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燃えた夏  作者: Karyu
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第十二話 比婆山強化合宿四日目(1)

 

四日目




ぎゅるるるるるるる……



「は、腹が減った……」


「わ、わたしも……。このままじゃ飢え死にしちゃう……」


「く、くそ。何か食べなきゃ、力も使えない」


「そ、そうだ、シルキくん。私飴玉持ってた。食べる?」


「おお、それは天の救いだ。少しぐらい糖分が入れば昨日の鳥が調理できるはずだ」


「う、うん……。そうだね。じゃ、はい、シルキくんの」


おれは綾夏から飴を受け取った。その飴玉は見るからに赤く、煌々としていた。まさかな……、とは思いつつも俺はそれを口のなかに放った。


「……!」


「ん?どうしたの、シルキくん?」


「か、かれー!な、なんだこりゃあ!」


「ああ、それは私の大好物の、(激辛!火の噴くスーパー唐辛子キャンディー)だよ。おいしいでしょ」


ばしゃっ!


「はーはーはーはー。お、お前よくこんなもん食べれるな」


俺は、近くにあった川の中に顔を突っ込ませた。


「そ、そうかな。私からいもの好きだから。よし、それじゃ、元気も出たところだし、料理しますか」


「あ、ああ、早くそうしてくれ」


そして、綾夏は巧みに両手で鳥を炙っていった。5分もたたないうちに鳥の丸焼きは完成した。


「よし。それじゃ、早速いただくとするか」


「いただきまーす」


俺たちは一斉に鳥をむしゃぶり、何も入っていない腹を満たしていった。


そして5分足らずで朝飯は終わり、残ったものといえば見事なまでに白い鳥の骸骨二つであった。


「なんか、飢えって怖いね。初めて鳥をそのまま調理したことはないわけじゃないけど丸ごとは初めてだったのにこんなに骨しか残らなくなるなんて……」


「まあな。でもそれぐらい俺たちも危なかったってことだよ。よし、それじゃあ今日の特訓だ。今日の特訓は手の上に生み出したケイを100個空中の上に作り出す」


「えっ!ひゃ、百個?ちょ、ちょっとそれは多すぎるんじゃない?」


「いいや、本来なら500個はいけるだろうし。時間もないしな」


「ご、500個って……。うぅ、わかったよ。やればいいんでしょ」


「ああ、やればいいのさ。俺も今から自分の特訓をするから頑張れよ。それと、それが終わってから昼飯にするから」


そしておれは手ごろな木を見つけてそれに寄りかかって寝た。といっても、れっきとした精神統一をしているのだが(はた)から見ればただの居眠りにしか見えない。だが精神統一をした後の業の威力にはおれ自身も驚くぐらいものすごいパワーが出る。


「ね、ねえ流騎くん。なに寝てるの!」


「あ、ああ。綾夏はいいから早く特訓特訓」


「ええ〜、そんなー。ぶつぶつ……」


ま、なにやら綾夏が騒いではいるがそれなりにちゃんとこなしている。俺も、これをやったときは死ぬかとは思ったが、700個まではいったからな。まあ、綾夏にしてみれば1時間足らずでできるだろ。この特訓をやるかやらないかで精神的にも肉体的にも断然パワーアップするからな。さあ、俺も精神統一の続きを……ぐう…………。






「喰らえ、正義の一発。火拳!」


どぐあっ……!


「ぐおっ!」


俺は、自分の腹に焼けるような痛みを感じた。いや、ほんとに焼けてるような……。


「うおおお、服が燃える!」


「どう?朝っぱらから寝てるからこんなことになるんだよ。私がせっかく練習してたのに。ほら見て、このお化け屋敷に出てきそうな火の玉の数々。ざっと300はあるよ。すごいでしょ」


自信満々の綾夏は腰に手を当てて言った。


「あ、ああ。じゃあ次はこれ全部きれいさっぱりなくせ。それが次の課題だ」


「えっ?これどうやって消すの?」


「自分で考えな。俺はもう一回精神統一に……」


「させるもんかー。ヒントくれなきゃもう一回お見舞いしちゃうよ正義の一発」


「う、わ、わかったよ。ヒントはだな、念じるんだ。ただそれだけさ。それではがんばりたまえ」ま、綾夏なら10分で終わらせれるだろ。


そして10分。なぜか、火の玉の数は増えていた。


「なぜ?」


「え、だって念じろっていったから。だから念じてたらいつの間にか増えちゃって。あはは」


「あははじゃねえ。いったいどうしてくれるんだこのおびただしい火の玉の数。仕方がない。こうなったら俺が教えてやる。いいか、まずはこの火の玉の威力を弱めることに集中するんだ。ようするに小さくしろ。これならできるだろ。そうすれば簡単なはずだ。やってみな」


「う、うん。わかった」


そしてまた約十分後火の玉の数は半分ぐらいにまで減っていた。なるほど、綾夏は生み出すのは得意でも消去にはてこずるか。


「ふ、ふう〜。お、おわったよ流騎くん」


「ああ、そうか。ごくろうさん。それじゃ今日の最終課題。新技を作れ」


「え?もう見せたじゃん、新技」


「な、なに?」


「ほら、私の正義の一発」


「あんなのが、新技になるかー!」


「え、ええ〜。そんな〜」


「いいからとっととはじめる。俺は食べものを見つけてくる」


「うう〜。わかった」


まったく、やる気があるのかないのか。さっぱり読めない。ま、そんなところが魅力なんだろうな、あいつの……。な、なにいってんだ、俺……。



なぜか小コントっぽくなってしまいましたが、こういった会話も必要ですよね。………私は何をいってるのでしょう?

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