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敵の大将、ローゼリッテが命令を出すと、起き上がった人形・ホムンクルスは武器を手に取り、こちらに少しずつだが歩み寄ってきた。
敵の武器は、剣、槍、斧など、様々でだ。
「相手が人形なら遠慮はしないわ!」
そう言って敵のなかに飛び込んでいったのはフィーナだった。両手に持った小剣を振り回すと、ホムンクルス達は次々と引き裂かれ、動かなくなった。
「ふん、まぁ、しばらくはその人形達と遊んでいなさい。」
ローゼリッテはそう言って指をパチンを鳴らすと、フロアにある全ての扉が開き、その中から新たなホムンクルスが次々と姿を現した。と、同時にローゼリッテ本人は奥の部屋へと姿を消した。
「雫!ローゼリッテを追って!ここは私に任せて!」
でも、このホムンクルスの数。目視だけで数十体はいるだろう。もしかしたら百を超えているかもしれない。
「私なら大丈夫よ。こんな人形なんかに負けるもんですか!」
「・・・わかったわ。ここはお願い!無事に生き残ってね!」
私はそう言うと、ローゼリッテが消えた扉に向かって走り出した。ホムンクルスが目の前に立ちふさがるが、私が刀を振り下ろすと簡単にその体は切り裂かれ、床に倒れた。
こいつら、個々の力は全然たいしたことは無い。ローゼリッテの戦略としては彼らを大量に用意し、足止めとして使うつもりなのだろう。フィーナも同じ事を考えていたことに違いない。私はローゼリッテが消えた扉を開くと、そのまま奥へと走り出した。
「雫、ローゼリッテを倒して。そして無事に帰ってきて・・・。」
私は通路の奥の扉を開いた。
そこには明るい空間が広がっていた。よく見ると、見覚えのある器材が多数並んでいる。間違いない。エルウィンの作業部屋にある錬金術に使う器材と同じ物だ。違うことと言えば、その部屋はエルウィンの作業部屋より広い。そして、きれいに整頓されていたことである。
「ここまで来てしまったのね。」
部屋の中央にいたローゼリッテが話しかけてきた。いかんいかん、私はこの女を倒すために来たのだ。部屋の清潔さに見とれている暇など無い。・・・まぁ、エルウィンもこれくらい部屋をきれいに整理整頓してくれればそれにこしたことはないのだが。
「まぁ、せっかくここまで来たんだ。受け取りなさい。」
そう言ってローゼリッテは野球ボールぐらいの大きさの玉をほおり投げてきた。
・・・なにか嫌な予感がする!
私はその玉に当たらないように身をかわした。
ローゼリッテがほおり投げた玉は私の体を外れ、後ろにある壁にぶつかった。
その瞬間。
玉は爆発した。その衝撃で私は前に吹き飛ばされ俯せに倒れてしまった。もしあの玉を自分の手でつかんでいたとしたら。腕一本を失うぐらいのダメージは受けていただろう。そう考えるとぞっとした。
私が回避行動を取れたのは、少なからず錬金術の知識があったからだろう。その点ではエルウィンやリリカに感謝しなければ。
「ほう、妾の爆弾の直撃をかわすとは。だが、これはどうかな?」




