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異世界のアルケミスト  作者: 多岐川ノリ
錬金術師の意思
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19

 「なぜだ、エリス!?なぜ僕たちは戦わなければならない!」

 「申し訳ありません、シェルド様!私たちはこうするしか・・・道はないのです!」

 ビルガス砦の会議室ではシェルドとエリスが剣を交えていた。

 いや、交えていたというよりかは、エリスが一方的にシェルドに対して斬撃を繰り出している。シェルドはその剣を受け止めるだけだった。

 シェルドはまだ状況を理解できずにいた。エリスはなぜ僕を攻撃してくるのか?ついさっきまで僕の側にいてくれていたエリスはなんだったのだ?

 しかし、シェルドにはその答えを出すだけの時間を与えてはくれなかった。

 エリスの強烈な一撃をシェルドが受け止める。なんとか攻撃を防ぐことはできたが、その衝撃でシェルドが手にしていた剣が弾き飛ばされてしまった。


 ここまでか。


 「申し訳ありません、シェルド様!」

 そう叫んでエリスは剣を振り下ろした。

 思わず目をつむんで後ろに倒れるシェルド。

 だが、その一撃は、甲高い金属音に弾かれてしまった。




 「ま、間に合ったぜ・・・。」

 「貴様は・・・錬金術師のエルウィン!?なぜここに!?」

 「そんなことはどうだっていい!」

 シェルドは状況がつかめずにいた。

 しかし、確実なのは、エルウィンがこの場にいて、エルウィンが投げた剣がエリスの剣を防ぐように、壁に刺さっていたと言うこと。

 シェルドが尻餅をついたままエルウィンは話を続ける。

 「ローゼリッテは討たれた!お前を操っていた者はもういない。だから、シェルド皇太子を殺す必要は無いんだ。」

 「なに・・・?」

 「なんだって・・・!?」

 「おそらく、家族の誰かが人質に取られていたのだろう。そして好機をみて皇太子を殺すように命令されていた。だがローゼリッテは討たれた。もう将軍の家族を殺すよう命令する者はいない。だから、もう皇太子を殺す必要がないんだ。」

 「そうか・・・そうでしたか・・・。」

 そうつぶやいてエリスは手にしていた剣を手放し、その場に座り込んだ。

 「シェルド様・・・申し訳ありません・・・何とお詫びすれば良いか・・・。」

 「・・・僕は大丈夫だ。こうしてまだ生きているんだから・・・だから何も気にすることはない・・・。」

 シェルドはそう言って、泣き崩れるエリスと優しく抱きしめた。




 (おうおう、熱いところ見せつけてくれるじゃねーの・・・)




 こうしてディルガントの内乱はローゼリッテの消失によって幕を閉じた。



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