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燃えた夏  作者: Karyu
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第十三話 比婆山強化合宿四日目(2)

 

まあいい、早く今日の晩飯見つけてこよう。昨日みたいにあんなやつが出てきたらめんどいからな。ま、そうは問屋がおろしてはくれないらしい。


「きさま、シルキだな。わが子分どもの無念ここで晴らさしてもらう」


な、なんなんだこいつ。昨日のやつとはわけが違う。こりゃ、昔から伝わる日本の妖怪鵺そっくりだ。しかし、いくらなんでもそんな、いや昨日の件があるここは慎重にいくか。


「おいモンスター。お前のボスってやつはどんなやつだ」


「お前に答える義務はないが、いいだろう。どうせ死ぬのだ、話したって別に損はなかろう。わがボスはわれわれを生み出しそしてその方の理想の世界サンパラレを創り上げるために私たちが手足のように働いておるのだ」


「理想の世界サンパラレだと?」


「ああ、そのとおり。この世のチルドレンたちのための世界を築き上げることだ。誰もが安心して暮らしていける世界を創り上げるのだ」


「なるほど。だからお前らは民間人とMBSばかりを襲うのか。だが俺を狙うわけは何だ?」


「それは、お前がわれらのボスの計画に後々邪魔になる可能性が高いからだ」


「そりゃ、あまりにも身勝手すぎるな。俺も死にたくはないんでね。悪いがお前には死んでもらう」


「何を戯言を。ここで死ぬのはお前だ。雷の怒涛、サンダーボルト・ノア!」


するといきなりモンスターの周りからスパークが生じ黒い球体となり、俺に襲い掛かってきた。ちっ、やつは雷か。まあ不利ではあるが勝てない相手ではない。


「水の守護神マーキュリー。われを守りたまえ。プロテクシオン・ロゥ」


すると、俺の周りに水が凝結し、雷の攻撃から防いだ。


「つづいていくぜ。シンプルだが強烈。踊り狂う雹」


俺の手から無数の鋭く先端のとがった雹が無数に飛び出しモンスターめがけて飛んでいった。そして、十秒もしないうちにモンスターの体は蜂の巣となった。


「な、ば、馬鹿な。われが負けるわけがっ……」


バタッ……!


なぜだ?急にこいつら強くなった。あの攻撃の威力といい、おれの雹を最初はたくみによけていた反射神経といい。やつらめ、なにか強化剤でも開発したのか?


まあいい、そのうちわかることだ。早いとこ飯見つけなきゃな。そして、モンスターと戦う前に用意しておいたわなに見事、タヌキがかかっていた。ま、かわいそうだけど仕方がないな。自然とはそんなもんだからな。さて、綾夏はどうしてるかな。


そして、戻ってきたときには綾夏は仰向け大の字で寝ていた。綾夏って、もうちょっとお嬢様っぽい感じがしてたんだけど結構おてんばなんだろうな。


しかし女としての自覚はないのか?ま、運よくスカートじゃなかったからいいようなものを。はあ、また起こすのか。


「おい、綾夏おきな。おーい、昼間っから寝てるんじゃない」


「う、うぅぅん……。あ、流騎君おはよう」


「何が、おはようだ。新技はどうした?できたんだろうな?」


「え、ああ、ばっちりだよ。昨日の特訓のおかげですごいのできたんだから。見ててよ。火星の神マーズよ、われにご加護を与えたまえフューゴ・ペール!」


綾夏が技名を言った直後綾夏の周り半径一メートルの間に火の壁が生じた。なるほど、さすがにこの技は強力且つ見事としか言いようがないな。しかし長年使ったことのない力をこんなにも早く使えるようなものなのか?


いや、たぶん綾夏の才能だろうな。日ごろのあいつを見ていてもすごいとしかいえないほど成績よかったからな。しかし綾夏のこの技、息できないんじゃないのか?もうかれこれ二分ぐらいたつが大丈夫なのか?これは、ひょっとすると……。


「おいっ、綾夏!おいっ、聞こえるか技をとけ!」


すると俺の背後から、


「なーに?流騎くん?」


と綾夏の声が聞こえた。


「うおおお!な、なんでおれの後ろに?え、じゃあこの中にいるのは誰だ?」



「誰も入ってないよ。そう見えるだけ。考えても見てよ、そんな火で密閉されたところに一分も二分も入れるわけじゃないでしょ。だから、前に物理で習ったのを思い出したんだ。この技はね、まず自分の目の前に火の壁を召喚して相手の視覚をその点に一転集中させて周りの空気の水素を蒸発させて私の姿を見えなくさせて後ろに回ってるうちに最初の火の壁を私のもといた場所を包囲させる。かかる時間は五秒ぐらいかな。結構練習したんだから。どう?」


「す、すごいな綾夏。俺でもそこまで考えないな。よくやったな」


俺は、綾夏の頭を軽くなでてやった。


「えへへへ、どんなもんだい。えっへん」


綾夏は誇りたかげにここ一番と自慢げに言った。


ちょっとキャラ変わったか?


「ああ、これは俺でも驚いたからな。俺は物理や化学なんて興味ないから直感でやるが、綾夏みたいに基礎知識はあったほうがより強力な技を思いつきそうだな。本能で技を作り出す俺とは違って」


「そうだよ流騎くん、勉学を侮る事なかれだよ。それで、今日のご飯獲れた?」


「ああ、今日はご馳走だ。タヌキだ」


「え?いや、ちょっとかわいそうだよ。いくらなんでも哺乳類のタヌキを食べるなんて、私にはできないよ」


「そうか?じゃ、俺だけ食べるか。悪いけど、火をつけてくれないか?」


「いやだ。いくら流騎くんのお願いでもそれだけはいやだ。しかも、まだ生きてるんだよ。かわいそうじゃん」


「だからってな、これ食わないとまたいつ飯にありつけるかわかんないんだぞ?それじゃ、これならどうだ、模擬戦をして勝ったほうがこのタヌキを好きなようにする。そして、負けたものは新たな食材を見つけてくる。どうだ?」


「いいよ。でもそれだと、私がかなり不利だと思うんだけど?」


「その点は気にしなくてもいいさ。俺は、技を使わないから」


「あ、そうなの?ラッキー。それなら本気でいっちゃうから」


「ああ、それと俺に技をひとつでも決めることができたらタヌキは諦めて違うのみつけてきてやるさ」


 こうして俺と綾夏の実戦訓練が始まった。



またまたモンスターの再来です。はっきし言いますと多分これで最後です。というよりモンスターの実態がわかったことなので、人工モンスターが現れることはないかも?しれません^^

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