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燃えた夏  作者: Karyu
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第百十七話 リベリオンMBS襲撃事件(七)


 これが、当時俺が12歳。四年前にMBSで起きたリベリオンMBS襲撃事件の顛末だった。


 多数の死者を残したこの事件はしかし一般に公開されることはなかった。


 そして俺はシコンに痛手を負わせたことと、リベリオン撤退の引き金を引いた功績が認められてグレード1からグレード10まで格上げされた。


 俺は当時拒んだが命令ということでカゲフミのおっさんに説き伏せられた。


 あの後俺はキョウコに呼ばれ、俺が放った蹴りによる打撲と服の治療費と慰謝料の代わりにまたもああいった類の服を着せられた。


 最後にキョウコがカメラを握りながら俺に向かっていった言葉は次の通りだ、


「いい金になるな……」


 涎をたらし、目は完全に逝っていた。無意識のうちに言っていたのだろうが、あれ以来俺はキョウコの所はなるべく避けるようにした。


 その後、俺が変な服装で写された写真が密かにMBS内を出回っていたことは早いところ隠滅したかった秘密ではあった。


 あの時シコンを逃したことを後々MBSは後悔することになったのだが、俺の一撃が相当に打撃を負わせたのか約三ヶ月間もの間、広島リベリオンの活動は極端に減少していた。


 俺はシコンから受けた敗北を踏みしめ翌日から特訓の日々と研修課題の数々をこなしていった。


 その後、俺は様々な隊員の下に就いて任務をこなしていった。それにつれモモと会う機会も少なくなっていったが、それでも週に一度程度は会うことにしていた。


 二人とも口には出さずとも好意を抱いてはいたんだと俺は思う。だが、ある事件以降俺はモモと友人以上、恋人未満の関係を保つようになった。


 それは…………。
















 リベリオンMBS襲撃事件から二年。


 俺とモモは互いに語らずとも恋人のように接しており、互いにそれを受け入れていた。


 周囲もそれと同様で俺たちの関係に入り込もうとする人物はいなかった。


 それというのもやはりモモの能力になじめないからであろう。


 俺は任務が終わり鳥取MBS本部に帰還して、ロビーのソファに座り込んだ。


 すると、


「シルキー!」


 モモが俺を背後から抱きつき、十四歳の割りには豊満な胸が当たる。


 俺は少し理性が途切れるのを耐えながら、


「モモ、今日の任務は終わったのか?」

「うん、さっきね」

「そっか。それなら飯食べに行くか?」

「うん」


 俺は疲れてはいたがモモといるとそれも吹っ飛んでしまい、モモは俺の腕に抱きつきながら食堂まで歩いた。


 周りからは暖かい視線や微笑が送られてきた。それは俺にとってもモモにとっても嬉しいことであった。


 そして食堂に着き、雷紋長助さんの作った絶品の食事を頂いた。


「おいしいね」

「ああ」

「食べさせてあげよっか?」

「えっ?」

「はい、あーん」

「お、おい、モモ……」

「嫌なの?」


 モモはお得意の上目、泣き顔、うるうるの三段拍子で俺を見上げてきた……。


「い、いや、嫌というかなんというか……」


 モモは俺の顔をじっと見つめ、俯いた。


 そして、


「う、うぅ、うぐ、っ……」


 泣き出した。


「わ、わかったわかった。あ、あーーん」


 俺は慌てて口を開いたが、モモの気分は害されたようである。


「シルキなんか知らないっ!!」


 と叫び、立ち上がった。


 そして勢いよく翔りだし、食堂の長である雷紋さんが、


「こらっ! 食堂で走るな!!」


 だがモモはその怒声を振り切り、目尻に涙を浮かばせながら走った。


 そして運悪く他の隊員にぶつかり、転倒した。


 モモは見事なまでにテーブルの上にヘッドスライディング。テーブルの上に豪華絢爛に並べられた色彩の豊かな様々な料理ののったトレイを次々と倒し、落としていった。


 俺はモモに駆け寄り抱き起こしたがモモは白目を向いたまま動かなかった。どうやら、衝撃が強くて自分の能力が無意識に作動、そして逆流したらしい。


「悪いっ! すまなかった!!」


 俺はモモを担ぎながら医療棟に運び込んだ。モモに外傷はなかったようだが、さすがにあの惨事を起こしたことに壮大のショックと羞恥を覚えたのかかなりまいっていた。


 そしてモモが言うには俺と恋人関係を保つとあのトラウマが蘇るから友達以上、恋人未満でいようと提案された。


 俺は少し悲しんだが、正式に俺も付き合ってくれとはいわなかったので了承した。


 そしてそういった関係になって初めて俺はモモのことを段々と理解し始め、モモの危険な人格のことについても知った。


 だが、まあ、これでよかったのかもしれない。俺はそう思う。


 なぜってあのままでいたら俺はきっと自分の血を見ることになっていたと思うから……。



いやー、初々しいですね。十二歳の二人はw


作者も若い日々に戻ってみたいです。五年前ですか・・・気楽でよかった・・・汗


でも、十七も結構楽しいからよしとしますw

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