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「・・・なんか、納得いかない。」
私はふてくされた顔で呟いた。
「どうして?」
そんな私にフィーナは問いかける。
「だって、美味しいところ全部エルウィンに持っていかれた感じがして。」
そう言って、私は手に持っていたグラスのワインを一気に喉へ流し込んだ。
今私たちはディルガント城でローゼリッテ戦勝の宴の席にいる。
一応、私たちは、今回の勝利の、一番の立役者と言うことで、シェルド皇太子の隣に同列の席にいる。もちろんエルウィンや、他の仲間達もいる。エリス将軍もシェルド皇太子の側についている。おそらく身辺警護の為だろう。飲んでいるのはお酒では無くただのジュースのようだ。
何人もの身なりのいい人間が皇太子に集まっては何か会話をしている。皇太子もそれに笑顔で応じている。そして、エリス将軍はその様子をじっくりとにらんでいる。なにかおかしな動きがあればすぐに動くというような気迫を感じとれる。
「そんなことは無いさ。今回の一件はお前たち誰かか欠けても成し遂げられなかったことだ。特にシズクは敵の大将を討ち取ったんだ。これ以上の功績は無い。」
「そういうことじゃ無くて!エルウィンが何でもかんでも知ってたという事!悔しいったらありゃしない!」
そう言って、私は手に持っていた空のグラスをテーブルに叩きつけた。
「じゃあ、種明かししてやるよ。これを見ろ。」
そう言ってエルウィンは1枚の紙を差し出した。
私はその紙を黙って奪い取るように受け取った。
「・・・私、字読めないんだけど。」
「お前、リリカに習ってなかったのか?ウチにきて1年ぐらい経つだろ!?」
「一年じゃ無理だよ!」
「ごめん、シズク、私も少し読めるようになった。」
「裏切り者!」
「貸してみろ、俺なら文字読める。」
そう言って、アーカムが、エルウィンが差し出した紙を奪い取った。
「ふむ・・・!?なんだこれは!?この紙には俺たちがこの国に来ることも、ローゼリッテの内乱の事も、エリス将軍の裏切りの事も書かれている!」
「ちょっとまて、声が大きい!」
すぐさまにエルウインの声がアーカムの声をかき消した。
「これは・・・誰が書いたんだ?」
すこし落ち着いたところで再び問いかけた。
「・・・俺らの王子様、ニルードだよ。まったく、絶対に敵に回したくないヤツだよ。・・・まぁ、要するにみんなアイツの手のひらで踊らされていたわけだ。・・・俺も含めてな。」
私は返す言葉が無かった。
私もいろんなゲームをプレイしたことがある。その中には反則的に強すぎる敵キャラも存在する。ただ単純にステータスが高いということならばそれを上回るキャラを育てれば良いし、勝てるように準備すれば良い。
だが、それが今回の出来事を全て知っているというのは次元が違う。いわば、ゲームのシナリオを全て把握し、それに対する準備をすでに済ませていることができるのである。例えるならば、この先のダンジョン、脱出できるのは大分先になるから回復アイテムなどを十分に用意しておく様な具合だ。




