如月 刹那
如月 刹那の回です。
自分のイメージとして、彼女はハルヒに出てくる長門や変猫にでてくる筒隠月子みたいな感じでキャラを作っています。
4月というのに、青森にはまだ結構な雪が残っていた。
私は青森は弘前の高校へと進学した。
「…はぁ。…まだ、寒い。」
これでは、当分自転車通学も出来そうにない。
「…ここの、桜は、遅い。」
弘前の桜と言えば全国的も有名だが、5月にならないとやっていないと聞いた。
日本人が桜を楽しみにしないわけがない。
何百年も前の人でさえ、言っている。
『世の中に 絶えて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし』
世の中に一切、桜というものがなかったら、いつ散るか、いつ散るかと心を掻き乱すことなく、春をのどかな気持ちで過ごせるだろうに。
それくらいに、影響力のある花なのだ。
「…残念。」
今日は入学式だが、私は仮病を使って弘前公園まできた。
だが、目当てのものがまだないとわかり弘前城を見ていた。
調べたところによると、弘前城というのは家事で大昔になくなってしまったそうだ。
だから、正確に言うと私が今見ているのは蔵らしい。
それでも、立派に建てられたそれは、弘前城と言ってもやはり違和感はなかった。
「…帰ろう。」
私は砂利道の小さな石を無意識に蹴りながら家に帰った。
次の日、私にとって高校生活1日目がスタートした。
今日はまだ、新年度始まって2日目ということもあり、大したことはしなかった。
だが、周りは聞きなれない津軽弁のためなかなか、耳が慣れなかった。
先生まで普通に津軽弁でHR等を行い、話を理解できたどうかも不安だ。
「こんにちは!」
「…こんにちは。」
咄嗟に挨拶され反射で返したが驚いた。
「刹那ちゃんでいいのかな?」
「…うん。」
「ホントに表情変わんないんだ! 噂通り!」
「…噂?」
「刹那ちゃんって、中学の時人狼の大会出てたでしょ? 私その時の対戦相手に知り合いがいて、刹那ちゃんと当たったらしいんだけど、全然表情が変わんないから何考えてるか読み取れなかったって、言ってたはんでホントかどうか見てみたかったんだ。」
「…そう。 …でも、いきなり声かけられて驚いた。」
「ホント?! 顔が全然そう言ってないから。」
彼女はアハハと笑っていた。
「刹那ちゃんっておもしろいね。」
「…そう? …ありがとう。…ところで、あなたは?」
「あ、ごめーん。まだ、自己紹介してなかったね。私は雪嶺 桜! あなたと同じ人狼部に入部希望なの。」
「…名前、かわいい。」
「そう!? ありがとう、嬉しい! 刹那ちゃんに言われると他の人とは全然違って、本心に思えるよ。」
本当に可愛くて綺麗な名前だと思った。
だけど、彼女の顔は綺麗というよりもフワッと可愛らしさを出していたから、かわいいと一言だけにした。
「…私、本心。」
「フフ。ごめんごめん。ありがとう。」
照れながら笑う彼女の笑顔は桜の花びらよりも暖かく私を包み込んだ。
「あのさ、今日入部届け出しに行くんでしょ? 私もまだ出してないの。一緒に出しに行かない?」
「…うん、わかった。」
「あとさ・・・。」
「…何?」
「友達になって、くれない?」
彼女の頬はピンクに染まっていた。
「…わかった。…あなたを、見るために、ここに来た、気がする。」
「ヤッター! じゃあさ、私は”刹那”って呼ぶから”桜”って呼んでね? 刹那わかった?」
「…わかった。桜?」
「そうそう、じゃあ行こう?」
「…うん。」
人狼はポーカーフェイスも大事な要素だ。
私は小さい頃からあまり表情を作るのが上手くなかったけど、そのおかげで人狼で強くなることができた。
でも、桜に笑顔を習ってみてもいいと思った。
青森は本当に桜の美しく咲くところだ。
彼女が職員室への道を急かす中、私はゆっくりと彼女の元へと向かった。
まだ、人狼の推理劇は始まりません。
特に今回は人狼ほとんど関係ないじゃないか、とツッコミをいただいちゃうと思うんです。
いやはや、すいません(^^;)
でも、ただ単にすぐ人狼へ向かうのもなんかあれなんで・・・ね?
高校生の青春(?)も楽しみながら読んでいただけたら嬉しいと思います。