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燃えた夏  作者: Karyu
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第百四十七話 日常(二)


~刈谷~


 俺は今日、静香が教室に戻ってくることは分かっていたのにも関わらず西園寺さんと転入生が現れたことには驚いた。確か西園寺さんは前までリベリオン側にいたんだったよな。気付かなかったとはいえ、この教室チルドレン多すぎだろ。


 俺は自分の机、真っ白い机の上に足を組みながら眺めていた。


 教室の反対側を見れば萱場の方が口を開けながら驚いていた。へんな顔してやがるな萱場の奴……。


 それにしてもさっき教室の扉のところで自己紹介した紅葉さんは身長は150cm程、小柄で照れながらも慌てながら挨拶をしていた様はきっと天然なんだろうな。


 かわいいという一言が一番似合う子だ。


 っと、だからって俺にロリっ気はない。けど今日本全般でいうロリコンの基準ってのはよくわかんねぇんだよな。どのぐらい子供好きでロリコンって言われるんだ?


 それなら小さい子が好きで教師になりたいと思う奴ら全員ロリコンになるんじゃないのか? 日本の文化恐るべし。


 少し、いやかなりか、脱線しちまったな。


 木宮さんはなんとか平静を保って(といってもむちゃくちゃ動揺してるが)ホームルームを続けていた。さすがはクラス委員長。


「あ、それじゃ皆さん帰ってきた西園寺さんと倉木さん、今日から一緒なる紅葉さんを拍手で歓迎しましょう」


 そこでクラスから拍手喝采があがり始め、俺も手を叩いた。


 さあ、このクラスも騒がしくなるな。けど俺は騒ぎ上等だ。どっからでも掛かってこいだ。


 ま、そんなこんなで授業が始まり、教師達も当初驚いてはいたが普段通りの授業が行われた。っていうか知らなかったのかよ。


 そんでもってすぐさま昼休みになった。そしてこれまたすぐさまいつものメンバーが集まった。というよりも集めさせられた。


 そう、俺は今スペースにいる。


 全員がソファに座り一同を見渡すと、俺から初めて右隣に静香、西園寺さん、木宮さん、萱場、そして紅葉さんがいた……。


「なんで……?」


 俺の疑問にすぐさま対応したのが木宮さんだった。


「えっと、紅葉さんは今日が初めてだから私達クラス委員が面倒を見るということになっちゃって」

「そ、そうなのか。でもスペースに入れて良いのか?」


 俺の素朴な疑問はもっとものはずだ。なぜなら、俺たちチルドレンメンバーならともかく、俺が知る限り紅葉さんは……。


 いや、もしかして、


「ということは紅葉さんもチルドレンってことか?」

「は、はい!」


 紅葉さんは多少大きな声をあげて肯定した。


「ですが、私はルネサンスには入っていません」

「「え?」」


 俺たち一同はそう声を出した。


 何故ならチルドレンという言葉はルネサンス、或いは元MBS、元リベリオンしか知らない言葉だ。


 それに加え政府の上層部にしか管理されていないキーワードだ。


「なんでお前がルネサンスを知っている?」


 萱場がいち早く、しかも少し厳つい目つきで紅葉さんを睨んでいた。


「う……」


 紅葉さんは萱場の睨みに少し怯え、後ずさりながらも答えた。


「私は別に何もしていませんよ」


 何もしてない? ならなんでこんなことがわかるんだ? 


「なら、青海ちゃん。あなたはここで終わりだね」


 西園寺さんが立ち上がりながら片手を紅葉さんに向けた。


 すると西園寺さんの右腕全体に電気が迸り、周りの空気を焦がしはじめた。


「ちょ、ちょっと、待ってください! な、なにも私はスパイじゃないですよ!?」


 紅葉さんはそう言い張ってるが、まあ、考えてもみればそうかもな。


 ここにいるのはルネサンスに入ってる隊員が五人。そこに一人で乗り込んでくるなんてのは無鉄砲すぎるからな。


 そして少し緊張感が張り詰めるスペースの中、鳥取ルネサンス本部から連絡が入ってきた。


「ハヤブサだ。おお、運よく全員集まっているな。紅葉殿もいらっしゃるようで」


 ん? なんかハヤブサ総司令の喋り方が畏まってるな。


「あ、どうもハヤブサさん。お世話になります!」


 紅葉さんは低い背を思いっきり折って、モニターにお辞儀をしていた。


 俺は益々わかんなくなって、


「どういうことですか?」


 それを聞いていたハヤブサ総司令は答えた。


「うむ、今説明する。その代わり、紅葉殿、少し席を外されてもらっても構いませんかな?」

「あ、はい! そ、それじゃ皆さん失礼します!」


 紅葉さんはまたも90度以上に腰を思いっきり曲げて思いっきり振り上げてスペースから出て行った。


 一体、なにがどうなってんだ?



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