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「き、貴様、シズクとか言ったな、この借りは、いつか必ず返す、覚えておれ!」
かすかだが、ローゼリッテの声が聞こえたような気がした。
そして視界は次第に明瞭になっていき、煙が完全に消えたときには、そこにはローゼリッテの姿は無かった。そこにあったのは、私が切り落としたローゼリッテの左腕だけだった。
私はその光景を呆然と見つめていた。
「私・・・勝ったの?」
「たぶん・・・そうだと思う。」
私の問いかけに、フィーナが答えた。
「・・・なんか、実感が沸かないんだけど。」
率直な感想だった。
なぜなら、いつもこういう重要な場面はいつもエルウィンが最後に美味しいところをもっていった。フィーナがサーカス団の奴隷として働かせていたときもそうだ。最終的に奴隷達を支配していたゲイルを倒したのはエルウィンだった。だから、今、自分の手で、敵の大将を討ったことが信じられない。そんな気分だった。
フィーナはローゼリッテが戦いに敗れ、姿を消したことをディルガント城下に伝えて回った。反抗しない者には危害を加えないようにと付け加えて。それを聞いた城下のローゼリッテ配下の兵士達は戦いを止めた。
内線は終わったのだ。
そう確信した私は、ディルガント城の城門前に立っていた。
エルウィンから託された信号弾を持って。
「こっちは終わったよ。エルウィン。」
私は右手に持っていた信号弾を地面に叩きつけた。
その玉は煙を放ちながら空高く舞い上がり、眩い光を放った。
「ハハッ、時間ピッタリじゃねぇか。上出来だ。」
エルウィンはその光をビルガス砦の前で見ていた。
「さあて、こっちは最後の仕上げといきますかね。」
そうつぶやいて、エルウィンはビルガス砦の中へ入っていった。
「ったく、ここまで読んでるなんて。敵にするのが怖いぜ。」




