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「なぜだ、エリス!?なぜ僕たちは戦わなければならない!」
「申し訳ありません、シェルド様!私たちはこうするしか・・・道はないのです!」
ビルガス砦の会議室ではシェルドとエリスが剣を交えていた。
いや、交えていたというよりかは、エリスが一方的にシェルドに対して斬撃を繰り出している。シェルドはその剣を受け止めるだけだった。
シェルドはまだ状況を理解できずにいた。エリスはなぜ僕を攻撃してくるのか?ついさっきまで僕の側にいてくれていたエリスはなんだったのだ?
しかし、シェルドにはその答えを出すだけの時間を与えてはくれなかった。
エリスの強烈な一撃をシェルドが受け止める。なんとか攻撃を防ぐことはできたが、その衝撃でシェルドが手にしていた剣が弾き飛ばされてしまった。
ここまでか。
「申し訳ありません、シェルド様!」
そう叫んでエリスは剣を振り下ろした。
思わず目をつむんで後ろに倒れるシェルド。
だが、その一撃は、甲高い金属音に弾かれてしまった。
「ま、間に合ったぜ・・・。」
「貴様は・・・錬金術師のエルウィン!?なぜここに!?」
「そんなことはどうだっていい!」
シェルドは状況がつかめずにいた。
しかし、確実なのは、エルウィンがこの場にいて、エルウィンが投げた剣がエリスの剣を防ぐように、壁に刺さっていたと言うこと。
シェルドが尻餅をついたままエルウィンは話を続ける。
「ローゼリッテは討たれた!お前を操っていた者はもういない。だから、シェルド皇太子を殺す必要は無いんだ。」
「なに・・・?」
「なんだって・・・!?」
「おそらく、家族の誰かが人質に取られていたのだろう。そして好機をみて皇太子を殺すように命令されていた。だがローゼリッテは討たれた。もう将軍の家族を殺すよう命令する者はいない。だから、もう皇太子を殺す必要がないんだ。」
「そうか・・・そうでしたか・・・。」
そうつぶやいてエリスは手にしていた剣を手放し、その場に座り込んだ。
「シェルド様・・・申し訳ありません・・・何とお詫びすれば良いか・・・。」
「・・・僕は大丈夫だ。こうしてまだ生きているんだから・・・だから何も気にすることはない・・・。」
シェルドはそう言って、泣き崩れるエリスと優しく抱きしめた。
(おうおう、熱いところ見せつけてくれるじゃねーの・・・)
こうしてディルガントの内乱はローゼリッテの消失によって幕を閉じた。




