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燃えた夏  作者: Karyu
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第百三十二話 動き出す世界(五)


「お前の知ってること全部、吐けっ」


 俺はノーパソを開き、録音モードと共にワードを開いて久夾を問い詰めた。


「いきなりだな、おい」

「だから言っただろ、騙されてた分お前を利用するって」

「ああ、まあそうだが」


 久夾は今さら自分の言った事に後悔しているのか、顔が若干引きつっているがそんなもん今は関係ない。


「それにお前、俺以外の奴に対しての口の利き方雑すぎ」

「それは生まれつきだ。それに尊の方が雑だぞ、いつでもどこでも」

「う……。じゃ、なんで俺の前だと大人しいんだ?」

「それは、俺も知らん」

「そっか、じゃあ先ず初めに国が隠している真相はなにか教えろ」

「ルネサンスの事か?」

「そうだ、ルネサンスはホントに第二日本公認軍なのか?」

「ああ」

「でも―」


 俺が言いかけたことを尊は感じ取ったのか話を続ける。


「ああ、でも軍じゃない」


 だがそれは俺が予想していた真実(こたえ)ではなかった。


「は?」

「ルネサンスは主に一般隊員とチルドレンの隊員とで分かれてる」

「チルドレン?」

「ああ、自然の力を自在に操ることのできる人間だ」

「まさか、お前も?」

「ああ、俺もチルドレンの一人だ」

「じゃあ久夾、お前三鬼嘉っていう奴を知ってるか?」

「三鬼嘉? 知らないな、もしかしたらMBSの方のやつかもな」

「お前はMBSじゃないのか? ってことはリベリオン?」

「そうだ、俺はルネサンスができる前まではリベリオンの北海道リーダーやってた」

「へぇ、それで? チルドレンってどんなことできるんだ?」

「チルドレンには主にっていうか八つの属性に分けられている」

「八つ?」

「ああ、八つの属性、八つの能力。それは火、水、雷、地、森、風、光、それと闇だ」

「なんか、どっかのカードゲームみたいだな」

「ああ、確かに遊○王、ポケ○ン、デジ○ン、デュエルマス○―ズ、言ってもきりがないが似ている。他にも、」

「わかった、わかったからそれ以上、お前のオタトークを続けないでくれ」

「ん? わ、わかった」

「それで、お前の能力ってのはなんなんだ?」

「俺は地を操るチルドレンだ」

「地を操るって?」

「ん〜、例えばこういった風にだな」


 久夾は地面の鉄でできた床に、


たぽんっ


 といった風な音と共に久夾の手は手首の辺りまで床に沈んだ。


「!?」

「これが俺の能力だ」


 久夾はそう言うと共に床から手を抜き取った。


 すると床には小さな拳程のクレーターが残ったのみだった。


 そして久夾の手の中にあったのは小さな鉄の球だった。


「こんなことって……」

「まあ、チルドレンのみが成せる技だな」

「こんな奴らがうじゃうじゃといるってのか?」

「ああ、俺以外にもたくさんいる。でも安心しろ、チルドレンは日本人でしかありえない。でも最近じゃ世界各国でチルドレンの研究が進んで人工的に造ってる所もあるらしいけどな」

「それって!!」

「ああ、かなりやばいな。それにこの前の中奇戦、その部隊の主軸は中国が極秘に開発した擬似チルドレン達だった」

「なっ!? こんなのが世間に知られたら……」

「ああ、結構なスキャンダルだろうな」

「でもどうやって国はこんなこと隠蔽できるんだ? あまりにもでかすぎるだろ、コトが」

「ああ、でもできるんだよ、国はな。それに俺たちも一枚、いや二枚以上も隠蔽工作には噛んでる」

「こんなの、どこが民主制なんだよ……!」

「それと、今の国の政党は民主党じゃなくなった」

「なに……!?」

「国の上層部は今、一人の人間に掌握されてる」

「!?」

「そいつの名は……。悪い、俺の口からはこれ以上言えない」

「…………」


 俺の思考はそこで麻痺していた。自分が生まれ育ってきた国の正体を見せ付けられたのだ。


「尊? 大丈夫か?」

「だ、大丈夫な訳ないだろ……。なんだってんだよ!」


 俺は怒りと焦燥感に駆り立てられ、横にあった壁を思いっきり殴っていた。


 久夾は俺の傍で沈黙を纏っていた。


 俺の思考が安定し今までの話をきちんと整理できるまでずっと久夾は俺の傍にいてくれた。。



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