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燃えた夏  作者: Karyu
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第百十四話 リベリオンMBS襲撃事件(四)


 空中廊下を渡るとガラス張りの壁の向こう、外では爆炎をあげる棟が見えたがそれほどの損傷はないようである。


 そして研究班の管理している棟から中央ビルに渡り終えた時、銃声が響いた。


 廊下の壁を木霊(こだま)した銃声は(とど)まることなく鳴り響いた。


 幸いにも銃弾は俺たちに放たれることは無かったが、廊下の突き当たりでその銃弾に当たったMBSの一般隊員が血を流して倒れた。


「シ、シルキ。あれって……!」

「あ、ああ。くそっ……!」


 俺は初めてではないがこんなに間近で人の殺される場面を目の当たりにして、背筋がぞっとした。


 MBS隊員が倒れた奥にはリベリオンのスーツを着た二人組みがいた。

 その二人は銃を構え、こちらに狙いを定めてきた。


「くそっ!」


 俺はモモを右に押しやり、俺自身は左に繋がる廊下に避けた。


「きゃっ!」


 とモモの声が聞こえたが撃たれてはいないようである。


 銃弾が連射され、俺たちが渡ってきた空中廊下に繋がる大きい廊下を銃弾と銃声が奔った。


 俺はモモに目配りし、それを受け取ったモモは頷いた。


 こういうとき、モモの能力は便利だな。


 俺は自分のホルスターからナギサ特製の銃を取り出そうとしたが腰あたりについているはずのホルスターがなかった。


 しまった、キョウコの部屋にスーツを脱ぎ忘れたままだった……。しかしキョウコの説明が本当だとすると、このリボンを解くと銃器類が出るとか言ってたな。


 俺は半信半疑になりつつも肩を紡いでいたリボンを解くと、いきなり長さ三メートル程のバズーカ砲が現れた。


「うおっ!」


 いきなりの出現に俺はよろめきかけたが信じられないほどに大砲は軽かった。


 この一端を目撃していたモモは驚きを隠しきれない表情でこちらを見ていたが、俺がモモに視線を向けるや否やモモは納得した様である。


 俺は壁沿いに背を任せ、角から銃を構えている二人組みの姿を視界に捉えた。


 そして、


「行くぞっ!!」


 俺の掛け声に乗ってモモも飛び出し、俺はバズーカ砲のトリガーを引いた。


 俺が放ったバズーカ砲からは砲丸でも砲弾でもなく、火の弾が発射された。


 丸く凝縮された炎が廊下を赤く照らしながら前方の男達に飛来し、見事命中した。


 とはいっても弾の直径が廊下程あるため避けるのは不可能に近かった。


 そんなことはともかく、二人組みのリベリオンの男達は奇声を上げながら灰と化した。


「シルキ、それってすごいね……」

「あ、ああ」

「でも、ゴスロリに大砲ってのもニュータイプだね。一時期、制服にガトリング銃ってのが流行ってたけどこっちの方がいけそう」

「い、いいから、行くぞっ!!」


 俺は顔を赤らめながら、大砲を廊下へと放置して走った。


「で、どうするの?」

「どうするもこうするも先ずは皆の所に行かないと……」

「そうだね」


 俺とモモはそれからも連射される銃弾を掻い潜りながらも一階のロビーに繋がる階段まで辿り着いた。


 ちなみに今は六階である。


 恐らく他のMBSチルドレン隊員はロビーで応戦しているはずだ。そこに合流すれば……!


 階段でも戦闘は行われており、俺たちが三階に辿り着くと顔見知りの一般隊員に出会った。


 モモの射撃訓練を監督している隊員である。


「モモ、よく生きてた! それに……くっ……。シ、シルキもよく生き残った」

「笑うなっ! くそっ、それで戦況は?」

「あ、ああ。私達の方が優勢だが向こうも粘り強い」

「じゃ、じゃあ桃達はどうすればいいの?」

「ああ、お前たち二人には総司令の所に行ってもらいたい。あそこが一番安全だからな」

「俺たちも闘うっ!」

「うん、桃もっ!」

「いや、お前たちには安全なところに行ってもらう」

「なんでだっ!?」


 俺は反論したが、モモは既に男の言いたいことを読み取ったのか、俺の袖を引っ張った。


「お前たちがいたら足手纏いだからだ」

「なにっ!?」

「シルキっ! いいから、行こっ! ほら、早く」


 男は銃を取り出し、防衛線を張っていた廊下へと戻っていった。


 俺はモモに引っ張られながらもその防衛線と反対方向の廊下を走った。


「くそっ、くそっ、くそっ……!!」

「シルキ……」


 俺は悔しさと自分の無力さをまたしても身に思い知らされた。



作者「みてみて、外に雪が!」

刈谷「だからなんだよ」

作者「つ、つめたっ! 雪なみに! あ、いいこといった?!」

刈谷「氷山で生き埋めされてぇか?」

作者「い、いやです」

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