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燃えた夏  作者: Karyu
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第百二話 電雷丸、一の太刀(一)

桃編スタートです。


「なんで始業式で宿題がこんなにでるの〜?」


 私は自分の教室の机に頬ごと伏して呻いた。


「どうしたの、桃?」


 私のクラスメートの女子が話しかけてきた。


「だって〜、この後買い物行って、ファミレス行って、パフェ食べて、漫画喫茶行って、クラブ行って、ゲーセン行って、それから、それから」

「はいはい、桃は忙しいねー」


 女子生徒は席をたち、他の生徒の輪の中へ入っていった。


「はぁ〜あ、めんどーい……」


 私は窓側の自分の席から冬らしく澄んでいる空を見上げている。青いなー。

 なんてことを思っていると。


「林果さん、明日はちゃんと宿題やってくるように」


 担任の教師がわざわざ私の座る席までやってきて釘をさした。


「はいはーい……。気が向いたら〜」

「まったく。たかが宿題、されど宿題よ。わかってる?」

「先生、だっさーい。うける〜」

「はぁ、もう……」


 担任は諦めたのか教室を出て行った。


「さてと、桃ももうかえろっかな」


 私は鞄に私物を詰めて教室を出た。


 後ろからは、


「桃―、もう帰るのー?」

「林果さんっ! また、掃除当番サボる気ですかっ!?」

「はいはーい、皆また明日ね〜」


 私は片手だけ上にあげ、足早にその場を立ち去った。


 流騎とおんなじ高校だったら良いのになー。なんで私だけ鳥取のこんなしがない学校で……。


「うー、やっぱ外は寒いなー」


 私が今いるのは鳥取県倉吉市。都心化を狙う市町と昔古来からの住宅街を残そうとする市民達の静かな論議が繰り広げられている。


 私の通う倉吉東高等学校は結構歴史の長い高校らしい。ま、詳しいことは知らないけど。私は自由奔放に生きてるからね。


 最近、って言っても今年からSC西暦になってもあまり私生活に影響ないし、こんな田舎町だからこそ平和が保たれているのかも……。


 私がショッピングモールに向かう最中の道を歩いていたら携帯が鳴り始めた。


「はーい、桃でーす」

「モモか?」

「あ、その声はハヤブサちゃん」

「上司をちゃん付けなどするな」


 不平を漏らす声が携帯の向こうから聞こえてくる。


「でもカゲフミちゃんはちゃん付けオッケーだったよ〜」

「カゲフミはカゲフミで私は私だ」

「えー、つまんない」

「そんなことよりだ、新しい任務の報告だ」

「えー? いやだ」


 私は頬を膨らませながら拒否した。


 暫くの沈黙。でも絶対ハヤブサちゃんは電話の向こうで溜息ついてるのがばればれ。


「お前に拒否権はない」

「ちぇっ……」

「いいか、よく聞くんだぞ。これからお前には大江神社で昨夜目撃されたとされる黒鬼の退治に向かって欲しい」

「黒鬼?」

「ああ、鬼の種類はもう知っているとは思うが……」

「知りませーん」

「……。はぁ、まったく、よくそんなのでグレード4を務められるな」

「実力ですよー」

「まあいい、大まかに説明すると日本で発見された鬼は三種類いる。人食い鬼の赤鬼、人間の言葉を理解する青鬼、それと殺人狂の黄鬼だ」

「あれ、黒鬼が入ってないよ?」

「ああ、だから今回の情報は曖昧なのだ。全身が黒色だったそうなので本部では新種の鬼として黒鬼と命名した」

「命名までされるなんて鬼も立派になったもんだー。うんうん」

「ふざけるな。それより重要なのは、黒鬼を発見した時はいかなる条件でも抹殺しろ。なんの痕跡も残さずにだ」

「え、いいの?」

「ああ、珍しいケースだが鬼は発見次第即排除しなければならないからな」

「そっかー、わかりました。モモは黒鬼抹殺に全身全霊を込めて全うしまーす」

「そうか、ならよろしく頼むぞ」


 そう言ってハヤブサちゃんからの連絡は途切れた。


 そしてそのすぐ後にメールの着信音が聞こえてきて、画面を見るとびっしりと書かれた任務の詳細事項が入ってた。


 あーあ、めんどーい。でも、久しぶりに体動かせるからラッキー。


 私はそのまま鼻歌交じりに軽快な足取りでショッピングモールへと向かった。


 任務開始時間は夜の十時。





 それまでなにしよっかなー。



ちょっと、時間が出来たのでどしどし更新をしようと思います……。

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