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燃えた夏  作者: Karyu
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第百二十二話 綾夏、未来との出会い(一)

お、遅くなりすぎたか、な?

流騎「あったりまえだ、このクソ作者ーーー!!」

ぐおはっ!

流騎「とっとと更新しろよな!?」

ご、ごめんなさいーーー!!


 真っ白い病室の中、私はベッドの上で寝ていた。


 どうやら私はあの山から救出されて無事だったみたいだ。


 きっとここはおばあちゃんが持っている病院の一つなんだろうな……。


 小学校二年生だった私でもそれぐらいは理解できた。


 そして私の横には数々の花束やお土産が並んでいる。


 私が入院しているのだと聞きつけて同級生や教師、知らない人までもがお見舞いに来てくれた。


 でも私は…………嬉しくなかった。心の底からそれを感謝することができなかった。

 皆は私に優しい声で語りかけてくる。


 でも皆の目が恐かった。


 淀んでいた。

 嗤っていた。

 腐っていた。


 誰もが私を見てなかった。


 皆が私の存在を観ていた……。


 私のクラスメイトもいつもとは違った目で私を眺めていた。


 それが恐くなって私は翌日から面会謝絶にした。


 誰も私のことなんか心配じゃないんだ。


 皆私の肩書きを求めてる……。


 それは8歳の私には辛すぎて、恐かった。

 そして私はその日から、誰も信用しなくなった。



















 そしてそれから五年が経つ……。


 私は中学に進学した。

 市内ではかなり有名な進学校。


 皆は私がおばあちゃんのコネで入ったのだろうと噂していた。


 でも私は自分の実力で入ったし、極力おばあちゃんを頼らないように生きてきた。

 それでも誰もが私を信用せずにいた。


 だけどそれは内側だけで表では皆は私に寄って集ってきた。


 そして自分のことを良く印象付けようと私の前では皆が猫を被っていた。


 私は教室の一番後ろ、窓際の席で毎日を過ごしてきた。


 自分の前で何気に張り切る教師のつまらない授業を私は毎日聞いていた。


 そして休憩時間になったら見たくもない偽善のクラスメイト達の自慢話や誇張話の数々。

 私は段々学校に行かないようになっていった……。

 

















 まだ朝風が心地よい秋の初め、私は制服を着つつも学校とは反対方向へ歩を進めていた。


 誰もが通らない朝の通学路で私は澄み切った空を見上げていた。


 電線柱が連なる住宅道で私はふと立ち止まった。


 道の先で私と同じ学校の制服を着た子がいた。


 その子は綺麗な金髪で、どこか私に似ていた。


 外見じゃなくて、雰囲気がどこか私に似ていたようなきがしたから。


 私はなぜか駆けていた。


 勝手に息があがりながらも私はその子の後を追いかけた。


「ま、まって……!」

「え?」


 私の呼びかけにその子、女の子は答えてくれた。


 その子は私の顔を覗くように眺めながら、


「あ、もしかして木宮綾夏ちゃん?」

「え? う、うん。そうだけど、なんで?」

「そりゃ、だって有名人だもん。木宮財閥の会長の孫だし」

「そ、そうだったよね。やっぱり私は……」

「でもそんなことよりも、すごいよね学校トップの成績で入ったんだから」

「え? なんでそのこと」

「だってさ考えても見てよ。いくらお金積んだってそんなことできるわけないじゃん。それに私もそういわれたことあるからね〜」

「え?」

「あ、もしかして私のこと知らない?」

「う、うん。ごめん……」

「いいよいいよ、謝らないで。私は同じクラスメイトの未来。西園寺未来」

「え、あの西園寺の?」

「うん、そ」

「そ、そうだったんだ。でもなんで学校行かないの?」

「多分おんなじ理由からだと思うけど?」

「あ……」

「ね、私と友達にならない? なんか似た者同士っぽいし、私達」

「うん。うんっ!」

「じゃ、私のことは未来って呼んで」

「私は綾夏でいいよ」

「そ、じゃ、綾夏今日は二人の友達記念日ってことでお祝いしない?」

「うん、する!」

「よし、じゃ、いこっ」


 未来は私の手を握って秋風が心地よい朝の道を一緒に走った。


 私に初めて友達ができた日だった。



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