使えるようになって着ました。いやー、よかったよかった

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