表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
燃えた夏  作者: Karyu
131/190

第百二十九話 動き出す世界(二)


 俺は昨日の晩の出来事を今でも鮮明に覚えていた。


 昨晩、俺は親と喧嘩し家を飛び出した。口論の原因は些細なことすぎて忘れた。


 時間は深夜近かったけど気にもせずに誰も通ることの無い路地裏を歩いていたのが運の尽きだった。


 俺はビルとビルの隙間に生じる迷路じみた路地裏をとぼとぼと苛立ちを治めながら歩いていると、なにか巨大な生物が動くようなカサカサとした音を聞いた。


 俺はそーっと壁伝いに覗いてみるとそこにいたのは巨大な昆虫だった。


 そして俺は走って逃げた。


 そして後は知っての通りである。


 俺は三鬼嘉と名乗る侍みたいな長身の男に助けられた……。


 俺はその後逃げるように家に帰って、合鍵をつかって家に入り自分の部屋に戻って寝た。




 で、今は朝。


 俺は自分の携帯を取り出しPCを起動させた。


 俺は携帯のカメラのファイルを開いた。


 するとそこには約十枚にも及ぶ昨日の巨大蟻と三鬼嘉の写真に加え、三鬼嘉がその巨大蟻を殺していた場面が動画としてムービーに記録されていた。


 そう、昨日俺が110番に連絡しようと携帯を掲げていた際に誤作動で撮ってしまったんだろう。


 俺はそれをただただ呆然と眺めていた。


 俺は無意識にPCに携帯を繋げ、動画と写真をダウンロードした。


 画面にはダウンロードした画像が大きく表示された。


 俺はマウスで照明輝度を調整し写真の画像をより鮮明にした。


「……っ!?」


 俺がそこで見たのは巨大な蟻を切り刻んでいく三鬼嘉の日本刀に纏わりついていた紫色の靄だった。


 その靄は巨大蟻に刀身が触れる直前に怪物を消化させていった。少なくともそう見える。


「なんだよ、これ……?」


 その他の写真も輝度を合わせてみてもすべてがそう見えた。


「日本刀だけでもやばかったのに、これって人間業じゃねえ」


 俺は知らず知らずの内に見入ってしまっていた。そして三鬼嘉が羽織っていたスーツの肩の部分にルネサンスと書かれていた。


「ルネサンスってあの……?」


 ルネサンスは新世紀と共に合併結成された日本特別捜査機関及び第二日本公認軍だったMBSとその反抗ゲリラグループのリベリオンだったはずだ。


 合併した理由はわからないがなんでも中奇戦の際に協力戦線を展開したらしくそれをきっかけに一つになったらしい。


 ま、内で揉めているよりマシだな。と当初俺はそう思っていたが、こんなに身近にいたなんて……。


 俺たち市民はMBSやリベリオンが揉めている理由の真相は知らないし、何故MBSが第二日本公認軍なのかは俺にはわからない。


 だが国の公表によるとリベリオンはMBSから離脱した所為で反抗ゲリラグループになったらしい。


 そしてMBSとリベリオンを構成している人員はある特殊であるらしいが詳しくは知らない。


 ま、国も昔は俺が小さい頃にゲリラ戦争を繰り広げたしな、色々秘密たがるのも無理も無いな。でも、


「でも、もし三鬼嘉がルネサンスだとしたらMBSなのか、それともリベリオンなのか?それにもしかしたらこの三鬼嘉の技が国が隠したがってるものなのか?」


 俺の興味心に拍車が掛かり始めていた。


 今日は月曜日、学校はもう始まっているがそんなのは今は関係ない。


 俺はその後二時間もPCの画面に食い入り、操作していた。


 画像のバックアップも取って、携帯のSIMも取り替えて新しいのを入れた。


「これでいいな。こうなったら俺がルネサンスの正体、見破ってやるぜ」


 俺はいつも登校用に使っているスポーツバッグに自分のノートパソコン、ACアダプター、予備のメモリーカードに携帯型無線LANカードを入れた。


 そして残りのバックアップのデータのコピーや携帯のSIMカードをポケットに入れて家を出た。


 学校に行く際、俺は制服を着てはいたがもう学校は始まっているため多少人目を引いた。だがそんなのはおかまいなしだ。


 今の俺の心の内には今まで感じたことのない好奇心が渦巻き、俺の闘争心、国の重要機密を知ってしまったような一種の挑戦心に燃えていた。


 俺が、俺だけが知ってるこの情報。その裏づけは取れている、なぜならさっきまでネットでその情報を洗いざらい調べたんだから間違いない。予想通りすべての情報が隠蔽されていた。


 絶対、絶対に本質を見抜いてやるぜ。


 三鬼嘉には悪いけど、次会うときはきっと前みたいに気軽には話せないだろうな。あれが気軽かどうかは知らないが。


 俺は知らず知らずの内に学校への歩を強めていた。


 学校の塀伝いを利用して校門から学校の中を見渡したら誰もいなかった。


 しかし学校は正面にあり窓も校門の方を向いているから堂々と入っていくとばれる。


 そこで俺は逆にこそこそせずに堂々と校門から入り、下駄箱の並ぶ玄関に入る振りをした。


 この位置なら窓から俺の姿は見えないし、俺の教室は校舎の裏側だ。多分他の教師にはばれていないはずだ。


 俺はそのまま身を屈めながら一階に取り付けられた窓の下を移動しつつ俺の部活部屋である新聞部へと向かった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ