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その時は突然訪れた。
「お前ら!敵が出撃した!俺たちも出るぞ!」
エルウィンが私たちの部屋に入るなりそう叫んだ。
大丈夫、もう準備はできている。
私たちはエルウィンの後に続いた。
「ちょっと、エルウィン。」
「ん?なんだ?」
馬小屋の前でエルウィンが馬に跨がろうと言う所で、私はエルウィンに話しかける。
「私、馬に乗ったことないんだけど。」
「・・・ちっ、仕方が無いな。俺の後ろに乗れ。」
「でもそれじゃあ、剣使いづらいんだけど。」
「大丈夫だ。俺の作戦がうまくいけばお前の剣なんて必要ねぇよ。少なくとも敵の城まではな。」
「・・・わかった。エルウィンを信じる。」
そう言って私はエルウィンの後ろで馬に跨がると、両腕でエルウィンの体を抱きしめるようにしがみついた。
「おい、俺も馬に乗ったことないぞ。」
そう叫ぶ信也。
「私は無理よ。一人で乗るのが精一杯だから。」
まぁ、日本人なら当たり前か。騎乗経験があるフィーナの方がどちらかというと特別なほうだろう。
「じゃあ俺の後ろに乗れ!」
そう叫んだのはアーカムだった。
「わかった!」
そう言ってアーカムの後ろで馬に跨がる信也。
「よし、全員準備はできたな!?出発するぞ!」
「「おーっ!!」」
そう言ってエルウィンは馬を走らせ、ビルガス砦を飛び出すと、それに続いてフィーナとアーカムが、その後ろにエリス配下の兵士100人が続く。
「ねぇ、エルウィン。」
「なんだ?」
私は前を向き馬を走らせ続けるエルウィンに話しかけた。
「この少人数で勝てるの?」
「・・・ああ、十分だ。あいつらはエリス将軍の配下でそれなりの実力を持っている。それに頼もしい仲間がいるからな。同じ人数ならこっちの勝ちだ。それに、人数で負けていても俺には秘策がある。」
そんな会話を交わしている内に、目の前に敵の軍勢が姿を現した。
「俺は錬金術師だ。錬金術師の戦い方をシズクに見せてやるよ。期待してくれ。」
そう言ってエルウィンはこちらを向いてニヤッと笑った。
そこまで言うのなら信じるしかない。
「・・・期待するわ。エルウィン。」




