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燃えた夏  作者: Karyu
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プロローグ


この世にはもう何も残っていない。いや、はなっから何もなかったといったほうが正しいのかもしれない。この世の中、人は自分が生き残れるためにあがいている、ムシのようなものだ。表ではやさしく見えても、いざとなったら自分のことで精一杯になってしまう、弱い生き物。すべてのものには裏表がある、ものにも、命にも、世の中にもだ。人は決して裏側を見ようとはせず、表面だけで自分のことや他人のことを判断し、自分を納得させる。


だが、人にはほかの動物やムシにはないある特殊なものを持っている。それは心だ。人はそれぞれいろいろな心を持ち、常に変形していく。時に怒り、悲しみ、落ち着き、苛立ったりする。人はその心を持っているだけでたとえ人生のどん底に落ちてしまっても生き残れる。そしてそこから歩みだすことの出来る心をもっている。その心の持ちようで人は自分でも予期せぬような現象を起こしたり招いたりする。それがたとえ自分の意思でなくてもだ……。そう人の心は時には理解できないような不思議なものを生み出し、引き寄せる。


ジリリリリリリリリリリリリ……


「バシッ!」


目覚まし時計は静寂な朝の一時をその独特の超音波で人を起こす。表向きは便利だが、その裏は単に嫌がらせな装置なだけだ。まったく誰が作ったんだか、便利なのは便利なんだけどな。

早朝4時、まだ街は静かだ、ちやほや見える人影は朝のジョギングを楽しむ中年や新聞を配達している少年ぐらいだ。俺は、のろのろと1DKの狭いアパート部屋のど真ん中に敷いていた布団から起き上がり、毎日着ている、ちょっと龍の絵が目立つTシャツの上にジャージを着てかなりといっていいほど尋常に擦り切れたジーンズを穿いた。


俺の住んでいるアパートは月謝五千円といった激安な反面おんぼろだ。部屋の中は常に掃除をしているはずなのにどんよりとした空気が部屋に充満している。俺は携帯や財布といった外出時に必要不可欠な携帯品をジーンズの中に入れ、おんぼろアパートを出て米子駅に向かった。


途中、携帯が鳴った。


「もしもし?」


俺はあくびを口の中で押し殺しながら答えた。


「こちらカゲフミ、聞こえているか、シルキ?」


なんとも低く威厳のある声だ。


「ああ、こんな朝っぱらからおっさんが掛けてくんなんて珍しいな。そんなに急を要する仕事か?」


「ああ、悪いが、今日の任務はエンジュと変わってもらった。今からお前に向かってもらう場所は広島だ」


「げっ、広島かよ。あそこはシコンの本拠地じゃねえかよ。おれはまだ死にたくないんだよ」


「誰もまだお前に逝ってもらっては困る。お前は我が鳥取MBS本部の切り札なんだからな」


「ああそうかい、なら何しにいかせるんだよ。広島のやつらでもいいじゃねえかよ。あそこは暇人が多いって聞いたぜ」


皮肉っぽくはきすてる。


「まあ、そう怒るな、今回の任務は広島にいるある人材を我が組織への勧誘だ。相手は女性、名前は木宮綾夏、うまくいけばお前のパートナーとなる。しかもお前好みの子だ」


この言い方は絶対俺をからかっている。


「うるさいな。それでターゲットの能力は? おれのパートナーってことはおれの能力水と対の火か、そいつは見逃せないな」


「まあ、そういうことだ、くれぐれも気をつけてな。ああ、それと写真はお前の携帯に送っておく、後その子のグレードは8だ。なおこの任務に失敗した場合、今月の給料は半分だ、それではな」


ぷつりっと電話は一方的にきれた。


ツーツーツーツーツー……


「くそ、あのおやじ。まあ、いい、これは願ってもないチャンスだ」


俺、萱場流騎は思春期真っ只中の16歳の高校一年生だ。本来は地元の高校に通っているのだが、仕事柄俺の席はほとんど毎日が空だ。


身長170cm、体重57kg、血液型AB、好きな食べ物水ようかん、嫌いな食べ物セロリと豆腐。


体つきは標準よりちょっと筋肉が発達していると思う、まあ顔は周りからはかっこいいとは言われるが自分でいまいちピンと来ない。特徴といったら右手の甲にある十文字の傷跡と左足にまいている包帯ぐらいだ。まあ、包帯といっても別に怪我をしているわけでもなく、まあ、お守りの様なものだ。って、何で俺は今こんなに説明口調なんだ?


そして、俺の携帯のメール着信音が鳴った。


メールを開きその木宮綾夏の写真を見る。目はパッチリと開いていて小さな鼻と口が印象的で肩までかかる橙色の髪のかなりかわいい子ではあったが、この子がグレード8には到底見えない。いや、 そうだった外見からは何もわかんなかったな、よし早いとこいくか。


そして、おれは駅に向かっていた足をまた前進させた。米子駅に着き、広島行きの電車の切符を買い、ホームで電車を来るのを缶コーヒーを飲みながら待ち、来たところで乗り込んだ。そして電車で少し仮眠を取っていたらすぐさま広島についていた。 


「まもなく、広島、まもなく広島でございます。お降りの際はお忘れ物なきよう、ご注意ください」


プシュー


電車の自動ドアのしまる音を後に、おれは駅から出た。広島は初めてではないが、敵の本拠地ということもあり、警戒しとかなければならない。


たまにはゆっくり来たいものだな、と思いつつも、早速ターゲットの通う学校を訪ねることにした。


こんにちわ。筆者のKaryuです。恥ずかしながら書き始めさせていただきました。

読者の皆様のご期待に沿えるよう、頑張りますので。応援よろしくお願いいたします。


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