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燃えた夏  作者: Karyu
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第百二十一話 トウキ カゲフミの影の中で(四)


 四年の月日が流れた。


 車は完全に錆びてはいたが俺は最後のCNCケースをトランクに放り込んだ。


「これで、最後か」

「ああ、もっと掛かると思ってはいたが中々上々であったぞ」

「そうかい、ま、闇千華のせいで完璧な夜行性になっちまったけどな」

「そうか、それはよかったな」

「どこまでも嫌味なやつだったよ。それにお前達のやりたいことも分かってきたしな」

「ふっ、例には及ばん」

「そうだな。じゃあな、世話になった」

「うむ、ではな」














 そして俺はオリジナルの分身たちの計画の大まかな実体を感じ取り、約四年の特訓は終わった。


 こんなに長い間一緒にいてきたのだがなにからなにまで闇に包まれた男だったな、闇千華の奴。


 俺はその後日本に帰国し、カゲフミの親父の傍につくことにした。


 俺が日本にいない間にMBSやリベリオンでは色々あったみたいだ。


 カゲフミは総司令の座から失脚させられていたが、日本の国を裏から糸を引くために影の世界に身を置いたらしい。


 俺はそれを知り、カゲフミの親父の傍にいることにした。


 それは親父の命以前に俺の意志だ。


 オリジナルの分身たちが自らを殺してでも成し遂げようとしていること、それはまだわからない。だからこそ俺はオリジナル達が生まれた日本の影の姿が知りたかった。


 例えそれが誰もが踏み入ることのない場所だとしてもだ。俺は親父の傍でそれが知りたかった。いや、親父がいなくても闇千華に会った時点で俺はそうしていただろうな。


 カゲフミの親父は四年前に比べ痩せてはいたが、その威厳たる構えは揺るがなかった。


「どうだったトウキ、修行の方は?」

「ああ、謎がただ増えただけだ。あと帰りの飛行機で千回死んだ」

「はっはっは、そうか。やはりあのCNCの味のことは考慮せねばならないな」

「まあ、効果はあったがな」

「そうか、今後は私の傍にいてもらうことになるがいいな?」

「ああ、もとよりそのつもりだ。俺はこの国を知りたい。俺が守りたいもののためにもな」

「大人になったなトウキ」

「へっ、俺はいつまでも親父の子さ」

「ふっ、そうか。ごつい息子ができたものだな」

「言ってくれるぜ」


 ここは鳥取MBS本部の地下。誰もが立ちはいることのできない奥深くでカゲフミの親父の計画は着々と進行していった。


「それでなんでまたMBSとリベリオンを合併させるんだ?」

「もう直、日本は強敵と対峙することになる。内側で争うことほど醜いものはないからな」

「だからって、ここまで綿密だとはな……。さすがは国を裏から支配する男だな」

「それもこれも我が友と誓ったことだ」

「闇千華のことか?」

「いや、違うが遠きにしもあらずだな」

「そうか」

「追求しないのか?」

「俺は自分の力で真実を見つけてやる、そう決めたからな」

「そうか、では先ず各MBS本部とリベリオンのリーダー達に合同展開する話を持ちかけていってくれ」

「いいぜ、これが全ての真実を暴き出す匙になることを願う」

「それはお前次第だな」

「ほんと、親父は奥底知れないぜ」















 そしてMBSとリベリオンはカゲフミの思惑通りに合併し、ルネサンスと名を改めた。


 計画通りに日本の政府を乗っ取るクーデターを企てたがこれはただの見せ掛けで本名である敵にこちらに攻め込む余地を与えただけである。


 案の定、日本の首相は中国への訪問旅行中に拉致監禁され、中国はこの機を逃さまいと日本へ攻め込んできた。


 俺はその時、なにもかもが親父の言ったとおりのことが起こったのである意味戦慄を覚えたが、それと同時に恐怖も感じたが今さらひくわけにもいかない。















 今で呼ばれる中奇戦は日本側の勝利で終わり、いままで影に見舞われていた真実もが暴露された。


 新西暦SCが始まるのと共に世界は二分されても以前よりも確実な安定を維持していた。


 世界が変わり、それとともに新たな光が生まれ闇が濃くなっていた。


 そしてそれを巧みに操るカゲフミの姿を見つめる俺は益々この世界に興味が湧いてきた。



トウキ「結局、俺はなんで出たんだ?」

作者「かっこよかっただろ?」

トウキ「ま、まあ、そういわれれば」

作者「よかったね」

トウキ「上手く誤魔化されたような気もすんけど、いっか……」

作者『あー、よかった』

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